【人気薄馬も含めた注目の馬は?】

 11月2日(日)、東京競馬場で3歳以上馬によるGⅠ天皇賞・秋(芝2000m)が行なわれる。

【競馬予想】天皇賞・秋で注目は「今年勝利が多い」血統 牝系が...の画像はこちら >>

 今年は確固たる中心的存在こそいないものの、実績馬が勢揃い。GⅠ宝塚記念(阪神・芝2200m)を勝ったメイショウタバル、GⅠ皐月賞(中山・芝2000m)を勝ったミュージアムマイル、香港GⅠクイーンエリザベス2世C(シャティン・芝2000m)を勝ったタスティエーラ、と今年のGⅠ馬が3頭出走する予定だ。

 さらに昨年のGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)馬アーバンシック、2023年のGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)を勝ち同年の天皇賞・秋2着だったジャスティンパレス、2023年の皐月賞馬ソールオリエンス、2023年のエリザベス女王杯を勝ったブレイディヴェーグと、合計7頭のGⅠ馬が出走を予定している。混戦模様で予想しがいのあるレースだ。

 では、血統的視点からこのレースを占っていこう。今年のGⅠの大きなポイントとなっているのがフレンチデピュティの血。クロフネなどの父としてお馴染みだが、今年はこの血を持つ馬がことごとくGⅠで好走を重ねている。

 エンブロイダリーがGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)とGⅠ秋華賞(京都・芝2000m)を、ミュージアムマイルが皐月賞を、メイショウタバルが宝塚記念を勝って4勝。そのほか、ガイアフォースの安田記念をはじめ2着は4回。3着も4回あるが、GⅠNHKマイルC(東京・芝1600m)で12番人気だったチェルビアット、菊花賞で13番人気だったエキサイトバイオなど。人気薄の激走も目立っている。

 今回も母系にフレンチデピュティを持つ馬が多く出走するが、筆者が狙いたいのはミュージアムマイル(牡3歳、栗東・高柳大輔厩舎)だ。

 同馬は祖母の父にフレンチデピュティを持つパターンで、父リオンディーズ、母の父ハーツクライという配合。母の父ハーツクライは、産駒は2013年のジャスタウェイ、2024年のドウデュースとこのレースを2勝しており、「母の父」としては2021年の勝ち馬エフフォーリアを輩出している。

そのエフフォーリアの父エピファネイアは、リオンディーズの半兄なのでミュージアムマイルと血統構成が似ている。

 エフフォーリアも、皐月賞を勝った3歳馬ということで共通点が多い。大きく異なるのはコース適性と臨戦過程で、エフフォーリアはGⅢ共同通信杯(東京・芝1800m)を勝ってGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)2着と、東京での実績十分だったが、ミュージアムマイルは東京コースでは日本ダービー6着のみと勝利がない。エフフォーリアは日本ダービーからの直行だったが、ミュージアムマイルはGⅡセントライト記念(中山・芝2200m)を勝っての出走となる。コース実績では不安があるが、前哨戦を制して順調な仕上がりを示したというのは強調材料になる。

 皐月賞を制した時も、GⅡ弥生賞ディープインパクト記念(中山・芝2000m)4着からの出走だったので、ひと叩きしてよくなるタイプなのだろう。皐月賞ではレースレコードの1分57秒0の好タイムで勝利したように距離適性が高いのは間違いない。2022年のイクイノックス以来となる3歳馬の勝利が期待できそうだ。

【覚醒に期待の6歳馬も】

 もう1頭はセイウンハーデス(牡6歳、栗東・橋口慎介厩舎)を推す。同馬は父シルバーステート、母の父マンハッタンカフェという配合馬。父シルバーステートは重賞勝ちがなく、5戦4勝の成績だが、GⅠ級のポテンシャルを見せた実力馬。2022、23年には600万円まで種付料が上がった人気種牡馬だ。

 セイウンハーデスは牝系が魅力的だ。九代母は日本を代表する基礎牝馬の1頭フロリースカップで、一族からはこの天皇賞・秋の勝ち馬スペシャルウィーク、メイショウサムソン、ウオッカが出ている。春秋合わせて今回172回目を迎える天皇賞、日本で長く根づいた牝系はしっくりくるし実績もある。

 セイウンハーデスは2023年GⅢ七夕賞(福島・芝2000m)、今年のGⅢエプソムC(東京・芝1800m)と重賞を2勝。エプソムCの走りがいい内容で、直線で後続を突き放す脚の速さは目を見張るものがあり、稍重馬場で1分43秒9のレコード更新も異例だった。GⅢで相手に恵まれた感もあるが、最後手綱を緩めて1馬身3/4の差をつけるのは相当な実力差がないとできない。

 6歳を迎えて覚醒したという印象も感じさせた。競走馬のピークは一般的に4歳秋と言われるが、稀に6歳以降で本格化する馬も少なくない。天皇賞・秋でいえば2009年のカンパニーが、8歳にしてGⅠ初制覇を果たしている。

 以上、今年の天皇賞・秋は、リオンディーズ産駒ミュージアムマイル、シルバーステート産駒セイウンハーデスの2頭に期待する。

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