5月の楽天DI調査では、日経平均の大幅上昇を受けて、個人投資家の強気見通しが一段と強まりました。一方で、為替は円安見通しが続いており、投資先も金やプラチナ地金から外国株式へと関心の変化が見られました。
はじめに
今回のアンケート調査は2026年5月25日(月)から5月27日(水)にかけて実施、2,400名を超える個人投資家からの回答を頂きました。
5月末の日経平均株価は6万6,329円で取引を終えました。前月末終値(5万9,284円)からは7,045円高と上昇幅が大きくなったほか、4月の上昇幅と合わせると、ここ2カ月間の間に1万5,000円以上も株価水準を切り上げた格好です。
あらためて、5月の国内株市場を振り返ると、月初の日経平均は前月末の終値水準で始まる静かな動きでしたが、大型連休明けには中東情勢の改善期待やAI・半導体関連銘柄の買いによって急上昇。連休前の6万円台割れから一気に6万3,000円台に乗せる展開となりました。
中旬に入ると、日米の金利上昇傾向が重しとなり、6万円台を下回るところまで下落したものの、月末にかけては再び急上昇し、6万6,000円台を超える展開となりました。
日経平均のDIについては、調査期間中に6万5,000円台に乗せてきたことも影響し、1カ月先の見通しが強気に大きく傾きました。また、為替の見通し(米ドル円)については、5月の債券市場で金利(利回り)が上昇する場面があったことや、日本銀行の利上げ観測がくすぶりながらも円安見通しが継続する結果となりました。
次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。
日経平均の見通し「強気ムードの強まりで短期DIが急上昇」
今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月先がプラス40.75、3カ月先はプラス21.89となりました。
前回調査の結果がそれぞれプラス13.17、プラス24.86でしたので、DIの値自体は1カ月先が大きく改善、3カ月先がやや後退となりました。とりわけ、1カ月先見通しが強気に傾いた印象となっています。
アンケート調査期間中の日経平均が25日(月)に6万3,000円台から6万5,000円台へと株価水準が切り上がっていたことも今回の結果に影響したと思われます。
1カ月先DIの回答内訳グラフを見ると、強気派の割合が50.40%と過半数に達しており、弱気派も1割に満たない状況であることが確認できますが、ここまで強気派が優勢となるのは、昨年10月調査以来となります。
2025年10月調査では、当時の日経平均が5万円台を超えてきたタイミングだったこともあり、強気派が65.44%、弱気派が5.08%となっていましたが、翌11月は株価が下落基調に転じてしまい、結果的に強気のピークとなりました。
となると、今回調査の結果も「楽観のピーク」となってしまうのかが気になるところですが、6月相場を迎えた足元の日経平均は6万5,000円台、そして6万8,000円台と、株価水準がさらに切り上がっており、今のところ強気姿勢は続いている状況です。
こうした株価上昇の背景には、中東情勢に対する楽観的な見方が優勢になったことや、AI・半導体関連銘柄の買いが主因として挙げられます。
しかし、これらは特に目新しい材料ではなく、確かに、AI相場の物色対象が、AI投資を行っているハイパースケーラーから、半導体製造関連、メモリ関連銘柄、電子部品銘柄へと広がってはいるものの、いずれも「旺盛なAI投資が続く限り」というのが前提であることに変わりはありません。そのため、市場には「相場の過熱感や行き過ぎ感」も出始めています。
また、来週12日(金)の特別清算指数(メジャーSQ)を控えた、オプション取引市場でのヘッジ買い加速(ガンマ・スクイーズ)も株価の上昇に拍車をかけている面もあり、メジャーSQ通過後も株価の上昇基調が続くのかが6月相場の焦点になりそうです。
月の半ばはちょうど、日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)といった金融政策イベントが予定されている時期でもあります。
そのため、足元の急ピッチな株価上昇はそろそろ一服する可能性を意識しておく必要がありそうです。ただ、あくまでも過熱感の修正であり、3カ月先DIの回答内訳グラフを見ると、中長期的な相場見通しは強気が維持されている様子がうかがえます。
今回の3カ月先DIの値(プラス21.89)は、前回(プラス24.86)から後退していますが、強気派・弱気派・中立派の勢力図はあまり変化しておらず、強気派の割合が弱気派の2倍以上もあるため、仮に、目先で株価が調整する場面が訪れたとしても、下値を拾う意欲は高いと思われます。
外国為替DI:6月見通し「構造的なドル買い圧力と介入警戒感の綱引き」
楽天証券FX・CFDディーリング部
楽天DIとは、ドル円、ユーロ円、豪ドル円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものである。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示す。
「1カ月後のドル円はどう動いているとお考えですか?」楽天証券が、個人投資家を対象にドル円相場の先行きについてアンケート調査を実施したところ、回答者の12.40%が「ドル安/円高」、48.14%が「変わらず」、39.46%が「ドル高/円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想から円高予想の割合を引いて求めたDIは+27.06になった。
先月DIの+25.09からやや上昇し、円安予想が増えた。
DIは、マイナス100から+100までの値をとり、DIのプラス値が大きくなるほど、円安見通しの個人投資家の人数が多いことを示し、逆にマイナス値になるほど、円高見通しの個人投資家の人数が多いことを示す。
構造的なドル買い圧力と介入警戒感の綱引き
5月の為替市場は、中東情勢の緊迫化を起点とした「原油高・インフレ再燃・米金利上昇」という構造的なドル高・円安圧力に支配された1カ月となった。
上旬から中旬にかけて、市場は主要中央銀行のタカ派的な政策維持と中東リスクに翻弄(ほんろう)された。4月末には、ドル円が一時160円72銭まで上昇する場面があったが、日本当局による約10兆円超規模の実弾介入が実施され、155円台半ばまで下落した。
その後、介入の影響が一巡すると、米国の堅調な経済指標や米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言を背景に、再びドル買いが優勢となった。日銀の利上げ示唆も円高へのインパクトは限定的であり、市場は構造的なドル優位の地合いを再確認する展開となった。
下旬に入ると、市場の焦点は米・イラン間の和平協議の行方へシフトした。協議の停滞やホルムズ海峡の緊張が報じられるたびに「有事のドル買い」が誘発され、ドル円は159円台まで上値を切り上げた。
しかし、159円近辺では政府・日銀による介入警戒感が強く意識され、片山さつき財務相による「断固たる措置」を示唆する口先介入も重なって、上値の重い神経質な攻防が続き、和平合意に関する報道の真偽を巡り相場が乱高下するなど、地政学的リスクに伴う情報がボラティリティを高める結果となった。
金融政策面では、FRBや欧州中央銀行(ECB)がインフレ圧力の根強さを背景に「高金利の長期化」姿勢を崩さず、これがドルおよびユーロを下支えし続けた。
今後の見通しについては、引き続き中東情勢のヘッドラインと米国のインフレ指標が鍵となる。上方向のリスクとしては、和平協議の決裂により原油価格が急騰し、米金利上昇を伴って160円台後半を試すオーバーシュートの可能性がある。逆に下方向には、米国のインフレ鈍化や和平合意の進展が確認されれば、ドル買いポジションの巻き戻しが加速するシナリオが想定される。
総じて、5月は「介入警戒」と「構造的なドル買い圧力」という二つの相反する力が均衡する局面であった。今後も市場は突発的なニュースフローに左右されやすく、当局の動向と地政学的リスクを注視する緊張感の高い展開が続くだろう。
ユーロ円
ユーロ円相場の先行きについては、回答者の9.01%が「ユーロ安/円高」、61.91%が「変わらず」、29.08%が「ユーロ高/円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは+20.07と、前回の+22.12からやや後退した。
豪ドル円
豪ドル円相場の先行きについては、回答者の8.80%が「豪ドル安/円高」、65.27%が「変わらず」、25.93%が「豪ドル高/円安」に動くと予想していることが分かった。
円安予想と円高予想の差であるDIは前回の+20.63から今回+17.13と、円安予想がやや後退した。
今後、投資してみたい金融商品・国(地域)
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
今回は、前回に続き、毎月実施している質問「今後、投資してみたい金融商品」で、「外国株式」と「金やプラチナ地金」を選択した人の割合に注目します。選択肢の数は、表のとおり13個ずつです。
図:今後、投資してみたい金融商品で「外国株式」と「金やプラチナ地金」を選択した人の割合(複数選択可)
2026年5月の調査において、「今後、投資してみたい金融商品」で「外国株式」を選択した人の割合は41.68%、「金やプラチナ地金」を選択した人の割合は16.88%でした。外国株式は急反発、金やプラチナ地金は急反落した格好です。
今年の2月28日に、米国とイスラエルがイランを攻撃したことをきっかけに、中東情勢の悪化に拍車がかかりました。
金融関係者やそれになじみのある人々の間では、大規模な不安が発生したことを受け、「株価指数が下落し、金(ゴールド)相場が上昇する」というイメージを抱いた人が多かったようです。
しかし、実際のところ、主要国の株価指数が大暴騰こそしていないものの、最高値を更新したり、金(ゴールド)相場の上値が重い状態が続いたりしています。
情勢悪化後、特にホルムズ海峡をめぐる動向において、期待と懸念が交互に大きくなる傾向があります。確かに、同海峡の事実上の封鎖実施は大きな懸念を生みましたが、その後は米国とイランの間で事態の解決に向けた交渉が進んでいるとの報道もあります。
このような懸念と期待の拡大の連続は、世界全体に一方的な懸念も期待も与えない、どちらともとれる(どちらともとれない)環境を提供しています。この動きを受け、株価指数においても、金(ゴールド)相場においても、大暴騰や大暴落が起きていないといえます。
個別に見れば、株価指数においては、巨大な株式の新規公開(IPO)が行われる旨の報道があったり、AIや半導体などの先進的なテーマが注目されたりしています。こうした、株式市場に大きな期待をもたらす事象が重なっていることが、(中東情勢の悪化に拍車がかかっても)主要国の複数の株価指数を最高値に導いているといえます。
金(ゴールド)相場においては、中東情勢の悪化をきっかけとした原油相場の高止まりを受けて米国で利下げがとん挫し、ドル高が進む懸念が浮上しています。
戦争や紛争などの伝統的な有事が金(ゴールド)相場に上昇圧力をかける中、それを相殺するドル高をきっかけとした下落圧力が存在しているため、伝統的な有事が起きていても金(ゴールド)相場が目立った上昇を演じない、という事態が発生しているといえます。
今後も、株価指数が最高値を更新したり、金(ゴールド)相場の上値が重い状態が続いたりすれば、「外国株式」を選択した人の割合は上昇し、「金やプラチナ地金」を選択した人の割合は低下する可能性があります。
引き続き、中東情勢および株価指数に大きな期待をもたらすテーマの動向に、注目していきたいと思います。
表:今後、投資してみたい金融商品 2026年5月調査 (複数選択可)
表:今後、投資してみたい国(地域) 2026年5月調査 (複数選択可)
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