トランクの容量不足は想定外!?
先日、現行クラウンはパトカーとして必要なトランク容量(450L)を満たしていないので、パトカー(無線警ら車)仕様は用意されないのでは? とお伝えした。警察庁の国費調達パトカーの仕様というのは、歴史的背景もあり(初代クラウンベースのトヨタ パトロールが仕様の起源とされている)“クラウンありき”というか、原則として日本の国費調達パトカーはクラウンに基づいて設定されているといっても過言ではない。
つまり、「クラウンでパトカーが用意できないのなら、ほかで……」とは安易に変更することができないのである。
そのなかで、トランク容量を満たさない現行クラウンは、「メーカーサイドから、パトカーを用意したくないというメッセージでは?」とお伝えしてきたが、事情通から衝撃的な情報が飛び込んできた。「じつはメーカーも現行車はトランク容量が足りないという認識が当初はなかったそうなのです。“ゴルフバッグ4本入ればいい“という基準を優先させた結果、容量が450リットル未満となっていたということで、大騒ぎになっているとも聞きます」。
「それではカムリ(トランク容量は524リットル)で……」という話も出ているようだが、「カムリはFFだし……」となっているようだし、国費調達パトカーの仕様を完全に満たすのは厳しいとされているようだ。

「しかし、以前スバル・レガシィ セダンベースのパトカーを国費調達パトカーとして導入しているのでFFでもOKなはずです(レガシィパトカーは降雪地帯以外FF)。ただ、海外ではすでにレガシィ セダン(B4)の新型は販売されていますが、日本市場への導入はないようですからね。とにかく現行クラウンは基準を満たしていないので、“ポストクラウンパトカー”をどうするか見通しはたっていない様子です」(事情通)。
海外ではSUVがパトカーとして活躍している
国費調達より自由頻度の高い、地方自治体調達枠でしばらくしのぐというのもありとなるかもしれない(埼玉県警では日産ティアナのパトカーを採用している)。
レガシィパトカーを導入した時には、運転する警察官のなかには当初「FFかあ」とか「スバル?」という声もあったようだが、実際ステアリングを握ると、「スバルもいいねえ」、「水平対向もなかなかだ」などと評価も変わってきたとのこと。

「何もクラウンにこだわる必要はないじゃないか」という意見もあるようだが、日系ブランドのラインアップをみると、国費調達のパトカーの仕様を満たすか満たさないかを抜きにしても、現実的に選択可能なセダンなどほとんど存在しない。
すでにアメリカではシボレー・タホやフォード・エクスプローラー、つまりSUVベースのパトカーが、かなり活躍しているが、SUVにするとなると国費調達パトカー仕様の抜本的な変更が必要となるだろう。

ただ、菅政権は2030年代前半までに、電動モーターのない純粋なエンジン搭載車の販売中止を進める方向なので、これを機に国費調達パトカー仕様の抜本的改正が行われるかもしれないが、国費パトカーの次世代モデルについてはしばらくバタバタが続きそうである。