電波障害に感じる春雨の風情
ゲコッ
すっかり春めいて暖かな日が続いている。「おんな(おとこ)心と春の空」とはよく言われるけれど、高気圧と低気圧が交互にやって来る春の天気も実はとても変わりやすい。
せっかくの週末に雨模様だったりすると、テレビで映画三昧、友人と携帯で電話三昧、パソコンでインターネット三昧と、自宅でゆったりとした時間を過すことも多いのでは?

そんな雨の日の自宅時間、衛星放送の映像が乱れたり、携帯電話の音声が途切れがちだったり、無線LAN経由のインターネットがつながり難かったりしてイライラしたことはないだろうか。
コードの束縛がないワイヤレスって、とても便利なので様々なアイテムに利用されているけれど、そこで使われる無線電波は雨の影響を受けやすいのである。

電波は目に見えないので、どんな姿をしているのか今ひとつピンとこないけれど、文字通り空気中を伝わる波で、それは周波数と波長で表される。周波数とは1秒間に波が山と谷を往復(振動)する速さのこと。波長とは波が一往復する間に進む距離のこと。周波数が大きくなるほど波長が短くなる。
この波長がポイントだ。

従来の無線通信の周波数はキロ〜メガヘルツ。地上波TVだと波長が1〜10mとなる。最近では映像や音声など、伝達する情報量が大きくなってきたのでギガヘルツの周波数が使われるようになって来た。衛星放送だと波長が1〜10cmの大きさだ。雨粒の大きさは約1〜5mm程度。
波長が雨粒の大きさに近づくほど、その影響を受けやすくなる。
CSやBSなどの衛星放送用に使われる電波の周波数は12ギガヘルツ、携帯電話では3G(FOMAやauのCdmaOne2000など)だと2ギガヘルツ、無線LANだと2.4ギガヘルツと軒並み高周波数の電波が使われている。まさに雨の影響がシビアな状況なのだ。

とは言え、よほどの豪雨でもない限り通信不能に陥る心配はないのだけれど、しとしと降る春雨だってちょっとしたノイズや画像の乱れを引き起こすこともある。特に映像美を楽しむ映画や紀行番組を見ていたり、大事な人との会話の最中だったりするとなおさら不満指数が高い。

近い将来には技術の進歩で雨や台風などの自然現象に負けない無線通信が可能になるだろう。
でも、今のところは乱れたテレビ画像と途切れた携帯音声に春雨の風情を感じるくらいの余裕でいるのが良いのかも知れない。(シロー)