名古屋の市街地で相次ぐ、街路樹の倒木。内部の腐敗が進んでいましたが、一体なぜなのか。

都市の緑化にも大きな課題が見えてきます。

名古屋で相次ぐ倒木 都会の“狭い土”が寿命を削っていた “白...の画像はこちら >>

名古屋・栄の久屋大通。4月10日、人通りも減ってくる午後9時。大きなケヤキの木に、チェーンソーの刃が入れられていきます。次々に枝が払われ…遂には幹に。

伐採後、残された切り株には「こぶし大の穴」。中が空洞化していたのです。見ただけではわからない街路樹の傷み。しかしこれが、名古屋市内で相当な数に上るかもしれないのです。静かに広がる街路樹の危機、その実態とは…

名古屋で相次ぐ倒木 都会の“狭い土”が寿命を削っていた “白い街”払拭のため…昭和40年代以降急増した街路樹
CBC

15mの街路樹が根元から… 原因は“腐敗”

深夜の伐採のきっかけは、4月4日の出来事。名古屋市中区で突然、高さ15メートルのケヤキが根元から倒れたのです。強風のためと見られますが、風だけで太いケヤキがなぜ倒れたのか。

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原因は、切り株に表れていました。



(矢野司記者)
「倒れた木の根元にピンを刺してみます。幹の外側は固く入りませんが、中心部に刺してみると…ダンボールに入っていくように簡単に刺さってしまいます」

それは、根元の腐敗。これは初めてではありません。

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「スカスカに…」街路樹の倒木は過去にも

4年前にも、同じく栄の大通りで突然「街路樹」が根元から倒れ、乗用車が下敷きに。この時も…

(大石邦彦アンカーマン)
「スカスカな所が見られます」

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そして、約20年前にも…

(2004年 名古屋市役所前)
「プラタナスの木が撤去されることになりました。根本が虫食いになって倒れる危険がある為です」

市役所前のプラタナス。幹の中を虫に食われ、やはり根元には空洞が。

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“白い街”払拭のため急増した街路樹

昭和40年代以降、急速に街路樹を増やした名古屋市。当時は街に緑が少なく、「白い街」と呼ばれていました。

このイメージを払拭するため、成長の早いケヤキ・プラタナス・アオギリなどが一斉に植えられ、名古屋は大都市の中でも街路樹の数がトップクラスに多い「緑の街」に。

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しかし、それから半世紀余り経って街路樹の老朽化が進み、倒木やその危険が増えているのです。

「樹木の育つ環境がかなり厳しい」

木の健康の専門家、樹木医の前田隆司さんは、都心部の大きな街路樹そのものに無理があると言います。

(樹木医 前田隆司さん)
「樹木の育つ環境がかなり厳しい。1本あたりの土の面積が、非常に狭いことが最大の問題。これだけの面積で、木が育つだけの水分を受けたいと思っても、ほぼ不可能に近い」

「植樹枡」と呼ばれる土台の部分の小ささ。

限られた範囲にしか根を張れず、十分に成長できないため、強風で倒れることにも繋がるのです。

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(前田さん)
「この木であれば、最低でも5メートル四方くらいは必要」

今回、久屋大通で倒れたケヤキは樹齢30年ほどですが、本来ケヤキは300年以上生きる樹木。「街路樹」という環境が、木の寿命を削っている可能性があるのです。

(前田さん)
Q.植える時に想定できなかった?
「多分、当時は想定していなかった。昭和の時代は、植物に対しての認識が甘かったと思う。植物を生き物として捉えていなかったと思う」

緊急点検…30本に腐敗見つかる

4月4日に起こった倒木を受け、名古屋市は市内3570本のケヤキの緊急点検を実施。点検の結果、30本のケヤキで幹の内部に腐敗が見つかり、全て伐採することに。

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倒木が起きた中区の久屋大通でも、3本がその対象になりました。

(名古屋市中土木事務所 水田佳佑所長補佐)
「根本に穴がある。調べたところ、幹の中に空洞が生じていたり、地中まで空洞が広がっていることが分かったので、撤去が必要と判断した」

名古屋市は、4年前から自転車で回って1本ずつ確認するなど、本格的に街路樹の点検に乗り出し、この5年で1656本を伐採撤去。

今後30年で9万本→7万本に

その他にも…

(名古屋市 緑地維持課 新美芳和さん)
「この道路では、以前までアオギリが植わっていた。根本に問題がある木が多く確認されたので、事故リスクを減らすためアオギリを撤去して、新たにハナミズキを植えた」

倒木のリスクが高い「大きな木」を、ハナミズキなどの「背の低い木」に植え替えるなど対策に努めてはいますが、市内の街路樹は約9万本もあります。

名古屋で相次ぐ倒木 都会の“狭い土”が寿命を削っていた “白い街”払拭のため…昭和40年代以降急増した街路樹
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今後、名古屋の街路樹をどうしていくのかを聞くと…

(新美さん)
「今は9万本あるが、植え替えや撤去に伴い、今後約30年で7万本程度になると想定している」

腐敗の原因とみられる“巨大キノコ”

4月10日、久屋大通で行われた深夜の街路樹伐採。2本目は、高さ15メートル近くあるケヤキ。

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根元には、腐敗の原因とみられる大きなキノコが。

もし日中に倒木が起きれば、けが人が出る恐れは十分にあります。

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2本目の伐採にかかったのは、5時間以上。結局、3本の伐採が終わったのは翌朝でした。

市民に癒しや潤いを与えてきた街路樹。都市化と緑化をどう両立させるべきなのか、考え直す時期に来ています。

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