◆第108回全国高校野球選手権神奈川大会▽決勝 横浜11―1桐光学園(26日・横浜)

 横浜が14年ぶりの出場を狙う桐光学園を下し、2年連続22度目の優勝を果たした。神奈川県勢では史上初の4季連続甲子園出場となった。

準決勝の慶応戦で右ふくらはぎを痛め、途中降板していた織田翔希投手(3年)が強行先発。けが人とは思えない投球を披露し、最速157キロで1失点完投した。試合後、村田浩明監督がその舞台裏を明かした。

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 優勝を決めた織田の目に、とめどなく涙があふれた。全てを出し尽くした。もう、歩くこともままならない。味方に支えられながら整列に加わった。

 マウンドに立っている間は、完全無欠のエースだった。初回から155キロをマーク。6回に併殺の間に1点を失ったが、激戦区・神奈川を勝ち上がってきた桐光学園を圧倒した。酷暑で消耗したはずの9回に、自己最速タイの157キロを計時し、球場のどよめきを誘った。9回130球、6安打1失点、6奪三振で完投。

世代最強右腕の称号に偽りはなかった。

 試合後に明かされた真実を、横浜スタジアムの観衆は衝撃を持って受け止めた。織田は満身創痍だった。試合後の優勝監督インタビュー。村田監督が舞台裏を明かした。

 「織田が『きょう(先発で)行きたい』と。本来であれば、足の状態もあったので、小林鉄三郎でいこうと考えていたんですけど、私に志願してきました。これは初めてです。ここで織田を使わなければ、監督として今まで育ててきて、経験をさせてきて、たくさんの方々に支えられてきて…。よし、織田でいこう、その代わり『いけるところまでいくぞ』ということで、何とか勝ちきって投げきった。本当に織田に感謝しています」

 準決勝の慶応戦。織田は右ふくらはぎ違和感により、6回0/3で降板していた。

5回の投球練習時には6分間の治療を受けるなど、万全とは程遠い状態だった。中1日での決勝。指揮官は先発回避と2年生左腕・小林鉄三郎の先発起用を一度は決めたが、エースの誇りがそれを許さなかった。先発を直訴した織田は、足の痛みに耐え続けた。マウンド上ではスーパーエースであり続けた。

 背番号1への思いを、村田監督は大きな声でマイクに向けた。「織田、ありがとう!」。そして、こう結んだ。「全国制覇したいと思ってずっとやってきました。この子たちだったら十分に可能性を秘めていると思います」。偉大なエースを擁し、有言実行の全国制覇へ。いざ、甲子園だ。

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