◆明治安田J1百年構想リーグ ▽第14節 鹿島1―1(4―2)町田(3日・メルカリスタジアム)

町田は敵地で鹿島にPK戦で敗れた。

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 3万1724人の大声援にも一切ひるまなかった。

最終的にはPK戦で敗れたが、メルカリスタジアムで90分間はドローで終えた。J1に昇格した過去2年(24年・1●3、25年・0●1)は点差以上に完敗を印象づけられたが、今回はスコアを含めて互角の戦いを繰り広げた。

 「勝つのが一番難しいスタジアム」。鹿島の在籍経験も長い主将のDF昌子源がこう表現するように、この試合も勝ち点3を願うサポーターによる大音量のチャントが飛び、スタジアムは完全アウェー。終盤にかけてさらに声量が増し、記者席では町田側のスタンドからはほぼ声が聞こえなかった。ただ、1週間ほど前の経験から、選手に浮足立った様子は見られなかった。

 町田は、4月17日から25日にかけてアジア・チャンピオンズリーグエリート(ACLE)の決勝トーナメントに挑み、集中開催地のサウジアラビア・ジッダで3試合を戦った。うち2チーム(準々決勝・アルイテハド、決勝・アルアハリ)は地元チームとの対戦で、スタンドは相手のファンだらけ。とりわけ決勝は約6万人の大アウェー状態となり、試合中は判定への不満からペットボトルなどの物が飛び交い、選手にも直撃するほどだった。

 中東勢のファンによる態度の是非はともかく、町田イレブンの精神力を強くしたのは間違いないだろう。鹿島戦を終えて、DF岡村大八は「はっきり言って(アウェーの雰囲気に)慣れましたね。もう、あの6万人を超えるものは僕のサッカー人生では今後ないんじゃないかなと思うくらい。

今日も多くの方々が入っていたが、全然圧力を感じなかった」と話した。

 「今でも悔しい。気合を入れ直した」と、ACLE後に金髪の短髪に変身した昌子も「あのアウェーに比べたら全然優しい。去年はもっと飲まれていた。あれを経験したからこそ、今日は飲まれずに済んだ。(ACLEでの)あの経験は間違いなく生きた」と振り返る。誰よりもメルカリスタジアムの圧を知るからこそ、試合後の表情には充実感があふれていた。

 後半8分の得点シーンも、昌子が相手の隙をつき、素早いリスタートから相手のDFラインの裏を狙い、奪ったゴールだ。3分前に先制弾を許し、気持ちが落ちてもおかしくない状況での同点弾。一瞬の隙を狙ったゴールは鹿島のお家芸だが、敵地で逆に町田がそのような得点を決めたのは、チームとしての成長の証だ。

 ACLEで名だたる1トップを封じ込んできた岡村が「(元)プレミアリーグ(の選手)だろうが何だろうが、みんな人間なんだな、と思いましたよ。手が届かないわけではないし、別に瞬間的に移動できるわけでもない。

彼らにも僕の力が通用するのが分かった」と自信を深めるように、プレー面でも確かに大きな成果を得た。ただ、鬼門のメルカリスタジアムで勝ち点1を取れた要因の一つに、アウェーの環境への耐性がついたことも間違いないだろう。

 暫定首位に戻った鹿島との勝ち点差は9になり、百年構想リーグでの優勝はやや後退したかもしれない。ただ、今後のチームとしての期待はより高まった。(町田担当・浅岡 諒祐)

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