米国を代表する絵本作家エリック・カール。今も世界中で愛されている彼の代表作『はらぺこあおむし』の日本語版出版50周年を記念する展覧会が、マサチューセッツ州のエリック・カール絵本美術館の協力のもと、4月25(土)から7月26日(日)まで、江東区の東京都現代美術館で開催される。
ドイツからの移民である両親のもと、ニューヨーク州に生まれたエリック・カール(1929−2021)は、6歳の頃、家族でドイツに移住するが、規律の厳しい学校生活になじめず、またナチス政権下の戦時でもあったことから、灰色の少年時代を送ったという。だがグラフィックデザインを学び、1952年にニューヨークに戻ると、デザイナーやアートディレクターとして活躍。絵本作家となってからは、ページの形や開き方にも工夫を凝らし、光や音などのしかけを加えた「遊べる本であり、読めるおもちゃ」を目指して、生涯で約90冊もの絵本を生み出したのだった。
エリック・カール (C) The Eric Carle Museum of Picture Book Art, Inc.
『はらぺこあおむし』は、ページごとに紙のサイズが変わり、あおむしの食べた跡が穴で表現されている斬新な絵本だ。英語の初版に際し、印刷・製本が技術的に難しいこの絵本の制作を引き受けたのは、日本の会社だったという。それから7年後の1976年、美しい翻訳によって日本語版が出版され、50年後の今もその人気は続いている。
今回の回顧展では、その『はらぺこあおむし』や『パパ、お月さまとって!』『10このちいさなおもちゃのあひる』など、27冊の絵本の原画とともに、最初の構想段階でつくられるダミーブックやコラージュに使用する素材など、計約180点が展観される。
エリック・カール『パパ、お月さまとって!』1986年 エリック・カール絵本美術館 Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation. (C) 1986 Penguin Random House LLC.
見どころのひとつは、『はらぺこあおむし』の原画の全ページが並ぶとともに、その誕生のきっかけとなったダミーブックや世界中の翻訳本が展示されること。また、カールの少年時代の経験から生まれた絵本『いちばんのなかよしさん』の原画が日本初公開されるほか、グラフィックデザイナーとしてのカールの仕事も紹介される。
エリック・カール『いちばんのなかよしさん』2013年 エリック・カール絵本美術館 Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation. (C) 2013 Penguin Random House LLC.
絵本は、子ども一人ひとりの手に直接届けるためにつくられた小さなアートだ。同展では、美しい原画とともに、それを絵本というかたちに落とし込むために工夫をこらしたブックデザインの魅力も堪能できる。特設の絵本コーナーで、実際に絵本を手にできるのも楽しみだ。
<開催情報>
『エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし』
会期:2026年4月25日(土)~7月26日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F
休館日:月曜、5月7日(木)、7月21日(火)(※ただし5月4日(月)と7月20日(月)は開館)
時間:10:00~18:00(※入場は~17:30)
料金:一般 2,300円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,600円、中高生 1,000円、小学生以下無料
公式サイト:
https://ericcarle2026-27.jp/

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