コンパクトなクルマは後方視界がないがしろにされがち
視界の良し悪しはクルマを選ぶ際の大事な要素。前方の視界の広さは当然のことだが、やはり後方視界のいいクルマは安心だし安全だ。保安基準では、ルームミラーはあってもなくても車検に通るし、ワゴン車で人や荷物を満載にしたときは、ルームミラーで後方確認はできないし、パネルバンのトラックはルームミラーで後ろを見ることはかなわない……。
そんな事情もあり、後方視界の狭いクルマが気になったので、代表的な車種を挙げてみよう。
●ホンダS660
ホンダのミッドシップオープンスポーツカー、S660。
オープンカーながら、高剛性でロールオーバー対策にも重点を置いた「一線入魂ボディ」を採用した引き換えに、後方視界はかなりタイト。それは幌=ロールトップを外しても変わらない……。とくに運転席からの斜め後方の視界は最悪の部類いえるだろう。

●トヨタ・アクア
かつては国内新車販売台数4年度連続トップを記録した大ヒットモデルのトヨタ・アクア。使いやすいコンパクトなパッケージと世界最高水準の燃費を武器に人気を集めたが、リヤウインドウの面積はけっこう狭い!

とくに天地方向が狭いので、後席にも大人がフルに乗ってしまうと、ルームミラーには人の顔しか映らなくなる……。

●トヨタC-HR
トヨタでいえば、同じくヒットモデルのC-HRも後方視界が悪いことで有名。スポーティでスタイリッシュなコンパクトSUVとして、「走りとデザイン」を優先!

その代償として、リヤウインドウとリヤのサイドウインドウはかなり小さめ。バックカメラやクリアランスソナー、バックソナーがあるとはいえ、賛否が分かれるところだろう。

デジタルルームミラーの採用拡大も期待?
●ホンダ・シビックタイプR/三菱ランサーエボリューションⅩ
ホンダと三菱のスポーツモデル、シビックタイプR(FK8)とランエボⅩには、純正で大きなリヤウイングがついている。空力的にはダウンフォースを稼ぐ機能パーツといえるが、後方視界に関してはかなりのマイナス。

慣れてしまえばそれほど見にくいとは思わなくなるが、動力性能が高いだけに、後ろから迫るパトカーや白バイの発見が遅れると……。安全速度で走りましょう。

●ランボルギーニ・アヴェンタドール
ランボルギーニ・アヴェンタドールも後方視界が悪いクルマとして有名だ。

さらに歴代ランボルギーニ、カウンタックやミウラなども後方視界はかなり悪く、カウンタックはバックするときにドアを開けてサイドシルに腰掛けるようにしてバックしたり、ミウラはルーバー式リヤウインドウが特徴だったぐらいだ。

●トヨタ・2000GT、日産ケンメリスカイライン、日産フェアレディZ
かつての名車でいえば、トヨタ2000GT、ケンメリスカイライン、フェアレディZなども、後方、とくに斜め後ろの視界は見えづらいことで知られている。フェアレディZなどは、Z33、Z34になっても斜め後方は良く見えない!

ただ、今後はデジタルルームミラーなども増えてくることが考えられるので、リヤまわりのデザインは、後方視界よりも一層スタイリング重視になっていく可能性は大いにある。
