◆第108回全国高校野球大阪大会 ▽4回戦 大阪立命館3―2大阪桐蔭=延長10回タイブレーク=(19日・くら寿司スタジアム堺)

 大阪立命館が、センバツ優勝校の大阪桐蔭を撃破するジャイアントキリングだ。勝利の瞬間、ナインは雄たけびを上げながらベンチを飛び出す。

観客席も大盛り上がり。まるで優勝したかのようにはしゃいだ。

 先発した背番号10の右腕・勝田海斗(3年)が好投した。持ち球は最速「130キロちょい」の直球とカーブだけ。「ウチ(=内角)を必死で攻めました。コントロールには自信があります」。187センチの長身からの角度のある直球と緩いカーブで7回途中まで2失点と大阪桐蔭打線を封じた。「正直、相手は日本一なので勝てるわけないやろと思っていたけれど、内心、やってやろ! 歴史を変えてやる!と思っていた」と闘志を内に秘めて必死に腕を振った。

 9回途中のピンチで登板した背番号1の表憲吾(3年)は165センチの小柄な左腕。エースとしてチームを支えてきたが、6月に靱帯(じんたい)を損傷するケガ。4番・DHから解除してマウンドに上がり、最後は1点差を守り抜いた。「多少痛みがあったけれどアドレナリンが出ていた」。

最後に打ち取った打者・黒川虎雅主将(3年)は、中学時代から知っていた。「中学で初めて『こいつえぐい打者だな』と思った選手。対戦はなく自分のことを知らないと思いますが…」と振り返った。

 長身右腕と小柄な左腕が成し遂げた大仕事。勝田は、勝利した瞬間、「自然に涙が出ていました。こんなこと今までにない」と不思議な感覚に陥っていた。表も「捕手のミットをめがけて必死に投げました」と無欲の勝利を強調。チームの背番号は選手の投票制だった。「ケガしたのに1番を付けさせてくれた。みんなが信じてくれた、お前に託すというメッセージだと思った」と意気に感じて投げ続けた。

 就任10年目の楠本雄亮監督は「こんなことってあるんやなと…。ようやってくれました。

僕は何もやっていない」とナインの奮闘をたたえた。

 平日練習は3時間程度、専用グラウンドはない。サッカーコート一面分の人工芝グラウンドを他の部活と共同で使う。時には4分の1しか使えない時もある。バックネットもなく打撃練習も出来ない。遠投も周囲を気にしながら。それでも守備練習など基本練習をコツコツと積み上げてきた。

 大阪大会は前身の初芝時代の2002年の準優勝が最高。その時は大阪桐蔭に敗れた。それ以降は8強が最高成績の“無印”の私立校の快挙。勝利に貢献した勝田から飛び出した「まさか桐蔭が負けるなんて!」という、まるで人ごとのような言葉が、成し遂げたことも大きさを物語っていた。

編集部おすすめ