「トラックで机も椅子も全部持って行った」東京・アメ横でついに一斉摘発…“違法路上営業”摘発後、現地で見た激変の光景
「トラックで机も椅子も全部持って行った」東京・アメ横でついに一斉摘発…“違法路上営業”摘発後、現地で見た激変の光景

東京・上野のアメ横周辺で行われた「路上営業」の一斉摘発。長らく“アメ横らしい風景”として見過ごされてきた営業形態に、ついに警察のメスが入った。

摘発後、現地の通りはどう変わったのか。

「ようやく警察が動いた」と喜びの声

警視庁は5月5日、道路使用の許可を得ず、店の前の路上にテーブルや椅子を設置していた飲食店などに対し、一斉摘発に踏み切った。アメ横周辺では歩行者や緊急車両の通行を妨げるおそれがあるとして、この半年で1500件近くの指導や警告が行なわれていたという。

アメ横といえば、戦後の闇市をルーツに持ち、鮮魚店、乾物店、衣料品店、飲食店などがひしめき合う観光名所としても知られる。海外や国内から多くの観光客が訪れ、年末には買い物客で身動きが取れないほどの混雑になることでも有名だ。

なかでも、アメ横周辺の飲み屋街は、路上と一体化したような独特の雰囲気で知られている。複数の飲食店が軒を連ね、昼夜を問わず多くの客でにぎわう光景は、上野らしさのひとつでもあった。

ただ、そうした飲食店の中には、店先のテーブルや椅子を路上にまで広げて営業する店も少なくなかった。路上で酒を飲む客たちによって、歩行者が通りづらい状態が常態化していたうえ、席での喫煙も横行し、受動喫煙に対する不満の声が高まっていた。

当然、道路使用の許可を得ずに路上に客席を設置することは認められていない。今回、警視庁が一斉摘発に踏み切った背景には、こうした状態が長年続いていたことがある。

摘発の様子は大きな話題となり、SNS上では「ようやく警察が動いた」「警察署も台東区もがんばった!えらい!」「景観が悪かったから良いと思う。違法ならなおさら是正しないとね」といった賛同の声も多く上がっていた。

一方で、「アメ横のあの雰囲気好きだったのに」「あの雰囲気、しっかりと台東区が管理して文化を守ってほしい」といった声もあった。

では、現地はどれほど変わったのか。実際に、上野のアメ横周辺を歩いてみた。

まず感じたのは、確かに通りの印象がかなりすっきりしていたことだ。以前のアメ横周辺には、店先に並ぶ客席や路上で飲食する人たちとの距離が近く、歩いているだけで圧迫感を覚える場所もあった。

以前から苦情が多くて強硬手段に

アメ横ならではの雰囲気といえば聞こえはいいが、通行者としては足早に通り抜けたくなるような混雑感もあった。普通に歩いているだけで、飲食をしている人と目が合ったり、ぶつかりそうになったりすることもあった。

しかし、今回訪れてみると、以前よりも明らかに歩きやすい。アメ横らしい人通りや活気は残っているが、歩行者が客席を避けながら進むような場面は減っている。

アメ横周辺で見回りをしていた地元関係者の男性にも話を聞いた。

「やっぱり『道が狭くて通れない』っていう苦情がずっと多くてね。近所の人たちからも昔から言われてたんだよ。ここ、本当は車も通れるんだけど、客席のせいで通れなくなっちゃってたから。

で、警察も何回も『どかしなさい』って注意はしてたんだけど、それでも言うことを聞かない店があってね。最後は警察が来て、トラックで机や椅子を全部持って行っちゃったよ」

トラックで机や椅子を運び出したという対応は、かなり踏み込んだものに見える。ただ、半年で1500件近くの指導や警告があったと報じられていること、それ以前からも注意を受けていたという証言を考えると、今回の摘発は、改善が見られなかった末の強い措置だったといえるだろう。

一方で、この摘発の様子は大きなニュースになったものの、現地で話を聞くと気になる声もあった。路上で客の呼び込みをしていた居酒屋で働く男性に今回の摘発について尋ねると、「そんなことあったんですか? 自分はわからない」と話し、摘発については全く知らない様子だった。

また、別の現地関係者の男性からは、こんな声も聞かれた。

「前から警告とかしていたのに、やめなかったわけだしね。その場では聞いたふりをして、すぐに戻っていたこともあった。今回もしばらくしたら、また戻るでしょ」

すでに路上にはみ出して営業しているような店も

確かに今回の摘発を受けて、歩きやすくはなったが、すべての店舗が完全に法律を守っているようには見えない部分もあった。路上にはみ出すか、はみ出さないか。ぎりぎりの線上で営業しているように見える店や、テーブルや椅子をはみ出させて営業しているような店もある。

今回の摘発によって、アメ横の通りは一時的にすっきりした。

だが、それが街の新しいルールとして定着するのか、それとも時間が経てば元の状態に戻ってしまうのかは、まだわからない。

年末には再び、多くの買い物客で混雑するアメ横。そのとき、この街の通りはどのような姿になっているのだろうか。

取材・文・撮影/集英社オンライン編集部

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