~2025年国内企業の「粗利」に関する調査~
仕入価格やエネルギー価格の上昇が長引くなか、国内企業の売上拡大が続いている。ただ、利益は、販売価格の見直しや商品構成の改善などで粗利(売上総利益:売上高-売上原価)を確保する企業がある一方で、増収でもコスト増を吸収しきれず収益が悪化する企業とで二極化が進んでいる。
東京商工リサーチが保有する財務データをもとに、売上高、粗利、粗利率の推移を集計、分析した。
※本調査は、東京商工リサーチが保有する財務データベースから、2024年10月期-2025年9月期を最新期とし、8期連続で売上高と売上総利益が判明した企業17万9,054社を抽出し、動向を分析した。なお、金融・保険業は分析対象から除いている。粗利(売上総利益)とは、売上高から仕入れや製造にかかった費用(売上原価)を差し引いた、企業の本業における基本的な稼ぎを示す指標である。
コロナ禍後売上、粗利は拡大続く 2025年は粗利率22.0%
最新期を2024年10月期-2025年9月期(2025年)とし、新型コロナウイルス感染拡大の直前期から、平均売上高、平均粗利(売上総利益)、粗利率の推移を追った。
1社あたりの平均売上高は、2019年の42億5,160万円から2025年は46億8,205万円に10.1%増加した。コロナ禍の影響が広がった2020年に41億7,385百万円(前年比1.8%減)、2021年に38億8,250万円(同6.9%減)と大幅に落ち込んだが、経済活動が正常化し始めた2022年は40億2,769万円(同3.7%増)に持ち直し、その後も拡大が続いた。需要の回復に加え、物価高を背景とした価格改定が売上高を押し上げたとみられる。
平均粗利も、2019年の8億3,926万円から2025年に10億3,033万円と22.7%増加した。売上高と同じ傾向をたどり、2020年は8億1,708万円(前年比2.6%減)、2021年は7億7,097万円(同5.6%減)まで低下したが、2022年は8億2,745万円(同7.3%増)に持ち直し、増益基調になっている。
粗利率は、2019年の19.7%からコロナ禍でも大きな落ちこみはなく、2025年は22.0%と、6年間で2.3ポイント上昇した。ロシアのウクライナ侵攻による影響で、原材料や燃料などの深刻な原材料コストアップで、2023年は19.8%に落ち込んだが、足元では売上拡大だけでなく収益確保も進み、全体の粗利率は20%台で推移している。
資本金別で粗利率の推移をみると、資本金1億円未満は2019年の20.1%から2025年は20.8%と、小幅な上昇にとどまった。
増収増益(粗利)企業比率は4割台を維持も、コスト増を吸収しきった企業は2割弱
次に、売上高と粗利がともに増加した増収増益の企業数を算出した。増収増益企業は、2025年に7万7,653社(構成比43.3%)と4割ほどを占めている。年ごとの推移では、コロナ禍で経済活動が落ち込んだ2020年は6万9,707社で構成比38.9%、2021年は5万6,830社で同31.7%と続落したが、その後、2022年は8万423社(構成比44.9%)まで回復し、2019年の水準を上回った。ただ、その後は微減が続き、2025年は7万7,653社(同43.3%)となった。
物価高で家計の節約志向が強まったことに加え、値上げ効果も一巡し、足元では増収増益の企業がやや減少している。全体の平均売上高や平均粗利は改善しているが、売上高と粗利がそろって伸びた企業は減少し、平均値の改善ほどには好調さが企業全体に広がっていないようだ。
増収増益企業のうち、原材料価格の価格転嫁や採算改善で、粗利伸長率が売上原価増加率を上回った企業は、2025年は3万5,363社(構成比19.7%)で、全体の2割弱にとどまった。2019年の3万3,861社(構成比18.9%)に比べ増えているが、コスト増を上回るペースで収益を積み上げられた企業は限られており、物価高への対応力には企業間で濃淡がみられる。なお、増収増益企業以外で、粗利伸長率が売上原価増加率を上回った企業は見られなかった。
小売業、サービス業他で改善、運輸業は持ち直し途上
産業別の粗利率をみると、2025年に最も高かったのは小売業の32.3%だった。次いで、サービス業他が31.9%、情報通信業が28.4%で続いた。
産業別に粗利率の推移をみると、コロナ禍前の2019年から改善が目立ったのは、サービス業他、小売業だった。2025年の粗利率は、サービス業他が31.9%と2019年の25.5%から6.4ポイント上昇し、小売業も32.3%と同29.3%から3.0ポイント上昇した。この2産業は、店舗運営費や人件費などの販管費負担が重く、本業収益を確保するうえで一定の粗利率が求められる点が特徴だ。
一方、コロナ禍前の2019年から低下したのは、農・林・漁・鉱業と不動産業、運輸業だった。
農・林・漁・鉱業は、肥料・飼料などの原材料価格や燃料費の上昇が重荷になっている可能性が高い。不動産業は、企業数の多い賃貸、管理などで収益が比較的安定しやすい半面、もともとの粗利率水準の変動が小さく、物価高局面でも改善余地が限られた可能性がある。運輸業は10産業の中で変動が目立つ。2019年の18.6%から2021年に7.5%まで大幅に落ち込み、低迷が続いたが、足元の2025年は18.5%まで回復した。
粗利伸長率が原価増加率を上回った構成比は運輸業の30.9%が最大
産業別に、粗利伸長率が原価増加率を上回った企業の構成比をみると、2025年に最も高かったのは運輸業の30.9%だった。次いで、製造業が25.5%、卸売業が22.2%、農・林・漁・鉱業が20.8%で続いた。
運輸業は1,207社(構成比30.9%)で、10産業のなかで唯一3割を超えた。全体の粗利率はコロナ前に届かないが、運賃改定や価格交渉の進展によって、コスト増を上回るペースで粗利を確保できた企業が多かったとみられる。
一方、不動産業は628社(同13.6%)で最も低く、サービス業他も4,405社(同16.3%)にとどまった。売上や粗利が改善しても、コスト増を上回るペースで収益を積み上げられた企業は限られており、物価高への対応力には産業ごとに差が表れている。
業種別ランキングでみる物価高対応力、好調業種と苦戦業種が鮮明
対象企業が20社以上の業種について、売上高と粗利がともに増加した企業の構成比をみると、最も高かったのは宿泊業で77.1%だった。
次いで、道路旅客運送業72.0%、水道業70.8%、その他のサービス業70.8%、鉄道業70.7%で続いた。総じてコロナ禍が直撃した一方で、人流回復や料金改定の影響が浸透しやすい業種で売上高と粗利をそろって伸ばした企業の割合が高かった。
こうした増収増益企業のなかで、粗利伸長率が原価増加率を上回った企業の構成比が最も高かったのは、水道業で43.0%だった。次いで、鉄道業40.5%、道路旅客運送業39.4%が続く。売上高と粗利を伸ばすだけでなく、原価増を上回るペースで粗利を積み上げた企業は、公共性が高く価格競争にさらされにくいインフラや、運輸関連が目立った。
上位20位まで広げると、製造業が素材や機械系を中心に9業種がランクインした。価格改定や製品構成の見直し、高付加価値品へのシフトなどを通じ、一定の収益確保が進んだ企業が多いようだ。
売上高と粗利がともに減少した企業 なめし革・同製品・毛皮製造業の50.0%が最大
一方、売上高と粗利がともに減少した企業の構成比が最も高かったのは、なめし革・同製品・毛皮製造業の50.0%だった。高騰する原価に対して家計節約の影響が大きく出たとみられる。
業種別にみると、需要の弱さ、エネルギーを中心としたコスト負担の重さ、価格転嫁のしにくさなどが重なった業種で、売上高と粗利を同時に落とす企業が多かった。業種間の明暗がより鮮明になっている。
物価高のなか、国内企業の平均売上高、平均粗利、粗利率はコロナ禍前を上回る水準まで改善した。値上げや商品構成の見直しなどを通じて、一定程度は原材料高やエネルギー高を吸収し、収益を確保する動きが広がっている。
ただ、その改善が企業全体に広く及んでいるわけではない。売上高と粗利をともに伸ばした企業は2025年に7万7,653社(構成比43.3%)と4割台を維持したものの、2022年をピークにやや減少した。さらに、粗利伸長率が売上原価増加率を上回った企業は3万5,363社(構成比19.7%)と、売上原価増を上回るペースで収益を積み上げられた企業は2割弱にとどまった。
産業別、業種別にみても、物価高への対応力には明確な差が出た。小売業やサービス業他では粗利率の改善が目立ち、運輸業や一部のインフラ関連では価格交渉や料金見直しを通じて収益を持ち直す動きがみられた。一方で、需要の弱さや原材料、燃料価格上昇の重さ、公定価格などで転嫁の難しさを抱える業種を中心に、売上高と粗利を同時に落とす業種も目立った。
物価高は企業の売上高を押し上げる一方で、企業間、業種間の収益力の差も広げた。

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