この記事をまとめると
レクサスの新しいSUV、LBXのデザインをチェックした



■まったく新しいグリルデザインは「ユニファイドスピンドル」



■FR風の後ろに引いたAピラー付け根と小さなキャビンが特徴のサイドビュー



確かにレクサスなのにこれまでとは違う

6月5日に世界初公開されたレクサスの新型LBX。クラスレスコンパクトとして新しいラグジュアリーの価値を提案するという意欲作ですが、そのデザインの見るべきポイントはどこにあるのか? ここではエクステリアデザインに焦点を当て、じっくりチェックしてみたいと思います。



●ランプとグリルを統合して新しい顔を作る

LBXのボディサイズは4190×1825×1560mm。全長4415mmのメルセデス・ベンツGLA、4500mmのBMW X1よりひとまわり小さく、4200mmのアウディQ2に近いサイズです。

これだけ小さいと、GLAやX1のように、単に上級車をそのまま縮小しただけでは超没個性車に陥ってしまいます。



新SUVのLBXは「小さくしただけ」のレクサスには陥らず! ...の画像はこちら >>



新型のデザインコンセプトは「プレミアム・カジュアル」ですが、高級ブランドでありつつ、軽快さを打ち出そうとする意図は、もしかしたらそのあたりに理由があるのかもしれません。ただ、ベースをともにするトヨタのヤリスクロスのような「軽さ」ではもちろんNGです。



で、さっそくフロントを見てみると、まずは「ユニファイドスピンドル」と呼ばれる新しい顔に目が止まります。「何だそれ?」という感じですが、これはフード下の細いスリットと左右のシグネチャーランプ、そして低い位置に置いたスピンドル形状グリルとのユニファイド=統合という趣旨のようです。



新SUVのLBXは「小さくしただけ」のレクサスには陥らず! 個性と高級感を演出した「新たなデザイン」を斬る!!
レクサスLBXのフロントエンド



つまり、2012年のGSから始まったスピンドルグリルは、新型のRXでスピンドルボディへと進化したのですが、今度はさらにシグネチャーランプと組み合わせることで新しい顔を作ったと。このあたり、トヨタのキーンルックやアンダープライオリティを思い出しますが、ちょっと進化の具合がせわしないかもしれません。



没個性とならないためのあえての強い「クセ」

●小さなボディにどうやって個性を盛り込むか?

サイドビューでは、後ろに引いたAピラーの付け根と、それによる小さなキャビンが特徴的。コンパクトサイズと言えど、ここは高級車としてFR風に贅沢なレイアウトを採ったわけで、そのあたり最近のマツダ車にも通じるところ。



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レクサスLBXのサイドビュー



一方、そのマツダ車と異なるのが、低く下げたフロントエンド。これは新世代レクサスである新しいNXやRXの特徴でもありますが、より小さなLBXでも「グイッと」先端を下げることで、ボディに強い凝縮感を与えているのです。



これと同じ発想が、強く引き締めたドアパネルと大きく張り出したリヤフェンダーとの対比。

「ちょっと抑揚が強過ぎじゃない?」なんて声が聞こえてきそうですが、冒頭に書いたような没個性化を避けるために必要な「クセ」とも言えます。もちろん、リヤランプ両端からフェンダー上に引かれたキャラクターラインも理由は同じでしょう。



ただ1点、新しいRXや、あるいは一連の日産車のようにブラックアウトしたリヤピラーによる後ろ姿は既視感が強く、少々退屈。せっかくフロントやフェンダー部で強い凝縮感を打ち出したのですから、いまどきの流行に沿って、安易にピラーを「抜く」必要はなかったように思えます。



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レクサスLBXのリヤエンド



LEXUSのロゴを台形のパネルに配したリヤパネルも新型NX以降の手法ですが、ランプ形状も含めて非常にシンプルであり、好感が持てます。それだけに、やはりリヤピラーまわりの造形が惜しい!



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レクサスLBXのテールランプ



さて、新型LBXのデザインの見るべきポイントをチェックしてきましたが、クラスレスコンパクトとして従来のヒエラルキーを超える存在になっていたでしょうか? 「機能的本質」と「存在感」の両立が新世代レクサスデザインの肝ですが、とりわけ「存在感」については、正式デビューを待ってあらためて確認したいところです。

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