■電力会社の決算資料から平均年齢と平均年間給与を分析



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各地域で一目置かれる就職先といえば、どこでしょうか。工場を持ち、従業員を多く雇用している製造業であったり、電力会社や公務員だとお考えの方も多いのではないでしょうか。

今回は、直近の決算資料から電力会社(単体)の平均年齢と平均年収を分析してみました。



■地元の有力な就職先である電力会社



地元を離れ首都圏に進学しても、大学卒業後は地元の電力会社に就職をするというケースもよく見かけます。そうしたことから、各地域の有力企業といえば、給与や待遇面などを考えると地元で最も有力な企業といえば電力会社という人も多いのではないでしょうか。



下図は、国内の電力会社計11社(北海道電力(9509)、東北電力(9506)、東京電力ホールディングス(9501)、北陸電力(9505)、中部電力(9502)、関西電力(9503)、中国電力(9504)、四国電力(9507)、九州電力(9508)、沖縄電力(9511)、電源開発(9513))の平均年齢と平均年収を投信1編集部データ分析室で算出し、プロットしたものです。



11社の単純平均では、平均年齢42.3歳で平均年収744万円となります。また、各社の従業員数で加重平均を算出した場合には、平均年齢42.7歳で平均年収740万円となります。



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この表から注目すべきポイントをハイライトしていきましょう。



まず、東京電力ホールディングス東京電力HD)は平均年齢、平均年収ともに高いことが分かります。ただし、東京電力HDは、同ホールディングスの従業員についての平均年齢と平均年収となっており、他の電力会社とは算出のベースが異なっていることには注意が必要です。東京電力フュエル&パワー、東京電力パワーグリッド、東京電力エネジーパートナーは含まれていません。その結果、平均年齢は44.7歳と11社平均よりも高くなり、平均年収も822万円と11社の平均よりも大きく高く出ています。



次いで注目すべきは沖縄電力です。

平均年齢が38.8歳と39歳を割り込み、11社平均を大きく下回っています。その一方、平均年収は750万円に及び、全国平均を上回っています。沖縄電力は原子力発電所を持っていないのが特徴的ですが、全国平均と比較し、従業員の平均年齢は若く給与も高いという結果となっています。



関西電力は、平均年齢が42.7歳とほぼ全国平均水準である一方、平均年収は682万円と全国平均を8%程度下回っています。関西電力は2010年度では原子力発電比率が全体の44%もあり、他の電力会社と比較すると原子力発電比率が高いことで知られていました。今後の原子力発電所の稼働状況次第でどのように変化してくるか、注目です。



■電力会社と地方自治体公務員の年収比較



今度は、電力会社と公務員の年収を比較してみましょう。



例えば、中国電力の本社がある広島県はどうでしょうか。2015年の総務省が開示している「平成27年地方公務員給与の実態」をもとに広島県職員の年収を算出すると、平均年齢43.2歳で平均年収677万円となっています。一方、中国電力の平均年齢が43.6歳で平均年収が777万円です。同じ平均年齢で中国電力は広島県職員と比較すると年収で100万円ほど上回っています。



また、九州電力の本社がある福岡県はどうでしょうか。

福岡県職員の平均年齢43.6歳で平均年収686万円となっています。九州電力の平均年齢は42.6歳で平均年収は758万円です。



こうしてみると、電力会社は事業基盤が確立されていることもあり、地方自治体の公務員よりも同程度の平均年齢でありながら高収入であることが分かります。また、電力会社は、年収以外にも福利厚生も充実している場合もありますから、待遇は今回見てきた数値以上に地方自治体の公務員よりも恵まれているのかもしれません。



■まとめにかえて



いかがでしたでしょうか。今回は電力会社の平均年齢や平均年収を見てきました。地方では有力企業として存在感のある電力会社ですが、彼らを取り巻く経営環境は安泰かというとそうとも言い切れません。東日本大震災以降の日本のエネルギーミックス(エネルギー構成)をどうするのかという点に関しては今後も議論は続きそうです。



現在は全国の原子力発電所のほとんどは稼働を停止していますが、これらの再稼働や廃炉はどうするのか、その一方で、再生可能エネルギーの取り扱いや化石燃料調達における地政学的リスクなど、電力会社の経営者だけで判断しきれない要因も多数あります。こうした環境の中で電力会社の従業員の平均年収などを考える際には、電力会社としての収益性に注目していく必要性があります。



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