飲み会に参加するだけで報酬を得られる「ギャラ飲み」。先日も、登録者数80万人超の女性YouTuberが「ギャラ飲みアプリ」のキャスト(※)として登録したことを明かし、話題を集めた。

※「ギャラ飲み」に参加し、報酬を受け取る人
視聴者からは「倫理観が…」「パパ活系アプリの宣伝に加担するの本当に悲しい」「若い子も見てるしいかにもいい仕事みたいに宣伝するのはどうなの?」と批判が集まる一方で「犯罪でもない限り金稼いだものが正義だろ」といった声も見受けられる。
しかし、ギャラ飲みの場合、報酬の納税申告漏れがリスクとして付きまとう。税理士の岸健一氏は取材に対し、「1円でも所得があれば所得税の納税申告の義務は生じる」と指摘。
ここでいう「所得」とは、収入から経費を差し引いた金額を指し、経費を差し引いて1円でも利益が残れば、法律上は申告義務が発生する。

報酬は「事業所得」か「雑所得」

そもそも、ギャラ飲みアプリを通じて個人が受け取った報酬は、所得税法上どの区分に該当するのか。岸税理士は「事業的規模でやっているならば事業所得、そうでなければ雑所得になる」と説明する。
加えて、会社員が副業としてギャラ飲みをしている場合、「報酬額が年間20万円以下なら申告不要」との誤解もある。
岸税理士もこの点に触れつつ、「所得が20万円以下の場合に所得税の申告はしなくていいというルールはある」と前置きしたうえで、次のように述べた。
「この場合でも住民税の申告はしなければいけません。‟20万円規定”はあくまで所得税法の話であって、住民税にその規定はないんです」(岸税理士)

無申告のペナルティ、悪質なら「重加算税」も

朝日新聞は2022年2月4日、ギャラ飲み女性による所得税の申告漏れ疑いが相次ぎ、東京国税局が調査に乗り出していると報じた。
記事によると、国税局がマッチングサービスの運営会社を税務調査した際、登録女性たちへの支払い状況や口座情報も同時に調査。その結果、年間数百万~数千万円の収入があるにもかかわらず、所得税の申告をしていないキャストが数十人以上におよんだという。
そして、運営会社だけではなく登録女性たちへの税務調査が進められているとしている。
ちなみに、国税局は無申告者に対し、「無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。
こうした無申告者に対しては、さらなる資料情報の収集及び活用を図るなどして、実地調査のみならず、簡易な接触も活用し積極的に調査を実施しています」と警告し、厳しい態度を示している。
では、申告をしていなかった場合のペナルティはどうなるのか。
岸税理士によると、まず悪質性がないケース(意図的な隠ぺいや虚偽申告がない場合)でも、本来の税額に加えて「附帯税」が課される。付帯税には無申告加算税や延滞税が含まれ、正規の税額に対して一定割合が上乗せされる仕組みだ。
「悪質性」とは、収入を意図的に隠していた場合や、実際には100万円の売上があるのに10万円と虚偽申告していた場合などを指す。こうしたケースでは、さらに「重加算税」が加わる。
金額が多額に及ぶ場合はさらに深刻だ。岸税理士は「億単位で隠しているといった場合は、税金を払って終わりではなく、罰金刑や拘禁刑になる可能性がある」と警告した。

「将来にわたってビクビクするよりも…」

では、すでにギャラ飲みで報酬を得ていながら申告をしていない人が、今から正しく対処するにはどうすればよいのか。
岸税理士は「まず税務署に行って相談するのが一番コストとして安い」と断言する。理由は明快だ。自主的に過去の未申告分を申告する場合と、税務署から指摘を受けてから申告する場合とでは、附帯税の重さが異なるためだ。

「分かりやすく言えば、自首した場合の附帯税は軽くなるし、捕まった場合の附帯税は重くなります」(岸税理士)
税務署での対応について、岸税理士は「税務署は鬼ではない。過去の申告をしていなかったと伝えれば事務的に話は進み、書き方の指導までしてくれる」と語る。時間に余裕があれば、税理士に依頼せず自力で対応できるという。
一方、日中は本業で忙しい会社員の場合、税理士への依頼も選択肢となる。ただし当然ながら税理士報酬が発生する点には注意が必要だ。
「バレなければ申告しなくていいという話ではありません。将来にわたってビクビクするよりも、健全な生活を送るために申告はきちんとしましょう」(岸税理士)


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