数こそ減ったがスポーツモデル入門編の激安モデルは今なお存在
筆者が免許を取ったばかりの90年代後半は、まだまだ入門編とも呼べる手ごろなスポーツモデルがゴロゴロしていた時代だった。今ではかなりの高値が付くようになった日産シルビアや180SX、場合によってはトヨタ・カローラレビン&スプリンタートレノの「AE86」までもが探せば10万円台で簡単に見つかる時代だったのだ。
しかし、現在ではスポーツモデルは減少の一途を辿り、手ごろな価格で狙える個体は一気に減ってしまった。
1)日産マーチ 12SR
先代のK12型マーチに設定されていたスポーツグレードが12SRだ。日産車のスペシャリスト集団であるオーテックジャパンが手掛けたモデルであり、搭載されるエンジンこそベース車と同じ1.2リッターのCR12DE型だが、専用のカム、バルブスプリング、ピストン、フライホイール、コンピュータなどを組み込み、サスペンションやボディ補強まで行った本気のチューニングモデルなのである。
素のマーチをベースにこれだけのチューニングをするだけでも数十万円の出費は覚悟しなければならないところだが、なんと中古車として探すと12SRは10万円台から探すことができてしまう。さすがに高年式低走行の固体となるとそうはいかないが、それでも100万円の予算があればほとんどの出物が射程圏内となる。
2)スズキ・スイフトスポーツ(国内2代目)
軽自動車やコンパクトカーを得意とするスズキであるが、アルトワークスやkeiスポーツ(のちにkeiワークス)といったスポーツグレードを用意し続けてくれるメーカーでもある。そのスズキが2004年にリリースした2代目スイフトは同社の世界戦略車として開発され、普通車用の新規プラットフォームを採用。欧州のコンパクトカーにも負けないクオリティとなり、高い評価を集めた。

そんな2代目スイフトに用意されたスイフトスポーツもやはり高い評価を受け、新車時には前述のマーチ12SRと並ぶFFホットハッチの入門モデルとして多くのジャーナリストに称賛されていたわけだが、こちらも現在は10万円台から出物がある状態だ。マーチ12SRよりもチューニングされた個体が多く、気に入ったパーツが付いていれば買い得感は高い。
ワークスチューンのじゃじゃ馬も10万円台から手に入る!
3)三菱コルト ラリーアート Version-R
三菱のコンパクトカーであったコルト。もともと1.5リッターターボエンジンを搭載したラリーアートというグレードが存在していたが、それをベースによりハードなチューニングを施したのがこのVersion-Rだ。ベースのラリーアートには存在しなかった5速MTを採用し、ランエボ譲りの迫力あるエクステリアが最大の特徴。

リッターあたり100馬力を超えるターボパワーを持つじゃじゃ馬的なFFホットハッチとして、マーチ12SRやスイフトスポーツのパワーでは物足りないと考えるユーザーにオススメしたいモデルだ。
4)トヨタMR-S
FFではなく後輪駆動でドラテクを磨きたいと考えると一気に選択肢が狭まってしまうが、そのなかでも比較的安価で狙うことができるのが、ミッドシップレイアウトを採用したMR-Sとなる。それまでのMR2はターボモデルも存在し、そのパワーも相まってピーキーなモデルという評価だったが、MR-Sは140馬力を発生する1.8リッターNAエンジンのみのオープンモデルへと生まれ変わっている。

ピークパワーこそ控えめであるが、MRらしい軽快なハンドリングを持ち、グレードによっては1トンを切る軽量ボディと相まってドラテク向上マシンとしてもオススメできる。モデル途中でミッションが6速化されているが、従来の5速にトップギアが設定されただけで、とくにクロスレシオになっているわけではない。
さすがにこちらは10万円台とはいかないが、それでも20万円台から見つけることが可能で、名だたる後輪駆動モデルの中では手頃な部類と言えるだろう。