「優しさの気持ちを届けたい」その願いを音にして── ELAIZAが照らした希望のステージ
『ELAIZA LIVE 2026 “GENTLE”』

Text:もりひでゆき 

ELAIZAが東京と大阪を巡るライブツアー『ELAIZA LIVE 2026 “GENTLE”』を開催した。“優しい”“穏やかな”“上品な”といった意味を持つ“GENTLE”をタイトルに掲げたライブを通し、果たして彼女は何を伝えようとしたのか――5月2日、東京・品川ステラボールでの夜公演の模様をレポートしていく。



ライブでの注意事項や、オープニングからの数曲でスマホでの撮影がOKであることが告げられたELAIZA自身による影アナを経て、客電がそっと落とされる。薄闇のステージにバンドメンバーである遠山哲朗(g)、前田雄吾(mani)、notch(ds)、海老沼崇史(b)、紺野紗衣(key)が登場。それに続き、ELAIZAがゆっくりと姿を現すと、会場は大きな期待を携えたあたたかな拍手に包まれる。



聴き覚えのあるピアノの静かなイントロに導かれ、ELAIZAが優しく歌い始める。オープニングナンバーはカバー曲「SWEET MEMORIES」。サウンドに身を委ねながら感情を注ぎ、時にレイドバックするボーカルが体中にあたたかく浸透していくのを感じる。ELAIZAというアーティストが描き出す世界へと一瞬で誘った最高のオープニングだ。



「優しさの気持ちを届けたい」その願いを音にして── ELAIZAが照らした希望のステージ

「優しさの気持ちを届けたい」その願いを音にして── ELAIZAが照らした希望のステージ

ゆったりとしたムードを引き継ぎながら2曲目の「愛だの恋だの」へ。曲中、「みなさんこんばんは。逢いにきてくれてありがとうございます。素敵な夜にしましょう」と挨拶を挟みながら、ソウルフルなボーカルを響かせていく。両手を広げたり、天を指さしてみたりと、ハンドアクションを交えながらパフォーマンスするELAIZAの姿からは音楽を心から愛し、楽しんでいることが鮮やかに伝わってくる。



MCでは、「ようこそ。品川にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます」と、しっとり挨拶をしたかと思えば、「昼公演にいた人がけっこういるな。じゃあ違うこと話したりしなきゃいけないかな。緊張してきた、急に(笑)」と親しみのある表情も垣間見せる。客席から投げかけられる言葉に反応し、フランクに会話を交わすシーンも。オーディエンスとの距離感の近さもまたELAIZAというアーティストの大きな魅力と言えるだろう。



ドレープしたテキスタイルを用いた美しいステージセットが赤と緑に染まる中、ハンドマイクで届けられたのは「AYAYAY」。ステージをゆっくり動きながら、グルービィな歌を飛ばしていく。続く「insomnia」では物憂げな表情を導入としながら、サビではスウィングするリズムにのって軽快なボーカルを届けていく。「night walk」では、ファルセットを多用した輝度の高い歌声で客席を魅了。楽し気に体を揺らしたり、くるっとターンを決めてみせるELAIZAに、オーディエンスはクラップで応戦。ラストはワイパーでハッピーな光景が生まれていた。

重低音が鳴り響くハードテクノ的ニュアンスを感じさせる「たましい」では、自らペンライトを振りながら、ある種、サウンドの一部として機能する無機質なボーカリゼーションを披露。さながらクラブと化した会場を大きく揺らし、その高揚する客席に向け、「完璧!」と感嘆の一言を漏らした。



「優しさの気持ちを届けたい」その願いを音にして── ELAIZAが照らした希望のステージ

オープニングから続いていた撮影OKタイムを「終―わり。やーめて」と優しく終了させたELAIZAは、続くMCでライブタイトルの“GENTLE”に込めた思いを語り始める。「“GENTLE”ってなんだろうねってすごく考えたんですね。ジェントルマンっていう言葉があるから、ちょっとかっこいいみたいなイメージも現代ではあるのかなと思って。でも私たちがここに立って、みなさまにお届けするのであれば、その意味である“優しさ”の気持ちをお届けしたいねって思ったんです」



そんな思いを吐露する裏に、バンドメンバーである紺野紗衣がアドリブでピアノの旋律をかぶせる。その音色に思わず感極まるELAIZA。「わぁ。紗衣さんのピアノ、ダメだ。泣きそうになる」と言いつつ、胸の内を赤裸々に吐き出し始める。



テレビとかネットとか見ていると、ちょっとしんどいニュース多くないですか? 優しく生きようと思っても、優しくさせてくれない世の中になったなっていうか。

どうしても心が荒んじゃうよね。情報を目の当たりにしていたら、清く正しく美しく生きるってすごく難易度が高くなってきているなって思うんです。でも私は、こうやって来てくれるみなさんにはなるべく幸せであってほしいし、希望を捨てずに日々、楽しいことにまみれて生きてほしいと思っていて」



そう語った後、「少し異色な2曲ではあるんですが、ふたつを組み合わせることによって人間の醜いこともツラいことも、そしてちゃんと明けていく夜明けを一緒に感じてもらえたらなと思ってます」と繋げ、「Fall」と「Utopia」を連続で届けてくれた。共に自らが作詞を手掛けた2曲を、情感に満ちた歌声で表現し尽くすELAIZA。そこで紡がれ、メロディに乗った言葉たちはオーディエンスたちの胸に、様々な感情を伴ったメッセージとして強く響いたはずだ。「Utopia」のサビでステージに広がったのは満点の星空の演出。その美しい煌めきは、ELAIZAの歌声の根底に注がれた優しさとともに僕らの胸へ確かな希望の火を灯してくれた。



バンドメンバーとの和気あいあいとしたMCタイムの後は、音楽活動を始める大きなきっかけを与えてくれたという音楽番組『The Covers』への敬意を示すようにカバー楽曲を並べたパートを。スツールに腰掛けながら、アコースティックなムードで歌われた「時代」。グルービィに動くウッドベースやワウギターが光るサウンドの中で艶っぽい表情を見せた「ルビーの指環」。オーセンティックなロックアレンジでの「Oh Pretty Woman」では、力強いボーカリゼーションとアグレッシブなパフォーマンスで総立ちの観客を沸かし、ジャンプで曲のエンディングを締めた。



「優しさの気持ちを届けたい」その願いを音にして── ELAIZAが照らした希望のステージ

「みなさんエネルギーはそのまま、もう少し上げていってもいいですか?」の一声でライブはクライマックスへなだれ込む。

体を突き動かすサウンドでフロアを揺さぶった「テキトーLOVE」では、クールな表情を見せたかと思えば、両手の人差し指を頬に当てるチャーミングな一面を見せるなど、多彩な魅力で楽曲を彩っていく。洋楽ポップスを想起させる「Fantasy」では、サウンドに負けないパワフルなボーカルを披露。そして、自身の思いをリアルに注いだ「わたしたち」では流れゆく時間に翻弄されながらも、“雨の日でも/めげないぜ/大丈夫”とポジティブなメッセージを放ち、オーディエンスへの共感を優しく呼び起こしながら本編の幕を閉じた。



客席からのELAIZAコールに応え、再びステージに登場したELAIZAとバンドメンバーたち。「ただいまー!」。アンコール1曲目には、アンビエントな音像の中での揺蕩うボーカルとサビでの強さを秘めた表現で、まるで映画のような物語性を感じさせた「惑星」を。「今日は本当に素敵なお時間を共にしてくださって、ありがとう」と告げた後は、情熱的なラテンサウンドの「Close to you」で最後の大きな盛り上がりを創り上げる。観客たちがクラップで楽曲を盛り上げる中、高らかなフェイクを織り交ぜた圧巻のボーカルでライブの終幕を飾った。



この日、披露された様々なサウンドスケープを持つ楽曲たち、そのすべてには彼女からの“GENTLE”な思いがしっかりと込められていた。もちろん、それを受け取るオーディエンス一人ひとりもまた、“GENTLE”な思いをクラップや声援に乗せて届けていた。その相互関係が生む幸せな空間に心地よく浸った約1時間半。音楽を愛し、音楽に愛されたELAIZAの歌声を浴びれば、憂いを帯びた時代をしっかりと歩んでいける。

そんなことを強く確信させてくれたライブだった。



「優しさの気持ちを届けたい」その願いを音にして── ELAIZAが照らした希望のステージ

<公演概要>
『ELAIZA LIVE 2026 “GENTLE”』
5月2日 東京・品川ステラボール(夜公演)

【Setlist】

1.SWEET MEMORIES
2.愛だの恋だの
3.AYAYAY
4.insomnia
5.night walk
6.たましい
7.Fall
8.Utopia
9.時代
10.ルビーの指環
11.Oh Pretty Woman
12.テキトーLOVE
13.Fantasy
14.わたしたち
En1.惑星
En2.Close to you



<リリース情報>
2ndアルバム
『fantasy』
配信リンク: https://elaiza.lnk.to/fantasy



ELAIZA OFFICIAL SITE & FANCLUB

https://ikedaelaiza.jp/

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