イタリアで開催中の第83回ベネチア国際映画祭(12日まで)で現地時間7日、実写映画「ルックバック」(9月11日公開)の是枝裕和監督やダブル主演の出口夏希、蒔田彩珠らが公式会見に登場した。

 同映画祭の最高賞である金獅子賞を競うコンペティション部門に選出された同作。

是枝監督は原作漫画との出会いについて「漫画が出版されてすぐ、2021年ぐらい」と回想。「(コロナ禍で)自分が関わっている映画が非常事態に陥り、(自らに)価値があるのかを考えざるを得なくなった時にこの作品と出会った。覚悟を問われ背中を押されたような、『もう一度映画を作ってみよう』という強い気持ちが自分の中によみがえってくる出会いでした」と明かした。

 作中では漫画家を目指す少女2人の姿を描く。是枝監督は“音”にこだわったそうで「描く音が非常にためらいながら弱々しい音を立ててたペンが、やがて迷いなく力強い音を出して変化していく。漫画がどういう風に作られ、出来上がっていって、時代とともに変わっていくのか。作品の2人の成長を通して描けたことがとても大きな意味があったかなと思います」と振り返った。

 秋田・にかほ市を舞台にした今作。蒔田は「あまり聞き馴染みのない方言だったので、時間をかけて練習しました」と苦悩を告白。一方で「お昼ご飯のケータリングに、たまにラーメンカーが来てくれて、監督が最前列に並んでいました。そういう光景が私は好きでした(笑)」と現場での微笑ましいエピソードも明かした。

 出口は作中で漫画を描くことに苦戦したそうで、「大人になってから絵を描く機会が本当にない。

マメができて手が痛く、すごく大変だったのを覚えています」と回想。撮影で楽しかったことについては「秋田に住んで生活しているような感じだったんですけど、みんなでスイカ割りしたり、花火したり、撮影じゃないところなんですけど、すごく楽しい夏の思い出になりました」と笑顔を見せた。

 今作は、藤本タツキ氏の同名漫画が原作。漫画への思いでつながった2人の少女の青春の日々と運命を分かつ出来事が描かれる。2024年に公開されたアニメ映画は大ヒットを記録しており、今作にも注目が集まる。是枝監督作品としては、デビュー作「幻の光」(1995年)、「三度目の殺人」(2017年)、「真実」(2019年)に続いて4度目の同部門出品で、現地時間12日に授賞式が行われる。

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