13人の日本人選手がプレーしている今季のメジャーリーグ。期待以上の活躍を見せている選手もいれば、期待通りのプレーができていない選手もいる。

村上・岡本が好調の一方で…

 13人のうち“ルーキー”は3人。開幕前はメジャーへの適応に時間がかかるか、期待外れに終わると予想されていた野手2人が躍動している。
 村上宗隆は開幕から持ち前のパワーと選球眼を如何なく発揮。一時は本塁打数で両リーグトップに躍り出るなど、ホワイトソックスを牽引している。

 もう一人の岡本和真にしても、5月に入ってから打撃が上り調子に。守備でもファインプレーを連発しており、今やブルージェイズに欠かせない中心的存在になっている。

 村上と岡本は新天地で予想以上の活躍をしているといえるだろう。一方で、メジャーリーグの壁にぶつかっているのが、“第3の日本人ルーキー”今井達也である。

 つい先日28歳になった今井は、高校時代からエリート街道を歩んできた。栃木の名門・作新学院では、2016年の夏の甲子園で優勝。その年のドラフト会議で西武から単独1位指名を受けてプロ入りした。

 西武に入団後は右肩の故障に悩まされたこともあったが、2年目に早くもローテーション入りを果たすと5勝をマーク。2023年からは大黒柱として3年連続10勝を挙げ、昨季オフにポスティングによるメジャー移籍が認められた。


ビッグマウス・今井達也が直面した“メジャーの壁”

 メジャー各球団との交渉は年末まで停滞していたものの、年明けにアストロズと合意。3年総額5400万ドル(約85億円)の大型契約を勝ち取った。

 今井が所属するアストロズといえば、2010年代後半にサイン盗みの疑惑をかけられ、処分の対象になった首脳陣や選手がいた。その後のアストロズは完全にヒール役として定着しており、現地では最も嫌われている球団の一つでもある。

 そんなアストロズに加入した今井もまた、“ビッグマウス”として知られる選手だ。まだポスティング申請中だった昨年秋には、報道番組のインタビューで「僕は(ドジャースを)倒したいですね。

 大谷翔平選手、山本由伸投手、佐々木朗希投手と一緒にプレーするのももちろん楽しそうだとは思うのですが、ああいうチームに勝ってワールドチャンピオンになることが、自分の人生にとって一番価値がある」などと発言し、野球ファンの間でも大きな話題となった。

開幕後に制球難と故障離脱…苦しい船出に

 今井は今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場せず、メジャー1年目に備えた。オープン戦では3試合に登板して6回無失点と順調な滑り出し。この時点で日本人ルーキー3人の中では最も期待値が高かったのだが……。

 いざふたを開けてみると、開幕後の今井は様々な困難に直面した。デビュー戦は3回途中4失点でKO。2試合目こそ6回途中まで無失点に抑えて初勝利を記録したが、続く3度目の登板は1つしかアウトを奪えず、5四死球、3失点の内容で降板。数日後には右腕の疲労で15日間の負傷者リスト(IL)入りを強いられた。


 今井の不調と連動するようにチームも低迷。昨季まで11年連続で勝ち越し中の強豪は現在、借金10前後を行ったり来たりする低空飛行中だ。
 
 今井はIL入りからまもなくリハビリ調整を開始し、マイナーで2試合に登板したが、防御率10.80と調子を取り戻せないまま。それでも今月13日(日本時間)に約1か月ぶりとなるメジャー復帰を果たした。

復帰登板でも大量失点…現地ファンから厳しい声

 そして迎えた復帰初戦のマウンド。地区ライバルのマリナーズを相手に初回は三者凡退に抑える立ち上がりを見せたものの、2回は四球の直後に2ランを被弾。さらに4回には死球、死球、四球で満塁とした後に8番打者にグランドスラムを浴びた。

 結局、今井は4回、80球を投げ、5安打、6失点。制球が定まらない不安定な投球に現地ファンからは容赦ない批判が飛び交った。

「今井達也…彼は日本でどれくらいキャリアを積んだんだ?彼の幸運を祈るけど、まだメジャーで投げる準備ができてないよ」
「メジャーで投げる準備ができていない。今井は哀れな小さな赤ちゃんで、メジャーにふさわしくない」


佐々木朗希との比較論まで浮上した厳しい現実

 
 さらに「より酷いのは朗希か今井か、どっちだ」という問いかけもSNSで見られた。メジャーでは1年先輩にあたる佐々木朗希もまた、苦しい投球を強いられているが、この質問に対して、「今井は5400万ドル、佐々木はマイナー契約でたった650万ドル(約10億円)だった」と、冷静に両者のコスパを比較する投稿もあった。
 
 中には「メジャーに慣れるのは時間がかかる。
みんながすぐ適応できるわけじゃないし、人によっては時間がかかるから。シーズン中に立ち直れることを願うよ」といった今井を擁護する声もあったが、年齢的にドジャースが佐々木に与えているほどの猶予はないのが現実だろう。
 
 苦境に立たされた今井は果たして立ち直ることができるのか。次回登板でそのきっかけをつかみたい。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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