◆JERAセ・リーグ 巨人6―1中日(19日・東京ドーム)

 東京Dの中心で心の底から笑うのは、1年ぶりだった。吉川は約4万2000人の歓声を受け、今季初のお立ち台へ走った。

「緊張します!」。1軍復帰から出場2戦目で、3安打1打点1盗塁。本来の姿を取り戻した選手会長は、少し照れくさそうにはにかみながら声を張り上げた。

 誰もが待っていた躍動だった。0―0の5回2死、復帰から2安打目となる中前打で出塁すると、続くキャベッジの5球目ですかさず二盗。直後の右前打で先制のホームに滑り込んだ。1―0の7回1死二塁では外角のスライダーを捉えた打球が左翼フェンス直撃。今季初の二塁打が貴重なタイムリーとなり「本当いい追加点になったので、それが一番よかった」と快投の小笠原に大きな1点をプレゼントした。

 チームを思った決断が再起を呼んだ。打率2割1分5厘と状態が上向いていなかった6月12日・西武戦(ベルーナD)の試合前。橋上監督代行から「1軍に残ったまま状態を上げるか、2軍でじっくり作り直すか」の2択をゆだねられた。「しっかりやってきます」。

故障を除くとプロ10年目で初の2軍再調整を選び、ファーム・リーグの出場18試合で打率3割1分4厘。きっちりと状態を上げ、最前線に戻ってきた。

 猛打ショーの吉川に導かれ、打線は13安打で快勝。橋上監督代行は「チームにとっても頼もしい、大きな戦力が戻ってくれた」と1か月前の言葉を証明した男をたたえた。「今日はいい結果になりましたけど、明日以降また貢献できるように準備していきたいと思います」と吉川。不動の正二塁手が戻ってきた橋上巨人。2年ぶりのV奪回へいよいよ、役者はそろった。(内田 拓希)

 【清水隆行Point】 吉川が3安打。きわどい球を見極めていずれもセンターから逆方向へと、どれも内容が良く、いい形で打てている。ファームでの調整もいい時間を過ごしたのだろう。体の状態も心配はないし、打撃も本来のものが戻ってきた。5回の先制点は吉川の盗塁が絡んだもの。

金丸のようないい投手を攻略するには機動力も大切で、また守り勝つ上でも彼のスピードは重要な要素。チームにとって大きな存在だ。(野球評論家・清水 隆行)

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