老後の住まいの選択肢はいろいろあれど、「なるべく自宅で過ごしたい」と考える方が多いと思います。その「自宅」は持ち家だけではなく、賃貸住宅も含まれます。
高齢の単身入居者さんが増えてきた!?
私たちが管理している賃貸物件の入居者さんが、長くお住まいになるうちに、だんだん高齢になっていっていることに気が付いたのはつい最近のことです。入居されたときには40代、50代だった方も、20年もたてば皆さん高齢期に入っていきます。超高齢社会となったことに加え、未婚の方が多くなってきたことで、単身物件から引越す理由がないまま高齢になられた方も多いように見受けられました。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、65歳以上の単身者で借家住まいの方の人数は、2023年時点では3人に1人となっており、この10年で約2割増えています。私たち管理会社の「単身高齢入居者さんが増えてきた」という感覚は、あながち間違っていなかったことが分かります。
日本人にとって賃貸住宅は、長年の間「将来、夢のマイホームを手に入れるまでのつなぎ」という役割が大きかったと思います。私たち賃貸不動産管理会社にとっても、高齢者が部屋探しに来ることはまれで、長年、お客さまの大半は若い人たちが占めていました。
しかし、最初は賃貸住宅に住み、分譲マンションを購入し、最後は郊外の一戸建てを購入するという、かつて「住宅すごろく」と呼ばれた流れが崩れてしまったのが今なのです。
(イラスト/いぢちひろゆき)
賃貸住宅が、いつの間にか終の棲家に
高齢になれば、誰でも心身の機能が落ちますし、病気になる確率も上がります。高齢入居者さんが増えるにつれて、「室内で倒れて救急車で運ばれた」「家賃滞納が続いたので訪問してみたら長期入院していた」「体力や気力や認知機能が落ちてごみ屋敷になっていた」「室内でお亡くなりになっていた」などの事態が起こるようになってきました。
管理会社は長年、「入居者さんが高齢になったら、子どもと一緒に暮らすためや、施設に入所するために退去されるのだろう」と考えていました。しかし、賃貸住宅は気づかないうちに、「終の棲家」になってしまったようです。
「賃貸住宅で高齢期を迎え、心身が弱ってきたら、病院でも施設でもなく、賃貸住宅で訪問看護や訪問介護を受け、賃貸住宅で人生の最期を迎える」ということが普通の社会になっていくことは避けられないと感じていますが、この変化に対応できる準備が、管理会社にもオーナーさんにも整っていません。
もし高齢入居者さんに困ったことが起きたとしても、連絡がつき、動いてくれる身内がいれば問題ないのですが、賃貸借契約書が古すぎて情報が少ない、連帯保証人も高齢となり対応してもらえない、既に亡くなっている、連絡がつかないなどが発生しがちです。そのような事態が起こるたびに、管理会社やオーナーさんは試行錯誤しながら対応していますが、大変な時間と労力がかかっているのが現実です。
管理会社は入居者のこと、高齢者のことを知らない
「管理会社ならば、入居者さんと会ってその様子を知る機会があるのでは」と思われる方が多いと思いますが、実際はそうではありません。管理会社が入居者さんと顔を合わせるのは、設備に不具合があったときや、騒音などのトラブル相談があったとき、家賃の滞納があったときなどに限られるため、退去のときまで一度も顔を合わせることがない入居者さんも多いのです。
管理会社が対応するような事態が起きたとしても、家賃滞納や、鍵の紛失、ごみ屋敷、ぼやの発生は若い人でもあることですので、その場限りの対応になることも少なくありません。例えば、室内にごみがたまっている場合、体力がなくなり掃除や片付けが面倒になってしまっている、足腰が悪くてごみ出しができない、認知症が進んで分別ができないなどさまざまな原因が考えられますが、ごみを片付けて問題を解決したとしても、そうなってしまった根本原因は解決していないため、また同じことが起こるでしょうし、その状況はどんどん悪化しがちです。
管理会社の社員は、祖父母世代との同居を経験しておらず、自分の親の介護も始まっていない世代が大半のため、「人間が高齢になると暮らしはどうなっていくのか」を知りません。そのため、目の前で起きていることから、高齢入居者さんの生活困難の度合いや、これから起こるであろうことを推し量るのはとても難しいのです。今後ますます高齢入居者さんが増えていく社会で、管理会社に求められるのは、起こった事態の原因が加齢に関係するものであり、放置すれば困りごとが増幅していくのでは?と気が付く想像力だと思います。
(イラスト/いぢちひろゆき)
困りごとが起こってからでは遅い
単身高齢入居者さんに困りごとが発生したときに、管理会社として対応をしていて気が付いたことがあります。一般的には、賃貸住宅での暮らしの中で何かトラブルがあった場合、入居者さんと「何が問題でどう対処したらよいのか」を話し合い、決定したことを行動に移していただくのですが、高齢になり心身の機能が落ちてくると、それがままならないことがあるのです。気持ちはあっても体が動かない、聴力や認知機能が落ちてきてコミュニケーションがうまくいかない、などのケースです。
困りごとはもっと前に始まっていたのに、事態が表面化しないと管理会社には分からないため、対応するタイミングが遅くなっているのだと思います。「入居者さんの体力・気力があるうちに気付き、一緒に対応していれば違ったのではないのか」と思うことが少なくありません。
こうして、「どうすれば、単身高齢入居者さんの変化に早く気付くことができるのか?」ということが、管理会社の新たな課題となったのです。
(イラスト/いぢちひろゆき)
困っているのは誰で、対応するのは誰なのか
単身高齢入居者さんの問題で困っている、という話をすると、「高齢者の対応は行政にお願いすればよいのでは?」と言われることがあります。確かに、日本には、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した生活を送れるように、社会全体で支える仕組みとしての介護保険制度があります。また、介護・福祉・保健・医療の面から総合的に高齢者を支援する相談窓口として、地域包括支援センターがあります。しかし、管理会社の困りことは、それだけでは解決できないと感じています。それはなぜかと言うと、「本人の意思がないと何事も進まない」からです。
介護保険によるサービスを利用するには要介護認定の申請が必要で、介護や支援の必要性に応じてケアプランを作成してもらい、契約する必要があります。申請も契約も本人の意思が大前提なので、ご本人が「まだ支援はいらない」と言えば、強引に進めることは難しいのです。
管理会社が対応に困っている単身高齢者の中には、要支援、要介護認定を取得できそうな状態にもかかわらず、申請すらしておらず、地域包括支援センターの職員の支援も拒んでいる方が結構いらっしゃると感じています。
(イラスト/いぢちひろゆき)
今回は、単身高齢者の立場から見える、単身高齢者の賃貸住まいの問題の入口をご紹介しました。ひと筋縄ではいかない状況がご理解いただけたのではないでしょうか。
「高齢になっても可能な限り、住み慣れた地域で自分らしく暮らせる社会」を実現するには、その住まいの選択肢の中で少なくない数を占める「賃貸住宅での暮らしの問題」を解決する必要があると感じています。家族がいても、子どもが別に住んでいて夫婦のどちらかが先に亡くなれば単身世帯となります。高齢期にひとりで賃貸住宅で暮らすということは、誰もがなり得る未来の姿です。家族がいてもいなくても安心して年をとれる社会を、一緒に考えていきましょう。
●取材協力
株式会社ハウスメイトパートナーズ

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