友人や知人の勤め先を羨ましく思うことはありませんか? はっきり聞いたわけじゃないけれど給料がよさそう、休みも取りやすそう、安定していそう…。「隣の芝生(企業)は青く見える」ものですよね。
■20代は「隣の芝生(企業)が青く」見えがち!
リスクモンスター(株)による第3回「隣の芝生(企業)は青い」調査( https://www.riskmonster.co.jp/study/research/ )では、自身の勤め先と知人・友人の勤め先を比較して、どれほど「隣の芝生(企業)が青く見えているか」の調査結果が示されています。結果では、「羨ましいと感じたことがある」人の割合は全体の41.9%で、そのうち男性は30.0%、女性は40.4%となりました。また、年齢別では20代が44.0%と最も高く、年齢が上がるにつれて「羨ましいと感じたことがある」割合は減少しました。
羨ましいと感じるポイントについては、「給料が高い」(62.2%)、「福利厚生が充実している」(44.9%)、「会社に安定性がある」(42.6%)が上位を占めました。男性より女性が、そして年齢が若いほど「隣の芝生を青く感じる」ことがわかりました。特に20代は社会に出て間もないこともあり、イメージが先行するのではないでしょうか。実際はどの会社であっても、大なり小なり問題や不満が出てくるものです。年齢層が上がるにつれて社会人としての経験を積んでいくこともあり、その結果が年齢と羨望率の関係に表われているようです。
以下は第3回「隣の芝生(企業)は青い」調査( https://www.riskmonster.co.jp/study/research/ )における、羨ましいと思う企業ランキングです。
羨ましいと思う企業ベスト20(企業名/前回順位)
1位:地方公務員(2)
2位:国家公務員(1)
3位:トヨタ自動車(3)
4位:花王(85)
5位:キーエンス(6)
5位:ソニー(8)
7位:パナソニック(4)
7位:任天堂(44)
9位:楽天(9)
9位:三井物産(9)
9位:伊藤忠商事(6)
9位:富士通(44)
13位:NTTドコモ(85)
13位:三菱商事(4)
13位:資生堂(44)
13位:三菱UFJ銀行(9)
13位:東京海上日動火災保険(東京海上日動)(16)
13位:雪国まいたけ(85)
19位:大塚製薬(85)
19位:日立製作所(21)
19位:東芝(44)
19位:KDDI(44)
19位:オリエンタルランド(44)
前回調査と比較すると、「花王」や「任天堂」、「富士通」、「NTTドコモ」が大きくランクアップしています。一方で「東日本旅客鉄道」(前回9位)や「東海旅客鉄道」(前回16位)、「全日本空輸(ANA)」(前回16位)は回答がなく、COVID-19の影響を感じさせます。
■コロナ禍で揺らぐ企業の信頼…どうすれば?
若手は自己啓発でキャリアアップのチャンスをねらう
前述では20代が最も「隣の芝生(企業)が青く見える」結果となりました。では、羨ましいと思っている人は、ただハンカチを噛みしめて眺めているだけなのでしょうか。
2020年5月に公益財団法人日本生産性本部が実施した「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」( https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/5f4748ac202c5f1d5086b0a8c85dec2b.pdf )によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降に自己啓発を始めた人は8.8%、始めたいと思っている人は30.1%という結果が出ました。
20代の結果を見ると、COVID-19流行以降に自己啓発を始めた人の割合は18.8%、始めたいと思っている人は35.4%でした。他の年代(30~70代)に比べて最も高い結果となり、キャリアアップや仕事に対する積極性がうかがえました。
コロナ禍で自己啓発の目的が変わった?
また、同調査では自己啓発をする目的についても調査しており、選択項目を援用した厚生労働省の「能力開発基本調査」と比較して、明らかに伸びている項目があります。それは「転職や独立のため」「退職後に備えるため」です。
勤め先への信頼度については、性別や雇用形態と関係なく「信頼している」約70%、「信頼しない」約30%という結果となりました。「信頼していない」年代は30代が最も高く約40%、40代以上は年代が高くなるにしたがって「信頼していない」割合が減少しています。
これらの結果から、安定や給料の高さを羨望しながらも、コロナ禍で企業の信頼が揺らぐなか、自分の力を蓄えてキャリアアップをしていこうと、もがく若者らの姿が映し出されたように思われます。
■「もう辞めたい!」退職する前にできることは?
隣の芝生が青く見えたり、企業への信頼が揺らいでいたり…。「もう、仕事を辞めたい!」と思うこともあるでしょう。
勇気を出して上司に相談してみる
人間関係や労働環境、評価などに不満がある場合は、勇気を出して直属の上司に相談すれば解決の糸口が見つかるかもしれません。また、その時の対応によって今後を考える材料にもなります。結婚や介護などの理由の場合は、まずは社内制度を確認して利用しましょう。
休職制度などを利用する
病気やケガ、体調不良で退職を考えているのであれば思いとどまってください。休職制度などを利用し、無理のない働き方が選択できるかもしれません。また、やる気やモチベーションが上がらない、朝起きようとすると岩のように身体が重たい場合などはストレス過多のサインかも…。一度専門医を受診することをおすすめします。
まずは「なぜ辞めるのか」「なぜ転職するのか」を明確にすることが大切です。隣の芝生が青く見えても、それは自分のイメージで作り上げた虚像なのかもしれません。焦ると、せっかくのキャリアアップのチャンスを逃してしまうこともあります。そうならないように、今の状況や自分のキャリアについて棚卸しして冷静に準備しましょう。
■「羨ましい!」はキャリアアップのチャンス!
友人や知人の勤め先が羨ましいと感じたら、改善すべきポイントを見つけて自分の満足度をアップさせるチャンスです。教育訓練給付制度( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html )を利用して資格取得を目指したり、転職のために自己啓発を始めたりして行動していくと自分の自信にもつながります。隣の芝生は青いもの、そう割り切って自分のキャリアに満足できるといいですね。
参考
第3回「隣の芝生(企業)は青い」調査 リスクモンスター(株)( https://www.riskmonster.co.jp/study/research/ )
「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」公益財団法人日本生産性本部( https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/5f4748ac202c5f1d5086b0a8c85dec2b.pdf )