この記事をまとめると
■JAIAが輸入電動車の認知度を上げるためのイベントを関西初開催■全2回で「JAIA 輸入電動車普及促進イベント in 大阪」をリポート
■Vol.1ではBMW、シトロエン、ジャガー、ヒョンデの最新モデルと電動化戦略を紹介
海外メーカーの電動化戦略紹介と最新モデルをイッキ見せ
自動車の電動化のトレンドは、いまや世界的にも既定路線となっており、各メーカーも脱エンジンに向けた取り組みを行っている。最近は、長引くコロナ禍やウクライナ情勢の影響により、その速度こそ緩んだ印象はあるが、最終的にはすべてのクルマが二酸化炭素を排出さないで走ることを目指しているのに変わりはない。
日本では、ホンダのみが2040年までに販売するすべての新車をEVもしくはFCVとすることを明言しているが、世界、とりわけカーボンニュートラルの実現に熱心な欧州に目を向けると、メルセデス・ベンツ、アウディ、ジャガー、ボルボなどのメーカーが完全電動化(バッテリーBEV)を宣言している。
そんな海外メーカーの必死さがヒシヒシと伝わってくるイベントがあった。それが、2022年6月30日(木)に日本自動車輸入組合(理事⻑:クリスチャン・ヴィードマン、英名:Japan Automobile Importers Association/以下 JAIA)によってグランフロント大阪のナレッジキャピタルコングレコンベンションセンターにて開催された「JAIA 輸入電動車普及促進イベント in 大阪」だ。
これは、輸入電動車の普及・促進を図るJAIAが、その認知度を上げるために開催したイベントであり、2021年は東京にて開催された。それを2022年は、JAIA主催による輸入電動車の展示イベントとしては初めての関⻄開催とし、また四輪と二輪の電動車を同時に展示するのもJAIA史上初の試みであった。
会場には4輪車インポーター9社(12ブランド)、輸入2輪車インポーター3社(5ブランド)、充電関連事業者8社が出展。そこで今回は、2回にわけて4輪車出展メーカーの最新ラインアップを、各ブランドが掲げる電動化戦略とあわせて紹介したい。
BMW
2025年までEVの販売比率を前年比50%増で成長させ、2030年には販売するモデルの半数以上をEVとする計画を発表しているBMW。すでに日本にもiXやiX3などのEVが上陸を果たしている。展示されていたのはiX3 M Sportとi4 M50。
iX3 M Sportは、新型X3をベースにしたEVで、航続距離500kmオーバーを実現したSUVだ。iXほど近未来的EVっぽさはなく、内燃機関版のX3との違いは、パッと見ではところどころにブルーの挿し色でEVを控えめに主張していることぐらい。

いかにもこれまでのクルマの延長であることが特徴で、これならEVだからと身構える必要もなさそうなコンサバティブなEVだ。
BMW i4 M50は、こちらも4ドアの4シリーズグランクーペをベースにしたEVで、ブランド初となる電気自動車のMモデル。EVならではのダイナミクスと優れた快適性を両立したことが特徴だ。

もともとの4シリーズがアグレッシブなデザインであるため、一見派手さを感じるが、EVっぽさは控えめだ。
カーボンニュートラル時代に向けて生き残りを賭ける海外ブランド
シトロエン
フィアットやプジョー、ジープなど数多くの自動車ブランドを抱えるステランティスグループの一員であるシトロエン。ステランティスは、今後10年で欧州で販売する車両の100%、アメリカで販売する車両の50%をEVとし、2030年には75モデルのEVをラインアップして500万台の販売を目指すとしているが、そのなかでもシトロエンは電動化に積極的なブランドだ。
今回展示されていたのはシトロエンE-C4のSHINEグレード。クーペ調のクロスオーバースタイルでの登場が話題のC4のEVバージョンであり、流麗なスタイリングはそのままに、EVらしい力強いトルクによる滑らかな加速と、低振動による極上の乗り心地を両立したモデルだ。

ジャガー
2030年までにすべてのモデルにBEVの選択肢を用意するとしているジャガーランドローバー社。とりわけジャガーに限れば、2025年までにすべてをBEVとすることを明言している。いち早くI-PACEというEVを販売したジャガーだけに、その実現にも現実味が帯びている。
展示されていたのは、ジャガーのPHEVとして日本初導入となったE-PACE R-DYNAMIC SE PHEV P300e。2021年に日本導入が発表され、同年ローンチエディションが20台のみ発売されたが、その2022年モデルがお目見え。

スタイリングはICE版のE-PACEそのままで、1.5リッター直3にモーターの組み合わせ。システム最高出力は309馬力で0-100km/h加速6.5秒の瞬足を誇る。
ヒョンデ
12年ぶりとなる日本再上陸が話題のヒョンデ。ヒョンデは、2030年までに新型EVを11モデル投入し、年間187万台のEV販売を目指す。今回の展示は、FCVのネッソとアイオニック5の2台。
ご存じのとおりヒョンデ・ネッソは、トヨタMIRAIと同じFCVで、FCVを量産販売しているのは世界でもトヨタとヒョンデの2社しかない。MIRAIがセダンスタイルであるのに対し、ネッソはSUVスタイルとなっているため、世界的にも人気を得る可能性がある。まさに未来のモビリティを具現化したモデルであり、今後の動向も非常に気になるモデルだ。

一方、EVのアイオニック5は、最先端デザインとヒョンデの最新技術が与えられたグローバル戦略車。そのユニークなスタイリングには賛否両論あるが、近未来のクルマであることはビンビンに伝わってくる。ヒョンデの日本再上陸の命運は、このアイオニック5が握っていると言っても過言ではない、ヒョンデにしてみれば絶対にコケることが許されないモデルだ。

これらモデルを見ると、いかに海外メーカーが電動化に力を入れているかがわかるように思う。第2回リポートでは、メルセデス・ベンツやアウディ、テスラなどを紹介する。
取材:外海公三郎(交通タイムス社)