京都・丸太町にある「やっこ」といううどん屋さんに 「キーシマ」なる謎の食べ物があるということで、食べに行ってみた。場所は京都御所のほど近くにあり、昭和5年開業なので、なんと今年で創業86周年!! 創業数百年という老舗がひしめく京都においてはまだまだ若者(!?)かもしれないが、親しみやすさと懐かしさが漂う、昭和な佇まいが素敵だ。


うどん?ラーメン?京都発、謎の食べ物「キーシマ」の正体

うどん?ラーメン?京都発、謎の食べ物「キーシマ」の正体


入口近くに「テレビ雑誌でお馴染みのキーシマの店」という看板が出ており、定期的に取材なども訪れている様子。

ついに「キーシマ」を食べる!


うどん?ラーメン?京都発、謎の食べ物「キーシマ」の正体

この、究極にシンプルな食べ物がキーシマだった……。値段は420円とリーズナブル。うどんのつゆに、中華麺が入っており、具は他にネギのみ! という潔さ。食べてみたところ、少し甘めのうどんだしに、中華麺が違和感なくマッチし、なんとも素朴でやさしい味わい。

祖父が創業者という、3代目の川畑法子さんにお話をうかがってみたところ、
「実は、キーシマというのは、従業員のまかないとして出していたもの。かけそばのことを、昔から店の者だけに通じる符丁で、"シマ"といってたんですね。
黄色い麺=中華麺のことで、黄色い麺を使うシマだから『キーシマ』というわけです」
とのことで、ほーっと感心。そのため看板や店内に貼ってある貼り紙にはキーシマが紹介されているが、いわゆる「お品書き」にキーシマは載せていないそうだ。ところで、まかないをお客さんに提供するようになったきっかけはなんだったのでしょう?

「うちは毎日のように通ってくださる常連のお客さんが多いんですが、食べてみたいとおっしゃる方がいらっしゃったので出すようになりました。40年くらい前から出しているので、メディアで取り上げていただいたりしているうちに、それが目的で遠くから来てくださる方も増えました」
とのことで、そんなに長く地元で愛されていたのですね……。まかないから生まれたメニューって、おいしいものが多いような気がする。

うどん?ラーメン?京都発、謎の食べ物「キーシマ」の正体


なお、キーシマと一緒に、奥の「ミニ衣笠丼(きぬがさどん)」、あるいは左の「ミニ焼き飯」(いずれも470円)を一緒に頼んで、定食のようにして食べる人が多いとか。
ちなみに衣笠丼とは京都ならではのメニューで、甘辛く炊いた油揚げと青ネギを卵で綴じた丼のことである(金閣寺近くにある、衣笠山が由来と なっているらしい)。

他のメニューも"キー仕様"に


さらに驚いたことに、他のたとえば「きつねうどん」や「カレーうどん」「はいからうどん」(いわゆる揚げ玉がのったうどん)を"キー仕様"に変更することも可能なのだそう。うどんが中華麺に変わるだけなので、油揚げや揚げ玉といった具はそのまま楽しめる。
「きつねうどん→キーきつね」「カレーうどん→キーカレー」「はいからうどん→キーはいから」とそれぞれ呼び名も変わるのだそうで、なんだか通っぽいですね。基本的には、お品書きにあるどのうどんも"キー"にできるそうだが、やはり具材との合う合わないがあるので、お店としてはこの3つを特におすすめしている、とのことだった。

と、そんなわけでシンプルな「キーシマ」もおいしかったが、次はぜひとも「キーカレー」に挑戦してみよう!!と決意しつつ、「やっこ」を後にした私でした。

(まめこ)