大きな荷物があるとき、乳幼児連れのとき、車内販売を利用したいときなどに座席をあらかじめ指定すれば、旅行がより快適に。また、同じ普通車でも車両形式で差があることも。

新幹線の普通車でそんな「ちょっと便利な座席」を紹介します。

座席を指定して快適旅行

 新幹線に限らず列車の多くは、同じ運賃・料金を支払った乗客には同じだけのサービスを提供します。しかし乗客それぞれにとっては、出口が近い、多目的室が近い、荷物が置きやすいなどといった「便利な座席」をあらかじめ指定できれば、旅行もより快適になります。

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秋田新幹線「こまち」に使われているE6系(画像:写真AC)。

 ここでは新幹線の普通車を例にとり、これまでの経験から状況別に「ちょっと便利」だな、と思った席を紹介します。

大きな荷物があるときは

 大きな荷物は荷棚に上げるのも大変ですが、かといって座席の前に置くのも窮屈です。

 東北・上越・北陸新幹線では、「はやぶさ」などのE5系・H5系、「こまち」などのE6系、「とき」「かがやき」「はくたか」などのE7系・W7系の偶数号車の1番D・E席に相当する部分に大型荷物置き場があります。ここに荷物を置ければ何かと便利ですが、座席が離れていると盗まれないか落ち着かない場合もあります。また、大きな荷物を持って通路を歩くのは大変なので、ドアに近い所に席を確保したいものです。

 そういう場合は荷物置き場の隣、1番A~C席を指定しましょう。横が荷物置き場なら安心して荷物を置けます。東海道・山陽新幹線にはこのような設備はありませんが、座席とデッキの仕切りのあいだに荷物を置けます。

下り新大阪方面だと5・13・15号車が18番A~E席、3号車が17番A~E席、7・16号車が15番A~E席、1・11号車が13番A~E席、16号車を除く偶数号車は20番A~E席が、上り東京方面だと各号車の1番A~E席が該当します。

 なお東海道・山陽・九州新幹線のこれらの席は2020年5月から、「特大荷物スペース付き座席」として事前予約が可能になります。大きな荷物を持って旅行する際は、この席をあらかじめ指定すると良いでしょう。

同じグレードでも設備が違う

 乳幼児連れの場合は、旅行中でも授乳やおむつ替えなどをしなくてはならない場合があります。そんなときに利用できるのが多目的室です。

 多目的室は、東海道・山陽新幹線のN700系は11号車、東北・上越・北陸新幹線のE5系・H5系は5号車、E7系・W7系は7号車にあります。

乗務員に申し出ることで使用できます。

 乳幼児を連れての旅行の際はこの多目的室周辺の席を予約すれば安心感もひとしおといったところ。特にE5系・H5系であれば、6号車1番A~C席は荷物置き場にも近くおすすめです。

 東北新幹線「はやぶさ」「こまち」は、盛岡駅で編成の分割・併合を行います。つまり、東京~盛岡間の利用であればどちらの列車に乗っても構わないわけです。「はやぶさ」はE5系・H5系、「こまち」はE6系が使われますが、E5系・H5系のシートピッチ(座席の前後間隔)は1040mm、E6系は980mmです。

60mmの差は着座すると体感できるほどに大きく、手荷物次第では、E6系はやや窮屈に感じるかもしれません。

新幹線のいい席&便利な席 大荷物・子連れ・車内販売で有利な席は? ゆったり普通車も

E5系・E6系による盛岡行き「はやぶさ103号」。このように同じ行先の列車でも設備の異なる車両が使われることも(児山 計撮影)。

 一方、E6系の座席はE5系・H5系に比べて15mmほど幅が広く、横4列なので必ず窓側か通路側の座席になります。どちらにもそれなりに利点があり迷うところですが、たとえば車窓を楽しみたいというのであれば窓が近くなるE6系、お土産などを抱えて疲れて帰るときは少し足を伸ばせるE5系・H5系といった選び方ができます。

 また、山陽新幹線では「のぞみ」と、「みずほ」「さくら」で使う車両が異なります。

「みずほ」「さくら」に使われるN700系7000・8000番台の指定席は、グリーン車並みの横幅を持った横4列のゆったりとしたシートが使われています。もし旅程が山陽新幹線内で完結するならば、「のぞみ」と所要時間が変わらない「みずほ」の指定席を狙ってみても良いかもしれません。

 同じ普通車でもこのように車両形式が異なると設備も異なります。目的に合った席を選べばより快適に旅行が楽しめます。

個人的に「良かった」席

 また、個人的な経験から「取って良かった」と思う席もありました。東京から東海道新幹線「のぞみ」で名古屋に出かけたときのこと。

11号車に乗り品川を発車すると「車内販売は7号車から11号車までとさせていただきます」と放送が入りました。

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東海道新幹線の車内販売は7号車と10号車からスタート。利用したい場合は7号車か11号車がおすすめ(児山 計撮影)。

 このようにパーサー(販売員)が1人のときは、グリーン車を挟んだ7~11号車のみ車内販売が巡回するケースがあります。そうでない場合も、混雑時は編成の端の1号車や16号車にはなかなか車内販売が回ってきません。これは普通車の車販基地が7号車と10号車にあり、ここから1号車や16号車に向かうためです。

 東海道新幹線で車内販売を利用したい場合は、できるだけ7号車や11号車に近い席を取ると良いでしょう。なお、東海道新幹線でも「こだま」は車内販売がありません。

 これまで紹介したような希望の座席を指定する場合は、駅の指定席券売機が便利です。希望の車両や号車を選ぶと空いている座席が表示され、好きな座席を選べます。また、トイレや多目的室の位置などを知りたい場合は、各鉄道会社のウェブサイトに列車ごとの座席や設備の一覧が掲載されているので、旅行前に目を通しておくことをおすすめします。