M&Aを後押しする中小企業庁は、設定したガイドライン見直しによる規律強化でトラブルを防ぎ、第三者承継を加速させる。膨らんだニーズをシュリンクさせず、むしろチャンスと捉え、日本のM&A環境を整備しよう。そうした思惑も透けるが、間違ってはいない。
穴が目立ったルールはどこがどう変わるのか…。その変更点などをチェックすると同時に、なにが問題だったのかを逆説的に考察することで、失敗しないM&Aの勘所をつかめるはずだ。
※この記事は藤田知也氏の書籍『ルポ M&A仲介の罠』(朝日新聞出版)より一部抜粋・構成しています。
違反行為には社名公表も
東京・霞が関の経済産業省10階の記者会見室。2024年8月30日、経済産業相(当時)の斎藤健が言葉に力を込めた。「ガイドラインに反する行為があった場合、社名公表もありうる。トラブルを防止しつつ、M&Aの成立に向けた伴走支援を一層強力に行っていく」
親族や身内ではない、第三者との事業承継の支援を生業とする「M&A仲介ビジネス」を後押ししてきたのは、経済産業省の外局である中小企業庁だ。第三者承継が活発になれば、中小企業の生産性向上につながり、日本経済にもプラスになるという理屈からだ。
そうした過去の実績を否定はせず、ガイドラインの見直しによる規律の強化でトラブルを防ぎたい。あわよくばトラブルを防ぐことで第三者承継を加速させたい。
買い手候補の調査などで悪質な買い手を排除へ
この日、中小企業庁は3カ月前から検討してきた「中小M&Aガイドライン」の改訂内容を発表した。「悪質な買い手」を排除するため、仲介業者などに買い手候補の調査をさせ、M&Aにあわせて経営者保証の解除や移行を確実に行うよう求めるのが柱だ。遅くとも2025年1月から各社に適用させる。
改訂後のガイドラインでは、仲介業者やFAなどが買い手の調査をきちんと行い、売り手側に調査の手法や結果を説明するよう義務づけた。買い手のトラブル事例は組織や業界で共有し、売り手の不利益とならないよう慎重に取引するよう求めた。
経営者保証トラブルも徹底防止へ
経営者保証のトラブルを防ぐため、契約書には解除や移行を「義務」として盛り込み、義務を果たせない場合の対応も明記させる。金融機関への事前相談を顧客に促すこととし、保証の手続きを契約と同時に行う手法も例示して確実な履行を求める。売り手と買い手の双方から報酬を得る仲介業者には、それぞれの報酬額を互いに開示させる。利益相反とならないよう、とくにリピーターとなり得る買い手を価格交渉などで優遇する行為を禁じる。
しつこい営業や誤解を与える広告も禁止とした。仲介業者が大量に発送するダイレクトメールで「御社を買収したい買い手がいる」などとうたう、本当かどうか怪しい営業手法が念頭にある。
仲介などの契約を結ぶ前には、報酬の詳しい算定方法に加え、業務の範囲を明確にし、担当者の保有資格や経験年数も説明するよう定めた。
中小企業庁はさらに、ガイドラインとは別に、登録業者の最低報酬額や算定方法が一覧でわかり、検索もできるサイトを新たにつくった。
金融庁もこの間、金融機関向けの監督指針を見直した。24年6月27日に示された改正案では、M&A支援に取り組むよう促しつつ、主要株主の変更を把握した場合は、経営者保証の解除方法などを説明するよう求める。新たな改正指針は、10月1日から適用された。
本来なら「当たり前」になされているべき事柄が、ようやく業界のルールに盛り込まれた。取材を続ける私には、そんなふうに思えた。
「悪質な買い手」リストの登録要件
政府の動きと連動するように、M&A仲介協会(現・M&A支援機関協会)も矢継ぎ早の対策を打ち出した。中小企業庁がガイドラインの改定を公表する4日前の2024年8月26日、協会は悪質な買い手企業を「特定事業者リスト」と名付けたリストに登録し、会員間で共有すると正式に発表した。実際の運用は、10月1日に始まった。
具体的には、悪質な買い手について、①経営者保証を解除しない、②現金などの資産を会社から抜き取る、③事業を放置したり失踪したりする、といった行為を例示した。そうした買い手の情報を会員に通報させ、協会での審査や買い手側への意見聴取もへて、「悪質」と判断すればリストに登録していく。
会員企業には、買い手の事前チェックにリストの検索・照会機能を活用してもらう。登録された買い手との取引を禁止まではしないが、「慎重な判断」を求めることにした。
さらに2025年4月1日からは、要件を満たせば自動で登録する仕組みとした。
自動登録の要件は、(1)株式譲渡から60営業日以内に経営者保証が外れない、(2)退職金の後払いや株式代金の分割払いが期日に払われない、(3)株式譲渡から10営業日以内に買い手側が金融機関に相談をしない、経営者保証が解除できないと確定してから20営業日以内に買い手側が借り換えなどで債務を解除しないなど。
登録期間は最低10年とする。資金不足でのM&A、契約事項の不当な履行拒否、資金を抜き取って必要な運転資金を入れないといった事例は、引き続き協会が買い手側の弁明も聞くなどして審査する。
協会の自主規制ルールも健全化へ見直し
協会の自主規制ルールも見直された。2024年9月1日からは、仲介業者が顧客と仲介の契約を結ぶ際には、買い手と売り手と双方の顧客に対し、それぞれの契約相手から受け取る手数料額について説明し、契約後に一方の手数料が増える場合はもう一方に書面で報告することなどを義務づけた。買い手の予算に占める仲介手数料が増えることで株式代金などが減る「売り手の不利益」を防ぐのが狙いで、買い手の手数料が増える場合は解約や売り手の手数料の減額も検討することとした。
2025年1月1日からは広告・営業規程を改正し、会員は買い手の資力について情報を集めて調査することを義務とし、必要な調査がされないうちに基本合意に向けた協議は進めないこととした。
株式譲渡契約書の文案には、融資を完済するなど特別な条件がない限り、経営者保証の解除を「義務」として盛り込むことにする。「努力義務」とするのは原則禁止、ということだ。
ここまでは中小企業庁が改訂した中小M&Aガイドラインに沿った対応だった。
■藤田知也(ふじた・ともや)
早稲田大学卒業。

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