この記事をまとめると
■クルマ好きには見た目や中身を変えずに生産され続けているクルマを評価する声が多い■昔からコンセプトを変えずに作られている車種はヘビーデューティなSUVとスポーツカーに見られる
■国産車だけでなく輸入車にも変わらないクルマは多く存在する
いつまでも変わらないから飽きもこない
日本人は移り気だと言われる一方で、水戸黄門やサザエさんなど、変わらないものを愛するという面もある。だからだろう、クルマ好きのなかには、見た目や中身をほとんど変えずに長年作り続けている車種を評価する声が多い。
いま新車で買えるクルマのなかで、個人的に思い浮かんだのは、日本車ではスズキ・ジムニー、トヨタ・ランドクルーザー70系、マツダ・ロードスター、外国車ではジープ・ラングラー、メルセデス・ベンツGクラス、ポルシェ911あたりだ。
ヘビーデューティなSUVとスポーツカーばかりになってしまったのには理由がある。いずれも目的が明確で、他の追随を許さないオンリーワンの存在になったので、トレンドに合わせてデザインやメカニズムを変える必要がないからだ。
ジムニーはこれまで3度モデルチェンジしているし、当初は2ストロークの空冷2気筒だったエンジンは4ストローク水冷3気筒ターボになっているが、1970年から一貫して軽自動車枠内で作っているので、ボディサイズがさほど大きくなっていないし、ラダーフレームに前後リジッドのサスペンション、パートタイム式4WDというのはキープし続けている。

ランドクルーザー70系は、国内では販売していない時期もあったが、モデルチェンジせず今年で40周年。ジムニー同様、ラダーフレームに前後リジッドのサスペンション、パートタイム式4WDを受け継いでおり、4気筒ディーゼルターボエンジンはデビュー当初も搭載していた。

ただ、当初は2ドアのオープンと3ドアのバンしかなかったボディが、新型では5ドアワゴンになったという違いもある。
ロードスターは現行型で4代目になるけれど、1989年にユーノスブランドで生まれてから、4気筒自然吸気エンジン、前後ダブルウイッシュボーンのサスペンションなどの形式は不変だし、オープン2シーターのボディは、3代目で少し大きくなったものの、現行型ではダウンサイジングしているのだからたいしたものだ。

輸入車の変わらないモデルはさすがの名車ばかり
外国車のスポーツカーでは、やっぱり911を出さないわけにはいかない。初代がデビューしたのは1963年だから、昨年で60歳。ナローと呼ばれた初期型と比べると、ボディはかなり大きくなり、エンジンの冷却方式や排気量は変わったけれど、一貫してリヤに水平対向6気筒エンジンを積んでいるし、2+2のキャビンを包み込む独特のスタイリングはエバーグリーンと呼ぶにふさわしい。

ラングラーはどこを起源にするか迷うが、第二次世界大戦中のウィルスMBまで遡らず、ラングラーに限っても、1987年から作り続けているからロングセラーと呼んでいいだろう。

こちらもボディサイズはかなり大きくなり、5ドアが追加されたりしているが、ジムニーやランドクルーザー70同様、ラダーフレームに前後リジッドのサスペンションを守り続ける希少な存在でもある。
Gクラスはラングラーより8年早い1979年デビュー。こちらは以前のコラムでも書いたけれど、1990年のモデルチェンジで軍用と民生用が分けられ、最近のモデルチェンジではフロントサスペンションが独立懸架になったり、変わっている部分も多い。

ただ、デザインはデビュー当初とほとんど同じ。昔のままと思わせるブランディングの巧みさも印象的だ。