元力士で俳優活動もする田代良徳さんが、新たな“挑戦”を始めた。この秋に浅草寺の北側に、オープンさせた店舗でベビーカステラの販売を行っている。

 お相撲さんをかたどったデザインで販売価格は1個50円。現在はお試し価格で15個で500円、30個で1000円と手土産としてお手頃な価格で売っている。最大の特徴は元力士が焼いて、手渡しするという形だ。田代さんが代表取締役を務めるオープンボックス社に所属する大相撲経験者が店頭に立つ。現在はプレオープンの形で午前10時から午後3時まで営業(売り切れ次第終了)している。

 この新事業を選んだ理由を「僕がベビーカステラを好きだったことが大前提ですが…」と切り出した田代さん。その奥にある思いがある。

 「うちの会社としては引退した力士たちを雇用して、相撲のパフォーマンスなどのイベントに出てもらってます。ただ僕自身も今年50歳。さすがにもう相撲をとって仕事するのはなかなか難しい。これは僕だけの話じゃなくて、みんな同じようになっていくと思うんですね」

 田代さんが代表を務めるオープンボックス社は相撲特化型芸能事務所。大相撲を引退した力士が国内外の相撲イベントに出演している。

田代さん自身も昨年、インドで公開された映画「SUMO」で主演を務めるなど俳優としても活躍している。ただ体が資本の相撲イベントなどに年齢を重ねて出続けることは無理が出てくる。「相撲がとれないから『さようなら』、では会社として発展性、責任がない雇用になってしまう」という思いが強かった。元力士たちの新たな活躍の場を模索してたどり着いた“答え”のひとつが、ベビーカステラの販売だった。

 単にベビーカステラを売る、のではなく「元お相撲さんが焼いていたら、買いたくなるんじゃないですか」とこれまでの強みとしてきた元力士という要素を加えた。焼き具合など品質は当然、練習するが味に関しては田代さんが様々なものを食べ、試行錯誤を繰り返してひとつにたどり着いたという。すでに「すもうカステラ」として商標登録も申請中だという。

 スタートは浅草の店舗だが今後の広がりも視野に入っている。「都心だけっていうのではなくて、いろいろな地方での展開も見据えているという。「例えばキッチンカーなどで様々なイベント会場に出店したり、(高速道路の)サービスエリアなどに出せたらと思っています」と手軽に、大人から子どもまで幅広い年齢層に受け入れてもらえるような仕組みと整える構想がある。

 改めて田代さんは今回の事業への思いを言葉にした。「力士が引退して、『こういう仕事している人もいるぞ』というような間接的ではありますが、相撲界への恩返しという部分ですね。

力士を辞めたら働き口があまりないのではなく、面白い仕事を作っていきたいというのが会社としての考えです」。相撲という軸を生かした、一歩が始まった。

 ◆すもうカステラ 東京都台東区浅草3-1-3 営業時間:午前10時~15時

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