円の通貨価値が下落する一方で、株価が上昇するのは、「株が上がっている」のではなく「円の価値が下がっている」という側面が強い。
金融インフレの時代には資産価格がほぼ際限なく、つまりシステム全体が破綻するまで上昇する
現在の株高は現代貨幣理論(MMT)の代償による通貨の崩壊(日本円の下落)と、それに伴う資産価格の上昇(株高)という既定のプロセスで進行している。
政府の債務増大を日本銀行が支える政策(財政支配)が、日本円の通貨崩壊を引き起こしている。
インフレヘッジとしての資産通貨価値が下落する一方で、株価が上昇するのは、「株が上がっている」のではなく「円の価値が下がっている」という側面が強い。
日本人は過去の栄光に浸っているのでこの構造は理解されにくいが、通貨安と株高の関係を最も簡単に示しているのはトルコの通貨と株価であろう。
チャートをみれば、トルコリラは2021年以降大暴落しているが、トルコの株価指数であるイスタンブール100種指数は大暴騰しているのが分かるだろう。
イスタンブール100種指数(月足)
ドル/トルコリラ(月足)
トルコの通貨と株価の関係はそのまま日本にも当てはまる。円安と株高は輸出企業の業績を見かけ上良くするため連動しやすい。
ドル円(月足)
日経平均CFD(月足)
加えて、またしても「循環融資」によるAI設備投資バブルが強化(これは2000年の時と同じく崩壊するまでやめられない)され、ゼロヘッジが「自己満足のAI設備投資バブル」とやゆするAI祭りが展開されている。これも生成AI指数と呼ばれる日経平均株価や韓国総合株価指数KOSPIの上昇に拍車をかけている。
OpenAIをめぐる循環融資の構図「AIバブルは滑稽なほどに荒唐無稽な高みに達している。収益は設備投資要件に比べれば皆無に等しい。業界はこの幻想を維持するため、将来的に何らかの形で資金調達されるという空想的な資本額を発表する循環融資を行っている。
さらに悪いことに、この未来の狂気を支えるための電力・水使用量の予測は非現実的であり、政治的にも成立しない」(エドワード・ダウト)
ナスダック100CFD(月足)
SOX指数CFD(月足)
インフレ局面において最も大きな犠牲を払うのは政府や企業ではなく、個人(特に中間層や年金生活者)である。インフレの「敗者」と「犠牲者」はサラリーマンや年金生活者である。
実質賃金が目減りし、預貯金の価値が実質的に政府の借金返済に充てられるため、最も大きな損害を被る。円の価値劣化(通貨価値の低下)が進行しているにもかかわらず、多くの個人は危機に気づいていない。
資産運用の究極の目的はインフレヘッジ(現金の価値減少への備え)にある。中央銀行による際限のない通貨増刷というポンジスキームから身を守るには株もインフレヘッジの一つになる。2020年以降に始まったインフレサイクルの中では、結局、現金(預金)しか持っていない人が損をする時代なのだ。
金融インフレの時代には資産価格がほぼ際限なく、つまりシステム全体が破綻するまで上昇する。過去の超インフレ期に株価がどう動いたか、1919~1933年のワイマール共和国や1978~1988年のメキシコをみれば分かるように、金融インフレに積極的に関与するシステムは、つまるところ破綻する。インフレ期には実質賃金が減少して大衆の生活水準が落ちてしまうからだ。
多くのものの価格は、非常に馬鹿げているように見える
日本のゴールデンウイーク中にウォーレン・バフェットが米CNBCに出演した。
バフェットは、「私は市場を、カジノが併設された教会に例えてきた。
バークシャーは記録的な3,970億ドルの現金を意図的に保有している。それが彼の答えだ。60年以上にわたる投資歴で、バフェットは本当に「例外的な買い場」が訪れたのはわずかな年数だけだったと語った。
バークシャー・ハサウェイの現金残高が過去最高を更新
「自分と意見が合う人を探してはいけない。自分が何を話しているのかさえ理解してくれる人を探してはいけない。自分で考えなければならない。
群衆から距離を置く能力こそが、あなたに必要な資質なのだ」(ウォーレン・バフェット)
(石原 順)

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