今後イラン戦争が終結した場合、AI関連株一極集中という物色動向に変化が生じる可能性があります。原材料の高騰や原料調達難の影響懸念が後退するため、多くの産業において買い安心感が強まり、過熱感の強いAI関連株からの資金シフトが想定されます。
アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15
コード 銘柄名 現在値 配当利回り コンセンサス
レーティング 移動平均線
乖離率 月間
騰落率 7283 愛三工業 1760.0 5.97 3.7 ▲7.61 ▲9.04 4028 石原産業 2612.0 5.25 4.0 ▲14.63 ▲6.14 2181 パーソルホールディングス 241.2 5.11 3.6 1.48 0.08 8252 丸井グループ 2724.5 5.08 3.8 ▲10.37 ▲10.20 3231 野村不動産ホールディングス 902.0 5.04 3.7 ▲12.48 ▲11.74 6436 アマノ 3622.0 5.04 4.0 ▲5.23 ▲7.46 5110 住友ゴム工業 1917.0 4.83 3.9 ▲9.84 ▲9.55 5021 コスモエネルギーホールディングス 3701.0 4.82 3.5 ▲13.59 ▲15.02 4613 関西ペイント 2337.0 4.77 3.8 ▲4.61 ▲2.97 2124 ジェイ エイ シー リクルートメント 860.0 4.73 4.5 ▲0.12 ▲1.26 3861 王子ホールディングス 777.1 4.72 3.5 ▲9.95 ▲7.72 7994 オカムラ 2294.0 4.69 3.5 ▲9.07 ▲10.00 3612 ワールド 1504.0 4.65 4.0 ▲2.44 ▲4.02 2154 オープンアップグループ 1846.0 4.64 4.2 2.70 4.35 7202 いすゞ自動車 2220.0 4.63 3.7 ▲5.98 ▲4.35 ※データは2026年5月22日時点。単位は配当利回りと月間騰落率、移動平均線乖離率は%、時価総額は億円。配当利回りは予想、移動平均線乖離率の基準は13週移動平均線。
※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。
※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。
表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。
5月22日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。
なお、上場市場は各社ともにプライム市場となっています。
AI・半導体関連への集中物色で日経平均は6万円突破
4月17日終値~5月22日終値までの日経平均株価(225種)は8.3%の大幅上昇となりました。
米国とイランの停戦延長、米国主要企業の好決算発表などが材料視されて買いが先行、4月23日には一時6万円を突破しました。
国内市場連休中に海外市場でハイテク株の上昇が加速、人工知能(AI)・半導体関連銘柄に買いが集中しました。
5月14日に高値6万3,799円をつけてからはいったん調整場面を迎え、20日には25日移動平均線、ならびに、6万円の大台を一時割り込む動きとなりました。ホルムズ海峡の封鎖長期化を懸念して原油相場が上昇、インフレ懸念の再燃に伴う世界的な長期金利上昇が嫌気される展開になりました。国内AI関連株の中核銘柄が決算発表を受けて急落したことも警戒材料視されました。
しかし、21日に1,879円高、22日に1,654円高となり、急速に切り返す形で、22日までの取引を終えています。
こうした中、ランキングTOP15は売りが優勢となり、上昇は2銘柄にとどまる形となっています。AI・半導体関連銘柄への集中物色が続く中、引き続き、高配当利回りなどバリュー株への資金流入は限定的な状況が続いています。
コスモエネルギーホールディングス(5021)、野村不動産ホールディングス(3231)、丸井グループ(8252)、オカムラ(7994)が2ケタの株価下落となりました。コスモエネルギーHDは今期の減益見通しをマイナス視する動きが続き、丸井グループやオカムラも今期業績見通しが市場予想を下振れたことで売りが優勢となっています。野村不動産HDは不動産株として国内長期金利の上昇が嫌気されました。
一方、オープンアップグループ(2154)は決算発表後にアナリストの評価の高まりが散見されるなど、経営改善に見直しの動きが強まったもようです。
決算発表直後だけに今後コンセンサス利回りの修正余地は残る状況
今回、新規にランクインしたのは、野村不動産HD(3231)、コスモエネルギーHD(5021)、王子ホールディングス(3861)、オカムラ(7994)、いすゞ自動車(7202)の5銘柄。除外となったのは、極東開発工業(7226)、ピジョン(7956)、KHネオケム(4189)、JT(日本たばこ産業:2914)、DIC(4631)でした。
新規銘柄は、株価が10%以上下落した野村不動産HD、コスモエネルギーHD、オカムラのほか、王子HD、いすゞ自動車も含め、相対的に株価の下落率が大きかったことでランクインする形になっています。野村不動産HDは増配計画も利回り上昇につながっています。
一方、除外となった極東開発工業は株価が大きく下落したことで、時価総額が1,000億円の基準を割り込む状況となっています。ちなみに、会社計画ベースでの配当利回りは5.5%の水準。ほか、25%の上昇となったDICをはじめ、ピジョン、JTは株価上昇により利回り水準が低下した格好です。
2026年3月期の決算発表を終えたばかりのタイミングであり、アナリストコンセンサスと会社計画の配当予想で乖離が目立つ銘柄が多くなっています。
特に乖離が大きい(0.2ポイント以上の開き)のは、愛三工業(7283)、石原産業(4028)、パーソルホールディングス(2181)、住友ゴム工業(5110)、コスモエネルギーHD(5021)、ジェイ エイ シー リクルートメント(2124)、ワールド(3612)、いすゞ自動車(7202)などとなります。
会社計画ベースの配当利回りは、愛三工業が4.55%、石原産業が4.98%、パーソルHDが5.39%、住友ゴム工業が4.38%、コスモエネルギーHDが4.46%、ジェイ エイ シー リクルートメントが4.42%、ワールドが4.45%、いすゞ自動車が4.23%となっています。
パーソルHDのみコンセンサス水準が会社計画を下回っており、それ以外はコンセンサス水準が会社計画を上回る状況になっています。
全般的に、今後は会社計画水準にコンセンサスの配当利回り水準は近づいていくことが想定されますが、愛三工業、コスモエネルギーHD、住友ゴム工業、いすゞ自動車はコンセンサス水準が高すぎる印象があります。
中東情勢改善は物色シフトを促す可能性
中東情勢の改善に対する期待感で、株価は一段高になっています。
材料価格上昇や原料調達難の影響が相対的に乏しいとの見方も、足元のAI・半導体関連株上昇につながっている面もあると考えられます。そのため、ホルムズ海峡の封鎖が解除されれば、他の景気敏感株などにも買い安心感は高まることになるでしょう。
ここまで買い進まれてきたAI関連株には過熱感も強く、出遅れている銘柄への資金シフトが生じるものとみられます。高配当利回り銘柄なども総じて株価の出遅れ感は強く、出遅れ物色の対象となるでしょう。新年度の配当計画が出そろったタイミングでもあり、あらためて高配当利回り銘柄に関心を高めたい局面です。
(佐藤 勝己)

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