ガソリン高を乗り越えろ!いま乗ってみたいローカル鉄道3選① 市民生活と観光を支える二刀流電車「広島電鉄 本線・宮島線」

中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇は、日本の家計にも影響を及ぼしている。とくにガソリン価格の高騰は深刻で、日常の移動コストを押し上げている。

一方、日本の電力はすでに石油依存が低く、むしろ石油消費の多くは自動車による移動に集中している。つまり、マイカー利用を減らし鉄道に乗り換えることは、家計にもエネルギー安全保障にも優しい選択だ。

そこでゴールデンウイーク期間中に電車で気軽な旅が楽しめるローカル鉄道3選を紹介する。第1回は110年以上の歴史を持つ広島電鉄(広電)<9033>だ。

被爆後3日で一部復旧した「不死身の鉄道」

広電は1912(大正元)年、広島市内の路面電車として開業した。現在では広島市中心部から宮島口まで延びる路線を持ち、日本最大級の路面電車ネットワークとして知られている。戦前には広島市内から広島県呉市、宮島口から山口県岩国市まで延伸する計画もあり、路線敷設を申請したものの、省線(現JR線)と競合するため免許取得できなかった。

広電の歴史を語るうえで欠かせないのが、1945年8月の原爆投下だ。広電を含めて市内の交通網は壊滅的な被害を受けたが、生き残った広電の職員たちが復旧作業を急ぎ、被爆からわずか3日後には一部区間で運行を再開した。焼け野原になったばかりの広島で電車が走る姿は、市民にとって復興の象徴だったと伝えられている。

現在の広電の特徴の一つは、全国の鉄道会社から譲渡された中古車両が多いことだ。京都市電、神戸市電、西鉄、さらにドイツ製の車両まで、多様な電車が混在して走る。そのため「路面電車の博物館」とも呼ばれ、鉄道ファンの人気も高い。

近年は低床車両(LRV)の導入も進み、バリアフリー化も進展している。古典的な電車と最新車両が同じ線路を走る光景は、広電ならではの魅力だ。

新ルート開通で利便性が高まる

2025年8月に新線の「駅前大橋ルート」が開業し、路面電車がJR広島駅に直接乗り入れることになった。約1.1kmの新ルートで、大きく迂回していた旧来路線に比べると、広島駅と市中心部をより直線的に結んでいる。その結果、広島駅と中心市街地の紙屋町・八丁堀方面の所要時間は約4分短縮された。

新しい電停は、リニューアルした駅ビル「minamoa」の2階にあり、JR中央改札口からほぼ直結。乗り換え距離は約78メートルと短く、地上にあった旧電停よりも移動時間が約70秒ほど短縮された。ビルの2階から路面電車が出発する光景は全国的にも珍しく、鉄道ファンにも注目されている。

都市交通と観光鉄道の機能を果たす

広電の最大の魅力は、都市交通と観光鉄道の両方の顔を持つことだ。市内中心部では、電車は道路上を走る路面電車として運行している。紙屋町や八丁堀といった繁華街では、信号待ちをしながら自動車と並んで走る姿が見られる。一方で、市街地を離れると専用軌道に入り、スピードを上げる。

ガソリン高を乗り越えろ!いま乗ってみたいローカル鉄道3選① 市民生活と観光を支える二刀流電車「広島電鉄 本線・宮島線」
神社の鳥居から見える広電の車両、地域生活に密着していることが分かる。
神社の鳥居から見える広電の車両-地域生活に密着していることがうかがえる。

観光鉄道としての役割を果たすのは、市内から宮島口までを結ぶ「宮島線」だ。広電の幹線でもある同線は「陸の玄関口」である広島駅を起点に、繁華街を経由して原爆ドームと宮島の二つの世界遺産に電車一本で移動できるのが強み。市民やビジネスマンの「足」であると同時に、広島観光の「背骨」ともいえる存在だ。

郊外や瀬戸内海を望む風景の中を走り抜け、路面電車でありながら本格的な鉄道の旅を味わえる。宮島口からは船で世界遺産・厳島神社へ渡ることができ、国内外の観光客に人気のルートとなっている。

終点の宮島口駅で降りると、対岸の世界遺産である厳島神社に渡る連絡船乗り場は目の前だ。広島駅からはJR山陽本線の方が早く到着するが、街の表情や生活が身近に感じられ、旅の風情を体感できる広電での移動をお薦めする。

ガソリン高を乗り越えろ!いま乗ってみたいローカル鉄道3選① 市民生活と観光を支える二刀流電車「広島電鉄 本線・宮島線」
宮島観光の起点となる「広電宮島口駅」
宮島観光の起点となる「広電宮島口駅」

▽路線名=広島電鉄本線・宮島線
▽距離=本線:広島駅電停~広電西広島駅(5.2km)、宮島線:同駅~広電宮島口駅(16.1km)
▽アクセス=広島駅電停はJR広島駅、広電西広島駅はJR西広島駅から至近

文・写真:糸永正行編集委員

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