赤字でも欠かせない! 船は離島住民にとって「道路」代わり

 離島航路は、離島に暮らす住民にとって、日常生活における移動だけでなく、生活必需品や主要物資などの輸送も担っているため、不可欠のインフラといえる存在です。言うなれば「動く道路」であり、もし船が止まってしまえば、島での生活そのものが成り立たなくなってしまいます。

【写真】これが日本初「リニアジェット船」の詳細です 既存船との比較も

 しかし、その経営は決して楽なものではありません。離島航路は利用者の減少や運航コストの増加などを背景に赤字航路が多いとされており、島民生活に不可欠な航路を維持するために、国や自治体が補助を行う枠組みが設けられています。

 具体的には、他にとって代わる手段がない「唯一かつ赤字の航路」を対象とした運営費補助(欠損見込額に対する補助)などの仕組みがあり、公費によって島民の足が守られています。

 さらに離島航路は、多頻度小口輸送が困難で効率が上がりにくいという構造的な課題も抱えています。国土交通省によれば、近年の原油価格高騰は経営状況をさらに圧迫し、欠損額が増大する要因となっています。

 まさに、赤字であっても「島民を守るために休めない」という過酷な現実があるのです。

船員が足りない!? 「船の老朽化」以上に深刻な人手不足への対策

 また、船員の高齢化も待ったなしの課題です。国内の沿岸航路を担う「内航船員」の年齢構成は、5割近くを50歳以上が占めているとされています。若い世代の確保と育成は、航路維持のための最重要テーマといえます。

島民の命をつなぐ「動く道路」離島フェリーの赤字と深刻な船員不...の画像はこちら >>

離島航路が抱えるさまざまな問題とは?(画像:写真AC)

 こうしたなか、新たな支援の形も始まっています。その一つが、自治体などが船舶を保有し、民間事業者が運航を担う「公設民営方式」です。これにより事業者の負担を軽減し、船舶の代替建造をスムーズに進める制度上の支援が示されています。

 また、運航・経営の効率化を目指した「効率化船舶」の導入も進められています。これは、省エネルギー設備などを備えた一定の要件を満たす船舶を指し、環境負荷の低減とコスト削減の両立が期待されています。

 離島航路を維持するためには、郵便や生活必需品、主要物資の輸送といった「貨物輸送」の役割を確実に果たすことも、補助要件として重要な要素となります。

 私たちがふだん何気なく眺めている離島フェリー。そこには、島の人々の暮らしを守るための懸命な努力と、それを支える精緻な支援の仕組みが隠されているのです。

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