「何回ミスしてもいい。その代わりに挑戦し続けてくれ」東京V林...の画像はこちら >>

川崎戦で先発した林 photo/Getty Images

「今後の自分たちの立ち位置を変える出来事」

ラスト数十秒、ここさえ守り切ればという場面で手の平から白星がこぼれ落ちた。

明治安田生命J1リーグの開幕節で、東京ヴェルディ川崎フロンターレと1-1のドロー。46分に溝口修平が移籍後初得点を決めるも、後半アディショナルタイムにラザル・ロマニッチに同点弾を決められてしまった。

Jリーグ開幕イベントで森田晃樹が口にした目標は「J1優勝」。昇格から3年が経ち、毎年残留を目標に掲げていたクラブにおいて、それを支え続けたキャプテンは公の場で自ら視座を高めて目標を設定した。

しかし、頂点に立つための戦いに臨む緑の戦士たちに、開幕前から苦難が押し寄せる。川崎戦後に城福浩監督が「最後の練習試合でボランチの選手が2人ケガをして、元々キャプテンがケガをしているので非常に苦しみました」と振り返ったように、すでに森田が離脱していた中盤のポジションで新たに2選手が負傷。キックオフ2時間前に発表されたスカッドに名を連ねたのは、平川怜と栃木SCへの期限付き移籍から復帰した食野壮磨だった。

実際に試合が始まれば、リーグ屈指の技術力を誇る川崎のMF陣が巧みに立ち位置を入れ替えて前進を許す。それでも、守護神マテウスの好セーブやピンチの場面で懸命に足を延ばしてシュートをブロックした林尚輝らが得点を許さず。無失点で45分間をしのぎ切った。

ただ、前半は相手にボールを支配される時間帯も長く、保持時には前線へ放り込む形を多用するも簡単にボールを手放してしまう場面も目立った。指揮官も「(前半は)マイボールになってからのサポートが遅く、そこをハーフタイムにはかなり強く言いました」と強調。林尚輝も「前半は要所でチャンスになるシーンもあって、そこを徹底していくことで相手も嫌がるかなという感覚がありました」と話し、「これを強調したゲームの入りにしよう」と後半へ入ったという。

実際に修正を施した後半、最初のチャンスで先制に成功して追加点を奪える決定機も作った。しかし、スコアを動かせぬまま、1点リードで迎えた最終盤に失点。守備陣は天を仰ぎ、林は地面を何度も叩いて悔しさを露わにした。

「イレギュラーがある中でのメンバーでしたし、このメンバーで勝点3を取れるのがどれだけ今後にとって大切かというのも個人的にすごく感じていました。あともう少しでそれが叶ったのを自分たちの手で失ってしまったっていうのは本当に悔しいです」

森田に代わってキャプテンマークを巻いた副将は、チームの窮地にもそれを感じさせない雰囲気作りにも勤しんだ。特に先発した食野に対しては、チャレンジする意識を求めたという。

「ここで勝てれば、チームとしていい勢いに乗れるという感覚がありました。途中から出る選手もそうですし、(先発した)壮磨には彼の長所があるので『何回ミスしてもいい。その代わりに挑戦し続けてくれ』と試合中から何度も言っていました。ミスをしたらディフェンスラインがしっかりとカバーするし、全員で戻ろうと話しました」

“このメンバーで勝点3を取る意味”を十分に理解し、目前まで迫っていた。だからこそ落胆の気持ちは大きい。

一方で前半に猛攻を耐え抜き、後半開始早々に先制点を奪うなど修正点を生かしながら最終盤までいい内容で戦えた点はポジティブにも捉えられる。それでも林は「勝ち点2を失った状況をいかに重く受け止められるかどうかで、今後の自分たちの立ち位置を変える出来事になります」と語気を強めた。

東京Vが優勝を争う位置に立つためには、絶対に繰り返してならない事象だ。これを開幕戦で経験したことは不幸中の幸いかもしれない。足りなかった数十秒間を今季の教訓とする。

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