2021年東京五輪バレーボール女子日本代表エース、黒後愛(28)が24日、埼玉県内で記者会見し、プロ10季目となる来季2026―27年シーズンに海外リーグに初挑戦すると発表した。

 28歳のアウトサイドヒッターは世界で戦えるトッププレーヤーを目指し、23―24年シーズンに加入し3年プレーした埼玉上尾を退団し、来季からギリシャの名門、アテネ(AEK)へ移籍する。

アテネは東京五輪代表セッターで、埼玉上尾のチームメートでもある籾井あき(SAGA久光)が24ー25年シーズンにプレーしたことがあるギリシャ国内の強豪チーム。契約期間は27年5月末まで。

 黒後が、海外に初挑戦する大きな理由の1つが28年ロサンゼルス五輪への代表入りだ。黒後は「オリンピックへの気持ちが強くなった。同級生の宮部愛梨だったり、石川真佑だったり、代表で頑張っているメンバーの存在も大きい。自分自身の気持ちが世界と戦う場にもう一度立ちたいと、年々自然と高くなった」と説明。年明けに行動に移り、移籍が確定したのは「7月中旬」だったという。

 現在、開催中のロス五輪予選、アジア選手権で戦う代表選手たちを「応援しています」といい、「あの場でともに戦いたい。追いつきたい」と闘志を燃やした。

 東京五輪の代表チームでは主力の得点源として活躍。当時の中田久美代表監督から「エース」に指名され初の五輪に挑んだ。自国開催の重圧やコロナ禍の環境もあり、チームは96年アトランタ大会以来、25年ぶりに予選で敗退。

黒後は五輪後、心身の不調や体調不良で、約1年間の長期休養を経験した。1季の休養を経て復帰した23年5月に6季所属した東レを退団し、埼玉上尾に移籍。主力のアウトサイドヒッターとして活躍しチームでは副将を務めてきた。

 長身180センチから繰り出す強打の最高到達点306センチは、日本代表でも歴代トップクラス。相手守備を惑わす軽打など繊細な技術も備え、埼玉上尾の2023―24シーズンV1リーグ3位などに貢献した。

 24年5月に中田久美氏の後任、パリ五輪代表の眞鍋政義監督に指名されて3年ぶりに代表復帰したが、パリは選外となった。

 コロナ禍で全世界のアスリートが苦しんだ東京五輪から5年。月日を重ね、埼玉上尾でプレーをする中、「 シーズンを重ねるごとに(調子が)全体的に上がっているというか、良くなっている感覚がすごくあったので、それに伴って挑戦してみたいという気持ちが出てきました」。

 来季からのアテネでのプレーを経て、野心が芽生えたらイタリアなど欧州に移籍し、さらなるレベルアップも思い描く。「もし海外で良い話があれば、もう1年行きたいと思っています。(埼玉上尾のチームメート、セッターの)岩崎こよみ(旧姓・冨永)さんが『海外に来て1シーズンで終わってしまうのはもったいない』と話していたことがありました。帰る頃にやっとなじみ出して来たタイミングで終わってしまうので、もっと行ったらいいのではないかと。

もし海外で良い話があれば、もう1年行きたいと思っています」と語った。

 9月上旬に日本を出発する予定で、10月開幕のアテネ国内リーグに向けて、到着後はすぐにチームに単身合流する。

 「海外ということで、生活の面は本当に準備の段階で、何を持って行って、何を用意したらいいのかなという部分は、すごい不安な部分もある。自分の周りに海外挑戦をしている選手がたくさんいるので、食べ物だったり、自分のコンディションに関わるもの、細かい話だと、トレーニング用品、シューズとか、そういった最低限持っていける自分で用意できるものは用意している段階です」。埼玉上尾に感謝を伝える場面では涙で頬を濡らしたが、新天地に向けて思いを熱く語り始めると、トレードマークの笑顔はキラキラと輝いていた。

 ◆黒後 愛(くろご あい) 1998年6月14日、宇都宮市生まれ。28歳。姉の影響で9歳からバレーを始める。東京・下北沢成徳高で2016、17年と全日本高校選手権(春高バレー)を連覇し、MVP受賞。17年に東レに加入。力強いスパイクで「木村沙織2世」と呼ばれた。日本代表は18年初選出、21年東京五輪初出場(日本は12チーム中10位、予選敗退)。

東京五輪後、心身の不調で約1季の休養を経て復帰。23―24年シーズンに、6季所属した東レを退団し埼玉上尾に移籍し3季プレー。24年3月に3年ぶり代表復帰したが同年パリ五輪は選外。身長180センチのアウトサイドヒッター。

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