新年早々、中国政府が日本への輸出規制措置を発動しました。この措置はレアアースの対日禁輸へと発展する可能性もあり、それが実現すれば日本の経済や産業に甚大な影響が出るかもしれません。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の加藤 嘉一が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 中国が新年早々に電撃発表、レアアース対日禁輸はあるか? 」
中国政府が「軍民両用物資対日規制強化」措置を発表
皆さま、新年あけましておめでとうございます。
日本を取り巻く、刻一刻と複雑に変化する情勢を捉える上で、中国問題からもますます目が離せなくなっていく。2026年はそんな一年になると予測しています。本連載でも、日本にとって重要かつ本質的な中国関連のテーマを可能な限り分かりやすく扱っていきたいと思います。読者の皆さまそれぞれの視点や需要からご参照いただければと願います。
中国の対日本政策において、新年早々、大きなニュースが舞い込んできました。
中国商務部が1月6日、「両用物品の対日輸出の強化に関する公告」を発表しました。デュアルユース、すなわち軍民両用の品目に関して、以下の規制措置を取るとのことです。
- 日本の軍事ユーザー、軍事用途、および全ての日本軍事力向上に資する最終ユーザーへの輸出を禁止する
- いかなる国家・地域の組織および個人がこの規定に違反した場合、また中国を原産地とする関連両用品目が第三国から日本の組織、個人に輸出、提供された場合、法的責任を追究する
- 本公告は即日実行する
同日、商務部報道官は、今回の措置を発表する背景として、次のように表明しています。
「日本の指導者が近日、台湾に関する誤った言論を公然と発表し、台湾に武力介入する可能性を暗示した。中国の内政への粗暴な干渉であり、一つの中国原則に深刻に違反する行為である。その性質と影響は極めて悪質だ」
本連載でも不確実要素として扱ってきましたが、今回、中国政府が取った対日輸出規制強化には、日本の高市政権の台湾関連の言動や政策に対する「報復措置」としての位置づけがあることを示唆しています。
レアアース関連品目も含まれるのか?
今回の中国政府による対日輸出規制強化措置で、一つの焦点となるのが、「レアアース関連品目が含まれるのか否か」でしょう。
「産業のビタミン」とも称されるレアアースは、日本の経済・産業にとっても不可欠な戦略物資・希少資源です。電気自動車(EV)モーター、スマートフォン、風力発電機、半導体、LED照明、医療機器(MRI)など、ハイテク・グリーン産業に幅広く活用されています。
中国は現在、レアアースの埋蔵量と精錬量でいずれも世界最大のシェアを誇っており、埋蔵量は約半分、精錬量は約90%を占めるといわれています。
そんなレアアースを巡る日本の対中依存度ですが、尖閣諸島沖で中国漁船の船長が日本の海上保安庁の船に激突した事件を引き金に、中国当局が日本へのレアアース禁輸措置を一定期間施した2010年時の9割超から、現状6割未満にまで低下させましたが、EVモーターに使われるジスプロシウムなどは依然ほぼ100%中国に依存しています。
仮にレアアース(磁石)関連品目が、今回の措置をきっかけに日本に入ってこなくなれば、日本経済・産業への打撃は甚大になる可能性は否定できません。
今回の対日輸出規制の強化は、「軍事ユーザー、軍事用途、および全ての日本軍事力向上に資する最終ユーザーへの輸出を禁止する」という具合に、あくまでも「軍事」に焦点が当たっていますが、(1)どこまでを「軍民両用物資」と判断するのか(2)どの企業が「軍事」に関与していると判断するのか、という解釈や判断の権限は中国当局にあり、そこには相当な不透明感と不確実性が内包されていると私はみています。
端的に言えば、品種、程度、時期はともかく、レアアース関連品目を巡って中国から日本への輸出許可が下りないというシナリオは想定しておくべきです。どの企業が規制対象になるのかという点に関しては、防衛・装備関連の業務に関与し、関連商品を作り、例えば日本の自衛隊に納めている企業などは注意が必要になると思います。
中国がレアアース関連品目の対日「禁輸」もちらつかせる中、例えば日本の自動車工場における稼働が停止するといった事態は容易に想像がつきます。
習近平政権の目的は?
新年早々、見た目は電撃的に、実際は時間をかけて念入りに準備してきたと思われる対日制裁措置を発動した習近平政権ですが、その目的について考察してみたいと思います。
本連載でも早い段階からアラートしていたように、日本で高市政権が誕生する中で、高市早苗首相の台湾関連の言動に警戒と不満を強める中国側、という背景が影響しているのは間違いありません。
高市政権に圧力をかけ、政策を変更させること。
これが最大の目的でしょう。レアアースという日本の財界・産業界にとって死活的な希少資源を「武器化」する、換言すれば、日本の企業を「人質」に取り、日本の官民の分断をあおることで、自らの目的を達成しようという思惑が見て取れます。
また、高市政権が掲げる「安保3文書」の改定といった政策を、中国政府はこの期間「日本軍国主義の復活」といった文脈で赤裸々に批判してきています。「台湾海峡への武力介入」への警戒心も高まっており、日本の軍事力、およびそれにつながる経済力をそぐことで、日本全体に打撃を与え、国力を弱体化させるといった戦略目標もあると考えられます。
要するに、レアアースは日本経済にとって不可欠な資源であり、これが禁輸されると本当に困ってしまいますが、中国側はさらにその先を見ています。私たちも、その前提で現状を直視し、想定し得る不確実性やリスクに備えるべきでしょう。
(加藤 嘉一)

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