「データカードダス アイカツ!」の開発スタッフ3人による「アイカツ!開発女子会」後編です。引き続き、バンダイ カード事業部「アイカツ!」チームの中村幸恵さん、橋本佳代子さん、中屋有貴さんのアイカツ(アイカツ開発カツドウ)について、お話をうかがっていきます。

(前編はこちら)
30日夜は紅白「アイカツ!」合戦。アイカツ!開発女子会2「最初のキャラクターイメージは松岡修造」

──「アイカツ!」の楽曲は本当に名曲揃いで、それが作品の大きな魅力になっていますよね。
橋本 本当に大きいと思います。音楽に関しては、最初からMONACAさんにご協力をいただいています。
中村 「アイカツ!」よりも前に担当したゲームでの縁があって、企画プレゼンテーション用のPVのために、(音楽クリエイター集団の)MONACAさんに「アイドル活動!」の制作をお願いしました。
──最初のアイカツ楽曲はやはり「アイドル活動!」だったのですね……というところで、橋本さんは、次のアイカツのお時間では?
橋本 そうなんです! こんなタイミングですみません!(席を立ちながら)ちなみに私は「Trap of Love」を聴いた時に「このゲーム、いける!」と思いました。
中村 (現プロデューサー)廣瀬も同じ事を言ってました。

橋本 すごく大人ぽっくて。ヒットチャートとかにランクインしそうな曲だなって。
中屋 私も、いまだに一番好きな曲です。
橋本 そうそう。いいよね。あ、では、失礼します〜(笑)。

──ありがとうございました。次のアイカツ、頑張ってくださ〜い。では、お話の続きになりますが、「アイカツ!」の楽曲は、どのような方針で作っているのでしょうか?
中村 テレビアニメと連動するにあたって、水島(精二)スーパーバイザーからも、あえて子どもっぽい曲にはしないようにしようと助言をいただきました。女の子たちが「アイカツ!」で初めていろいろなジャンルの音楽に触れる、それをテーマにしたと聞いています。唯一、「アイドル活動!」だけは、曲を通して作品のテーマを伝える役割もある曲だったので、ベタな良さを生かすことのできている曲かなと思っています。
──作曲家や作詞家には、テーマなどを、どのように伝えるのですか?
中村 その曲をメインで歌うキャラのブランドやタイプとか、こういう雰囲気なんですということをお伝えしています。
その解釈は、クリエイターさんにお任せしている部分が大きいですね。引き出しがいっぱいある方ばかりなので、良い曲をたくさんいただきました。
──子どものための曲ではなく、大人が聴いても良い曲というか、むしろ大人に向けて作っているような印象の曲が多いです。
中村 ユリカ様が歌う「硝子ドール」の時も、社内ではこの(難しい)曲で良いのかという声はありました。でも、子どもは柔軟性があるので。
中屋 平気で「硝子ドール」を歌ってますからね。

中村 歌唱を担当していただいている「STAR☆ANIS」さんがしっかりと歌っていただいていることもすごく大きいと思います。それに、振り付けも、クリエイターの方にお願いした本格的なものになっているので、そこも子供たちにとって新鮮なのではないでしょうか。
──中村さんは、特に思い入れの強い曲はありますか?
中村 難しいですが……。「アイドル活動!」は最初に誕生した曲なので、やっぱりデータカードダス開発スタッフはみんな、思い入れがありますね。
中屋 1回聴いたら忘れない曲だと思います。
──たしかに!
中村 まだキャラクターの3DCGモデルも無かった頃に作って頂きましたので、そういう意味でも、思い出深い曲でもあります(笑)。

──開発初期の思い出の曲でもあるわけですね。中屋さんは、先ほど「Trap of Love」が好きだと仰っていましたが。
中屋 はい、大好きです! でも、1曲を選べないほど、良い曲がたくさんありますよね。「オリジナルスター☆彡」とかも好きですし……。
中村 私もさらに挙げるなら、「SHINING LINE*」も思い入れが強い曲です。いちごちゃんに憧れる後輩の子がスターライト学園に入ってくるという設定とともに、「SHINING LINE*」も、美月、いちご、あかりと繋がっていくというテーマに沿った曲を、という形でお願いしましたが、いただいた曲や歌詞がまさにイメージどおりというか……。

中屋 他の曲もそうですが、歌詞がすごく素敵なんですよね。大人でも、こういう気持ちあるなあって思ったりします。あとは、「カレンダーガール」とか。
中村 私は「fashion check!」も好きです。
中屋 本当に良い曲が多いので、もっとたくさんの方に聴いて欲しいですね。12月30日に開催予定の「紅白アイカツ!合戦」をぜひ観ていただきたいです!!
30日夜は紅白「アイカツ!」合戦。アイカツ!開発女子会2「最初のキャラクターイメージは松岡修造」

熱い新ブランド「Sangria Rosa」と新キャラ紅林珠璃

──ドレスについては、どのような流れで作られているのですか?
中屋 年間のラインナップ構想のもと、それぞれの弾に落とし込みます。例えば、新キャラが出るのであれば、そのキャラのブランドを主体にして……などと決めていきます。それから、それぞれのドレスのコンセプトを決めます。例えば、ピザコーデにしようとかですね。それをデザイナーさん(ハ・ン・ドの川村氏、デザイナー村本氏)に伝えて、ドレスのラフデザインを上げてもらいます。そこから、デザインや色を調整したりして。時間も、こだわりも、予算も、かなり注いでいると思います。
中村 曲とドレスは同時進行する形ですが、どちらも半年くらい前には動き始めてます。(レア度が一番高い)プレミアムドレスは1年分のラインナップを先に作って、アニメチームと相談しながら、今年はこういう構成でどうでしょうみたいな形で進めています。
──プレミアムドレスは、アニメでもドラマの中心になったりしていますよね。
中屋 はい。それに、そのブランドを象徴するようなドレスになるので、最初に決めていきます。
──最新の2015シリーズ第2弾では、新キャラクターのジュリちゃん(紅林珠璃)と、新ブランドの「Sangria Rosa(サングリアロッサ)」が登場しました。それぞれ、どのような形で作っていったのですか?
30日夜は紅白「アイカツ!」合戦。アイカツ!開発女子会2「最初のキャラクターイメージは松岡修造」

中村 「アイカツ!」のキャラやブランドには4つのタイプがあるのですが、2015シーズンはまだ「セクシー」の子がいなかったので、第2弾でセクシーの子を追加して4人にすることはゲームサイドで決めていました。
──2015シリーズ第1弾から登場していた3人は、大空あかりが「キュート」、氷上スミレが「クール」、新条ひなきが「ポップ」ですね。
中村 あと、その3人は少しおとなしめの子なので、追加する子は、もう少し特徴のある変わった子が良いなということになりました。
──ジュリちゃんは、超個性的で「熱い」です!
中村 はい。新ブランドは、カルメンなどのスペインぽいイメージを前面に出した熱い感じのブランドにしようということになり、今の「Sangria Rosa」が誕生しました。そして、そのブランドイメージに合った子ということで、ああいうキャラになったんです(笑)。
中屋 濃いですよね。ファンの方の反応も良い感じです。
中村 松岡修造さんのように熱いキャラクターというのが最初のイメージでした(笑)。(企画資料で)「情熱大陸」と表現していたところ、アニメのスタッフの方に「どういうことですか?」って突っ込まれたりしました。
──どういうことですか(笑)。
中村 大陸系の情熱的な女子というイメージと、あの番組の主題歌が何となくイメージにあったんです(笑)。
──ジュリちゃんは、けっこうスムーズに生まれたキャラクターですか?
中村 そうですね。データカードダススタッフの中では、ひなきが難産でした。「ViVid Kiss(ヴィヴィッドキス)」は、ひねりのある「ポップ」で、みくるちゃんは先輩キャラだったから、そこが上手くマッチしたんですけど。あかりと同世代の子で考えると、これは、けっこう大変だということになりました。あまり複雑な個性にすると、小さな子には伝わりにくいですし……。結果、比較的、複雑な子にはなったのですが、その分、ジュリちゃんはスパーンっとストレートに行けたのではないでしょうか?
──そういう意味で言えば、すみれちゃんもストレートに分かりやすいキャラな気がします。
中村 アニメの中でも、ストレートに「美人」と呼んでくれたくらいですから。お蔭様で、すみれちゃん人気が上がっています!(笑)

データカードダスで「劇場版アイカツ!」を追体験

──今後の「データカードダス アイカツ!」に関して目標などはありますか?
中村 最初はアニメがきっかけで、いちごちゃんやあかりちゃんに興味を持って、ゲームを始めてくださるユーザーさんが多いと思うんです。でも、我々としては、最終的には、自分のマイキャラをアイドルとして一人前にするという方向で楽しんで欲しいなと思っています。その足がかりとして、2015シリーズからネットワーク化を導入しました。ネットを通じて、実際にいる誰かと一緒に遊ぶことも体験して欲しいんです。人と遊ぶのって、本当はすごく楽しいものなので。とはいえ、まだユーザーの皆さんに、十分なプレゼンテーションができておらず、遊び方が伝わってない部分はあるのかなと感じているので、それをどんどん広めていきたいですね。
中屋 「アイカツ!」というコンテンツは、まったくのゼロから立ち上がり、おかげさまで今はたくさんの方に支持していただいてます。でも、ここからさらに、何をユーザーの皆さんに届けられるかが重要。絶対に変わってはダメな「アイカツ!」の良さはあると思うのですが、新しい楽しさもどんどん提供していかなくてはいけないと思っています。そこのバランスが難しいのですが。
中村 本当に難しいところだよね。
中屋 「アイカツ、変わっちゃったよ」って言われても嫌だけど、新しい驚きや楽しさも提供していきたいですし。難しいですね。
──今現在の新しい楽しさというと、劇場版との連動でしょうか?
中村 そうですね。映画のストーリーを追体験するような形で、「大スター宮いちご祭り」に参加できますし、映画のオリジナルキャラクターの夏音さんも出てきたりします。カードも今回の2015シーズン第2弾は、プレミアムが4種類あって、映画でいちごちゃんと美月の着たドレスもあります。
30日夜は紅白「アイカツ!」合戦。アイカツ!開発女子会2「最初のキャラクターイメージは松岡修造」

中屋 映画の入場者プレゼントのカードは、あかりちゃんが着たドレスで、プレミアムレア仕様の上に「アイカツ!」初の蓄光カードになってます。その他にも、他の事業部や他社さんとタイアップして、映画に出てくるコーディネートのカードを付録としてつけたりしています。
──ホームページのリストを見ましたが、本当にたくさんありますよね。
中屋 はい。映画を観たみなさんに集めていただけたら嬉しいです。あとは、先日発売された3DSのソフト「アイカツ! 365日のアイドルデイズ」を劇場に持っていくと、劇中に登場したステージと曲がダウンロードできます。

ユーザーが真剣に向き合えるようなコンテンツに

──「劇場版アイカツ!」、何度観ても楽しめる作品になっていますね。
中村 お話もすごくしっかり作っていただいていますよね。普段のテレビは、どうしてもお母さんたちは忙しくて、家事をしながら観ている感じだと思うんです。でも、劇場ならしっかりと子供さんと一緒に観られるので。お母さん方も「アイカツ!」を好きになってくれるきっかけになればと思っています。バンダイとしては、お母さんと娘さんの両方に楽しんで欲しいと思っているコンテンツなので。
中屋 ゲームを親子でやってくださっているのを見るのも、本当に嬉しいです。
中村 そうそう。ただ、アニメについては、お母さんが元々アニメを好きな方じゃないと、少し難しいところはあると思うので。この機会に、もっとたくさんのお母さんの中で、アイカツ!熱が高まって欲しいです。
中屋 あとは、この劇場版をきっかけに、ゲームを初めてやってくださった方に、キャンペーンやイベントも含めて楽しんでいただいて。「アイカツ!」の本当のファンになってもらうことがすごく大事だと思っています。
──最後にこの記事を読んでいる皆さんにメッセージをお願いします。
中屋 たくさんのユーザーさんが「アイカツ!」を好きになってくれたからこそ、今の「アイカツ!」があるのだと思っています。これからもどんどん新しい楽しさを提供して、皆さんの期待に応えるように頑張りたいです。それに加えて、もっともっといろんな方に「アイカツ!」の楽しさを知ってもらいたいので、それに相応しいコンテンツにしていきたいですね。あとは、応援してきてくださった方にもっと恩返しがしたくて。例えば、8月の「アイカツ! LIVEイリュージョン」って、そういう場だったのかなと思うんです。
30日夜は紅白「アイカツ!」合戦。アイカツ!開発女子会2「最初のキャラクターイメージは松岡修造」

──ホログラム映像とプロジェクションマッピングを使った「アイカツ!LIVEイリュージョン」、僕も観に行きましたが、本当に目の前にいちごちゃんたちがいるみたいで、「21世紀すげー」と驚きました(笑)。
中屋 あの場で、「アイカツ!」を好きで良かったとか、やっぱり「アイカツ!」って良いよねと思ってくださったさった方も多いと思うので。また、ああいう機会を設けて、皆さんを驚かせたいです(笑)。
中村 「アイカツ!」は、曲にしても、ドレスにしても、ゲームの難易度にしても、ユーザーの皆さんが真剣に向き合えるように作ってきました。その真剣さをきちんと感じていただけるようにというか、「手を抜いたんじゃないの?」とならないように今後も頑張って、皆さんの期待に応え続けられる商品にしていきたいと思っています。
──だから、僕ら大人も楽しめるコンテンツなんですね。
中村 もちろん、女の子たちが楽しめるように作っていますが、子ども相手だからとかではなく、いつでも「全力投球!」です。 「アイカツ!」に引き続き、ご期待ください!
(丸本大輔)


≪「アイカツ!」最新ニュース≫
2014年の8月に開催された「アイカツ!LIVEイリュージョン」のスペシャル上映会が2015年2月21日(土)から、順次上映開始!
詳細は、http://www.aikatsu.com/event/event105.html でチェック!

30日夜は紅白「アイカツ!」合戦。アイカツ!開発女子会2「最初のキャラクターイメージは松岡修造」