「プリティー、ウィッチー、どれみっちー!」
魔女見習い、バージョンじゅうろく!
どれみたちが、ドラマCDで帰ってきますぞー!

1999年から2003年まで放送されていた魔法少女アニメ『おジャ魔女どれみ』シリーズ。「世界一不幸な美少女」小学校3年生の春風どれみが、魔女マジョリカの正体を見破ってしまったことから「魔女見習い」になることに。
魔女見習いとして成長していくお話と、クラスメイトひとりひとりに起こる事件をていねいに描いている、まさに子供から大人まで楽しめるアニメだった。
放送が始まったとき、私はどれみたちと同い年だった。当時は超優等生だったので「私はどれみよりもはづきみたいな女の子だな〜」などと(はづきファンに怒られそうなことを)考えていた。

放送終了から8年後(OVAを入れると6年後)の2011年。講談社ラノベ文庫で『おジャ魔女どれみ16』シリーズが始まった。タイトル通り、16歳、ぴっちぴちの高校一年生になったどれみたちのお話だ。

第4期『おジャ魔女どれみドッカ〜ン!』の終盤、どれみたちは魔女にならないことを選び、それぞれ違う道に進んでいった。そして3年後、同級会で再会したどれみ・はづき・あいこの3人は、ある事件をきっかけにふたたび魔女見習いとなる。高校生になってすこし複雑になった人間関係や環境を、おなじみのパワーで乗り切っていく。
『どれみ16』は現在3巻まで刊行中。7/2に刊行の第4巻『おジャ魔女どれみ17』の限定版にドラマCDがつくことになり、なつかしい面々がアフレコスタジオに集合した!

■16歳のどれみは、すこしお姉さんになった

春風どれみ役の千葉千恵巳、藤原はづき役の秋谷智子、妹尾あいこ役の松岡由貴、瀬川おんぷ役の宍戸留美、飛鳥ももこ役の宮原永海。うわー、MAHO堂だー!
「16歳になったキャラ」について聞かれて、千葉が話し出す。


千葉 16歳になったからって、声がガラッと変わるわけじゃない。演じる上では、出たとこ勝負? どれみは前よりも落ち着いて周りを見れているかなー。前は「思いついたらすぐ!」の、跳んでくボールみたいだったけど、今は台詞まわしが一呼吸置いてからだったり、3年ですこしお姉さんになったかも。はづきちゃんは?
秋谷 そうですねー、そこまで声が変わってるってイメージはなかったので、私も出たとこ勝負かなあ(笑)でもはづきちゃんは前よりもしっかりしているので、その感じは出したいなと。はい(ちらっと松岡を見る)。
松岡 あいこですっ! すごく自分に近いキャラクターだったので、わざわざ「この子はどうなっているんだろう?」って考えなくても出てきました。
…出たとこ勝負だね(笑)みんなで水遊びするシーンがあるんですけど、一瞬ぱって小学生の私たちに戻ったんですよ。16歳なんだけど、みんなで大はしゃぎするシーンでは心は小学生に戻るんだなーって。じゃあ、おんぷちゃんは?
宍戸 みんなの芝居を見て、「わっ!」って興奮しました。これはほんとにファンの人は待ってるだろうなーって。おんぷちゃんはみんなよりも複雑なことがいっぱいあって、それが出したいけど出せないジレンマがありました。…ももちゃんは?
宮原 ももちゃんはまだ、これから録りなんですネー(※アフレコ途中の取材だったため)。
前と比べると日本語がふつうに喋れるようになっていて、でも前のたどたどしい感じも出したいので、どうやろうかなあと考えてます。

千葉が「はづきちゃん」と秋谷に呼びかけた瞬間、馬越嘉彦氏の描いた16歳のどれみたちが重なって見えた(『どれみ16』のイラストはすべて馬越氏描き下ろし)。
もともと『どれみ』は、キャストとキャラクターの共通点が多い作品。この辺りから、私がとっていたメモの「千葉」「秋谷」は、「どれみ」「はづき」に変わっている。それくらい、5人はMAHO堂のみんなだった。

■『どれみ』は「すごい昔、濃い時間を過ごした友達」

千葉 どれみのメンバーって不思議なんですけど、見た目が変わらないんですよ。
「妖怪入ってるんじゃないの?」ってくらい。今日は「前どこ座ってたっけ?」って、テレビシリーズのときの席に座って、いつもどおりに始まりましたよね。数年経ってるけど、「久しぶりだね〜! ふわぁ〜(歓声)!」みたいな初々しさはなかった。
秋谷 どれみちゃんの最初の一言を聞いたら、「うわぁー、きた!」ってなった。
松岡 前と変わらないアフレコ現場を見てたら、「あー、あのときあんな話をしたなー」(遠い目になって)…って、いろんな思い出がわぁっと頭の中によみがえって!
千葉 ……死んじゃう(表情を変えず、ボソッと)。
松岡 走馬燈かよ! 死なないよ!

すかさずツッコミを入れる松岡、松岡と目を合わせて、ペロっと舌を出しそうに笑う千葉。
二人のやりとりに体を揺らして笑う他3人。ああっ、リアル『どれみ』だ。ボケるどれみにツッコむあいこ、それを楽しんでいるはづきたちがいるよー。

宍戸 一年に一回くらいごはんを食べに行ってたり、現場でそれぞれ会っていたりもしたので、久しぶりって感じではないんですよ。いろんな場所で成長して、ここでまた集まれるのって素敵だなと思ってます。
宮原 『どれみ』って「すごい昔、濃い時間を過ごした友達」。だから十年二十年経っても、会ったらその瞬間に戻れる。

一度みんなが離ればなれになって、一回り成長してまた集まるのも、『どれみ16』と重なる。

■ドラマCDはもりだくさんの一枚

ドラマCDの内容は、そんな『どれみ16』一巻の中からいくつかのエピソードを収録したもの。

千葉 これでもか! ってエピソードを重ねてる。もりだくさんの一枚になります。
松岡 このドラマCDを待ってくれてる方はいっぱいいるんじゃないかなー。今回はアニメじゃなくて、ドラマCDじゃないですか。目をつむったら、16歳のあたしたちが元気に動いている…って、たくさん想像してほしいです。
宮原 どれみのテーマは「成長し続ける」。そういう意味では期待を裏切らない作品になってます。

最終話「ありがとう!また会う日まで」で、みんなと離れるのが寂しくてMAHO堂に閉じこもってしまったどれみは、「なに子供みたいなこと言ってるの!」と言われて「あたしはまだ子供だよ!」と涙する。
16歳のどれみは、もう子供じゃない。かといって大人でもない。中途半端な時期だ。どれみは、一番大事なところは変わらないまま、成長し続けている。
私は一足先に大人になってしまったけど、高校生のどれみたちがどう大人になっていくのか、昔の友達を見るような気持ちでわくわくしている。もちろん楽しいことばっかりじゃない。特に3巻であいこに起こる出来事は、あんまりにもつらい。でもそれを乗り越えて成長できる力を、『どれみ』のキャラクターは持っている。
今回のドラマCDは第1巻。講談社ラノベ文庫の担当者によると、好評であれば第2巻・第3巻と続く予定とのこと。…となると、もっと贅沢な気持ちも芽生えてくる。ピーリカピリララポポリナペーペルト!『どれみ16』がアニメになーれ!
(青柳美帆子)