◆女子プロゴルフツアー NTTドコモビジネスレディス 第2日(2日、千葉・浜野GC=6704ヤード、パー72)

 悪天候による3日間短縮競技の第2ラウンドが行われ、プロ2年目の平塚新夢(あむ、26)=Knomak=が5位で出て8バーディー、3ボギーで自己最少の67を2日連続でマークし、首位と2打差の2位に浮上した。国が指定する難病「成人発症スチル病」を乗り越え、プロテストは7度目の挑戦で合格した苦労人がプロ6戦目で初優勝を目指す。

ツアー3勝の菅沼菜々(26)=あいおいニッセイ同和損保=が2位で出て67で回り、通算12アンダーで単独トップに浮上した。

 何度も苦難を乗り越えた平塚の笑顔がはじけた。前半18番パー3はもう少しでホールインワンの好ショットで1メートルに寄せ、最終9番も1メートルのベタピン。8バーディーで2位浮上し「奇跡的。病気やいろんなことがあった過去を思うと感慨深い」とかみしめた。後半は疲労も出て伸び悩んだが、2日連続で自己最少の67。昔から成績の波が大きいゴルフを父・俊郎さん(65)に「お前のゴルフはクジ引きだ」とイジられたといい「いいクジが2回当たった」とニヤけた。

 波乱万丈の半生を経て今がある。平塚家で兄3人に続く待望の女の子として誕生し「新夢」と命名。だが、幼少期に国の指定難病「血小板減少性紫斑病」を発症し、人と接触が少ないゴルフを9歳で始めた。11年の東日本大震災は宮城・石巻市で自宅が浸水する被害があったが、「どんな時もニコニコ楽しくやる」をモットーに競技を続けた。

 茨城・明秀学園日立高3年時の17年に下部ツアーで史上5人目のアマチュア優勝。

一転、翌18年に難病「成人発症スチル病」を発症した。高熱や激しい関節痛で入院を余儀なくされたが、大好きな人気男性グループ「Da―iCE」の花村想太の歌曲を聴いて励まされた。治療薬の副作用に悩まされながらもクラブを握り続けてもプロテストは6度不合格。何度もあきらめかけたが「新しいことを始める勇気がなくて、大好きなゴルフを続けた」。7度目の24年に悲願の合格をつかんだ。

 現在は症状もなく、ゴルフに専念。プロ転向後は昨年の42位が最高だが、最終日は初めて最終組で回る。平塚は「こうやって戦えていること自体がすごいこと。普通の人生を生きていたら、大人になって緊張感を持って戦う経験はなかなかない。楽しくプレーしたい」。数え切れない困難に負けずに進んできた苦労人が、笑顔で初の頂点に挑む。(星野 浩司)

 ◆血小板減少性紫斑病 国が指定する難病。

血を固める血小板の減少で止血する力が弱くなり、皮膚や粘膜に紫色の点状出血などの症状が見られる。

 ◆平塚 新夢(ひらつか・あむ)2000年1月4日、宮城・石巻市出身。26歳。幼少期に血小板減少性紫斑病を発症。父・俊郎さんの影響で9歳でゴルフを始める。茨城・明秀学園日立高3年時の17年に下部ツアー・静ヒルズレディース森ビル杯で史上5人目のアマ優勝。18年に成人発症スチル病を発症。7度目の挑戦となった24年プロテストで合格。平均飛距離250ヤード。趣味は映画観賞。154センチ、50キロ。家族は両親、兄3人。

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