バレーボール男子日本代表のエース・高橋藍(24)=ルブリン=の連載コラム第15回は、2028年ロサンゼルス五輪の出場権を懸けた9月4日開幕のアジア選手権(北九州市立総合体育館)を前に「個の力」の重要性を説いた。海外サッカー好きな藍は、6~7月に行われた北中米W杯をチェック。

勝負の場面で、決定的な仕事をする世界トップの選手たちの姿から学びを得て、個のレベルアップを誓った。

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 ネーションズリーグ(VNL)は4位と非常に悔しい結果となりました。(8月1日の)準決勝、米国戦の敗戦が全てでした。最終セットの12―12で、チャンプリン選手にサービスエースを取られた、あの1点。相手が取れて、自分たちが取れなかった1点。(逆転負けした、24年)パリ五輪のイタリア戦も思い出しました。この2年、日本代表は間違いなく成長していますが、勝敗を分ける1点を取ることができないと、重要な試合では勝てないと強く感じました。

 取り切ることを意識させられたのが、サッカーW杯です。海外サッカーが好きなので、注目していました。決勝トーナメント1回戦の日本―ブラジル戦の行われていた時間は移動の機内にいたので、スコアだけ追っていました。日本は(1―2で)逆転負けして、宮浦(健人)さんと頭を抱えました。スペインがアルゼンチンを破って優勝した決勝戦は、実家で見ていました。

 W杯を見て思ったのが、やはり世界の強豪はチームスポーツとはいえ「個」が強い。最後に得点を決めるエゴというか、個の力。ノルウェー代表のハーランド選手なんて、一人で局面を打開する力がある。バレーボールでもVNL決勝のポーランド―米国で、ポーランドは米国にリードを許すのではという場面で、フォルナル選手やレオン選手がサービスエースを取るなど、個の力で相手をねじ伏せていました。

 日本のスポーツは世界的にチーム力が強みだと思っています。それに加えて、やはり個の力、最後にエゴを出すことが必要で、「俺がやる」と言える人がいないといけない。サッカーも、バレーボールももう一段階、上に行くには共通している部分かもしれません。

 W杯の決勝戦は、あれだけトップ選手がそろい、それぞれ個の力もあるスペインが、組織力も武器に強さを見せつけました。アルゼンチン代表メッシ選手を封じて、最後に回ってきたチャンスを取り切った。個と組織のバランスが取れていたことが優勝につながっていて、バレーボールにも通じる点です。日本の良さである組織力を生かしつつ、自分が最後のチャンスに、大事な1点を決め切れたらと改めて感じました。

 自分はディフェンスの安定感では、世界ナンバーワンを狙っていきたい。

その中で、攻撃力もトップレベルを目指しています。サッカーで言えば、僕が大好きなイングランド代表ベリンガム選手【注】が理想。攻撃も、守備も高いレベルでプレーするすごい選手で、彼のようにチームの軸になりたい。ちなみに、サッカーゲームでも、いつも使うほど大好きな選手なんです(笑)。

 バレーボール日本代表は、9月4日からロサンゼルス五輪の切符を懸けてアジア選手権に臨みます。サッカーW杯での気づき、VNLでの悔しさを糧に、勝負の終盤に1点を取り切れる力を意識してやっていきます。

【注】ジュード・ベリンガムは2003年6月29日生まれの23歳。スペイン1部Rマドリード所属。北中米W杯では8試合出場でランク3位の7得点。トップ下だけではなく、ボランチなど中盤のあらゆるポジションをこなし、豊富な運動量と技術を併せ持つ。

 ◆VNL準決勝・米国戦 日本は、1次リーグ12試合と準々決勝(中国戦)を勝ち、開幕13連勝で米国戦を迎えた。第1セット(S)を19―25で失ったが、第2、第3Sを連取して挽回。

2―2で迎えた最終Sは4―7の劣勢で藍がスパイクを決めるなど粘り、11―11から宮浦のスパイクで一時逆転。しかし、12―12の場面で相手のリリーフサーバー・チャンプリンに強烈なサービスエースを決められると、13―15で競り負けた。2大会ぶりの決勝進出を逃すと、3位決定戦でもスロベニアに1―3で敗れた。

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