11月22日、阪神競馬場でGⅠマイルチャンピオンシップ(芝1600m)が行なわれる。
今年37回目を迎えるお馴染みのGⅠレースだが、今年は創設以来初めて、阪神競馬場で開催されるのが重要なポイントになる。
今年は8頭のGⅠ馬が出走を予定しているが、特に注目が集まりそうなのがグランアレグリア(牝4歳/美浦・藤沢和雄厩舎)とサリオス(牡3歳/美浦・堀宣行厩舎)だ。この2頭を徹底比較していこう。
グランアレグリアと、サリオスの「2強」の対決が注目されているが......
まずはグランアレグリアから。同馬は昨年のGⅠ桜花賞(阪神/芝1600m)の勝ち馬で、今春のGⅠ安田記念(東京/芝1600m)、前走のGⅠスプリンターズS(中山/芝1200m)を勝ってここに臨む。
このGⅠ3勝の内容はいずれもハイレベルだった。桜花賞は1分32秒7のレースレコードで、2馬身半差の快勝。
スプリントからマイルでの強さは現役ナンバーワンと言ってもよく、近年のマイルGⅠ馬の中でもかなり強い部類に入る。阪神コースは桜花賞のほか、GⅡ阪神C(芝1400m)も勝っている得意コースでもあり、実力的には最有力だろう。
ただ、不安点がないわけではない。スプリンターズSを勝ってマイルチャンピオンシップに出走した馬は過去に3頭いるが、勝利したのは2003年のデュランダルのみ。
レース間隔にも懸念ありだ。グランアレグリアはこれまで3勝したGⅠレースに、すべて中9週以上の間隔を開けて出走していたが、今回は中6週での出走となる。グランアレグリアが中8週以下で出走したのは昨年のNHKマイルC(中3週)だけで、単勝1.5倍の圧倒的1番人気ながら、4位入線からの5着に敗れている。
一方のサリオスは、今回と同じコース・条件で行なわれた昨年のGⅠ朝日杯フューチュリティS(阪神/芝1600m)でGⅠ初勝利。この春はクラシック戦線を歩み、GⅠ皐月賞(中山/芝2000m)2着、GⅠ日本ダービー(東京/芝2400m)2着と中長距離戦線で好走を続け、秋の始動戦・GⅡ毎日王冠(東京/芝1800m)を3馬身差で圧勝してここに臨む。皐月賞、日本ダービーで負けたのは"無敗の三冠馬"コントレイルで、他馬には常に1馬身1/4差以上をつけているのが高く評価できるポイントだ。
サリオスはこれまで4勝を挙げているが、まだ3歳でキャリア6戦ということもあり、適性距離がはっきりしない段階とも言える。1600mでGⅠを初めて勝ち、GⅢサウジアラビアロイヤルC(東京/1600m)では1分32秒7の2歳コースレコードを出してはいるものの、どちらも2歳時のパフォーマンスであり、古馬の一線級マイラーと対決するのは今回が初めて。
このレースの3歳馬は2017年ペルシアンナイト、2018年ステルヴィオと、近3年で2頭が勝利しているが、この2頭は4番人気、5番人気と、比較的気楽に乗れる立場だった。サリオスはグランアレグリアに次ぐ2番人気になりそうだが、昨年2番人気のダノンキングリーは5着、2014年1番人気のミッキーアイルは13着と敗れており、"人気の3歳馬"には厳しいレースとも言える。
以上、2頭を比較してみたが、能力的にはグランアレグリアが優位で、力を出し切れれば圧勝もあると見ている。ただ、どちらにも不安点はあり、「2頭で堅い」とは言い切れない。その一角を崩すとするならば、昨年の勝ち馬インディチャンプ(牡5歳/栗東・音無秀孝厩舎)が有力と見ている。
この秋はスプリンターズSを筋肉痛のため回避し、出走は安田記念以来の5カ月半ぶり。だが、昨年の同レースでGⅠ天皇賞・秋2着のダノンプレミアムを突き放した走りはすばらしく、かなり強いマイラーだ。マイルチャンピオンシップは2006年、2007年で勝利したダイワメジャーなど過去5例の連覇があるように、前年の勝ち馬が強さを見せるレースでもある。
前走の安田記念は3着に敗れたが、レース中に落鉄があったようで、その影響を考えれば十分に走っている。順調な臨戦過程ではないとはいえ、軽視できない存在だ。
以上、今年のマイルチャンピオンシップは、グランアレグリアを最優位に見つつ、前年の勝ち馬インディチャンプにも注意しておきたい。