この記事をまとめると
■姉妹車となるスバル・ソルテラとトヨタbZ4Xだが細部などは異なっている■スバル・ソルテラとトヨタbZ4Xでもっとも大きな違いはパドルシフトの有無だ
■スバル・ソルテラは安全性をトヨタbZ4Xは楽しさを重視したセッティングとなっている
スバルのこだわりが込められたスバル・ソルテラ
電気自動車のスバル・ソルテラとトヨタbZ4Xは、両車ともに基本部分を共通化した姉妹車だ。スバルBRZとトヨタGR86に似た間柄になる。それでもスバルのこだわりが感じられる相違点もあるから見ていきたい。
両車のもっとも大きな違いは、ソルテラの4WDにはbZ4Xが採用しないパドルスイッチが装着されることだ。アクセルペダルを戻したときの減速の度合いを4段階に調節できる。−(マイナス)に操作して減速の度合いを強めたときは、そのぶんだけ充電も積極的に行われる。

ただし、bZ4Xがフットブレーキを使ったときでも、協調制御によって同様の回生による充電を行う。したがって同じ減速の仕方であれば、パドルの有無で、減速時の充電量に差は生じない。
ソルテラとbZ4Xで差が付くのは、ソルテラのパドルを+(プラス)側に操作して減速の度合いを弱めると、コースティングモードに入ることだ。このときはパドルを−(マイナス)に操作したときとは逆に、減速の仕方が最小限度に抑えられ、いわば惰性によって走行する。

スバルの開発者は、「たとえば緩く長い下り坂を一定の速度で走るときなどは、電力を消費しない時間を長く確保できるコースティングのほうが、充電されなくても電費を少なく抑えられる」という。そこで1回の充電で走行できる距離を見ると、20インチタイヤを装着する4WDの上級グレードでは、ソルテラ、bZ4Xともに487kmで等しい。
それでもスバルによると、「走行状態によってはコースティングが電費で有利になる。そこでbZ4Xにもパドルを付けないかトヨタに提案したが、装着されなかった」とのことだ。
走りのbZ4Xと安全性のソルテラ
走りに関しては足まわりの設定も異なる。

その点でソルテラはステアリング操作に対する車両の反応が少し穏やかで、峠道などを走るとbZ4Xほど楽しくない。その代わり後輪の接地性が高く、下りカーブでの危険回避や高速道路における直進安定性が優れている。このようにソルテラとbZ4Xは基本的には同じクルマだが、セッティングの範囲内で、bZ4Xは楽しさ、ソルテラは安全を重視する。この違いもBRZとGR86に似ている。

装備でも違いがあり、ハンズフリーパワーバックドアは、bZ4Xでは上級のZのみに装着するが、ソルテラは全グレードに標準装着した。アルミホイールとタイヤのサイズは、bZ4Xは18インチが標準装着されて20インチはZにオプション設定とした。ソルテラではET-SSが18インチで、ET-HSは20インチになり、オプションではタイヤサイズを選べない。

そして、bZ4XではGとZの両方に2WDと4WDを用意するが、ソルテラでは上級のET-HSは4WD専用だ。したがってソルテラは2WDに、20インチアルミホイールなどの上級装備を組み合わせることはできない。
上級グレードに標準装着されるオーディオのブランドも異なる。

ちなみにもっとも安価なグレードと価格は、bZ4XがG・2WDで550万円、ソルテラはET-SS・2WDで627万円になる。ソルテラは前述のとおり装備も充実するが、価格も高めの設定だ。
なお、国から交付される補助金額は、bZ4Xは85万円だが、ソルテラは65万円になる。現在の補助金交付額は、メーカーによる充電インフラの整備、アフターサービス体制の確保や整備人材の育成、車両のサイバーセキュリティ対策なども判断して決められているから、基本的には同じクルマでも補助金額はbZ4Xが高くなった。トヨタはこれらの付加価値がスバルよりも高く評価されたわけだ。
以上のようにソルテラとbZ4Xでは、装備、価格、補助金の違いも大きく、ニーズに応じて選びわけたい。