◆第108回全国高校野球兵庫大会▽決勝 社3―2明石商(26日・ほっともっとフィールド神戸)

 兵庫では社が2023年以来、3年ぶり3度目となる夏の甲子園出場を決めた。1点ビハインドの8回1死一塁で4番・小倉臣斗(おみと)右翼手(3年)が左翼席へ逆転2ラン。

同校OBの父・貴司さん(53)との二人三脚で、聖地への切符をつかんだ。敗れた明石商は、決勝アーチを浴びたものの、3失点で完投した仲吉泰清投手と大塚弥(あまね)の2年生バッテリーがリベンジを誓った。

 背負った期待を力に変えた。1点を追う8回1死、4番・小倉は明石商・仲吉の高く浮いたスライダーをバットの真芯で捉えた。「打った瞬間、確信した。気持ち良かったです」。大きな弧を描いて左翼席へ飛び込む逆転2ラン。右拳を突き出しながら、雄たけびを上げてダイヤモンドを回った。

 直前には主将の松下幸叶(ゆきと)遊撃手(3年)が中前打で出塁。「託したぞ」という言葉に奮い立ち、ここまで2三振と犠打だった4番の迷いが消えた。「最後は思い切りいこうと。僕がチームで決めないといけないと常に思っていた。

一本が出て良かったです」と大仕事に笑みを浮かべた。

 父・貴司さんもかつては同じ社の野球部で汗を流し、山本巧監督とは同級生だった。在学時に甲子園へ行くことはできなかったが、臣斗は同じ高校で甲子園を目指す道を選んだ。小学4年で野球を始めてからは父の厳しい指導を受け、技量を磨いてきた。「親の仕事として厳しくしすぎたので、会話は減った」と苦笑いした父から「悔いなく思いっ切りやってこい」と背中を押されて挑んだ一戦。大一番で逆転2ランを放った息子に「高校の集大成で、しかも決勝でホームラン、良かったですね」と観客席で喜びをかみ締めた。

 父が届かなかった全国切符を勝利への執念で勝ち取った。これまで苦しい時は、帽子のつばに記したメッセージを見て気持ちを落ち着かせた。「自分らしく」。秋、春は思うように調子が上がらずに、悩み抜いたが、ウェートトレや打撃練習を見つめ直し、研究を重ねた。「周りに何か言われても関係ない。自分らしく」と信じ続けた男が夏の大舞台で結果を残した。

 「入学した時から目指していた甲子園。スタンドもベンチも全員でここまできた。最高の舞台で思い切りやる」。激戦区の兵庫を勝ち抜いた誇りを胸に、甲子園でも暴れ回る。(福島 凜子)

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