ハムスターといえば、「小さい」「可愛い」。ついでに、漫画などの影響などで「忘れっぽい」なんて印象も持たれている。
でも、実は意外と知らない小さな悲しみがあるということを、約30年ぶりに飼ったハムスターに教えられる日々だ。
人に慣れる個体もいれば、いつまでたっても噛みつく個体もいる。放任でも丈夫な個体もいれば、生まれながらにして病弱な個体もいることなど、個体差は予想外に大きいが、一様に悲しいのは、ケージを掃除された後に見せる絶望感だ。
ハムスターは本来、土にもぐって巣穴をつくって生活する生き物で、地中のトンネルに「食糧貯蔵庫」「トイレ」「寝室」などいろいろ分けて設けている(コネタ既出)。
そのケージの中やチューブを掃除された後には必ず、種などを貯めておいた場所の確認をしたり、所持品や環境のチェックを必死でしまくる。悲しい姿だ。
我が家のハムスターの場合、どういうわけか種の皮をご丁寧に剥いて巣の床にしまうことも多い。皮を剥いてしまったら、劣化してしまうだろうに、「甘栗むいちゃいました」「枝豆むいちゃいました」状態で保存している。
おまけに、掃除中にはケージのそばを離れず、「ちょっと待って!」と言うように、急に忙しそうに貯めておいた種などを片っ端から頬袋に詰め込んでいく。
しかも、かなりきれい好き&几帳面で、外に出たときも、トイレに行きたくなると、ダッシュでケージに戻ったりする(※ハムスターの事故は意外と多いので、外に出すときは十分注意が必要です)。
部屋の模様替えも好きらしく、貯蔵庫や寝室、トイレの場所などを頻繁にかえたりもする。
本来、夜行性の動物だが、人間の生活リズムに合ってくる個体もいるらしい。
ところで、エサを貯め込む習性も、夜行性の生活パターンも、「疑似冬眠」してしまうことがあることも、もともと野生生活をしていた時代の名残と言われているが、不要になった今も律義に続けているところは、どこか悲しみを誘う。
また、よく知られている「輪回し」も、人間がいないときや、消灯を待って始めることが多く、人気のないときに活動するのは、昔飼っていた鈴虫にもよく似ている。
輪回しも、ただただ空っぽの心でやっていそうに見えるが、実は切迫した様子で必死に回すときもあれば、軽やかに「流す」程度に回すときもあるなど、そのときどきで変化する。
ちなみに、本来は水をあまり飲まない生きものと言われているのに、長く回した後には美味しそうに水をゴクゴク飲む様子も見られて、またあわれである。
犬や猫のように声色を変えて訴えることもなく、基本的に無表情で何も考えていないように見えつつも、実はその日の気分やコンディション、自分の中の決め事などもけっこうありそうなハムスター。
小さく可愛く、やっぱり切ない生き物です。
(田幸和歌子)
でも、実は意外と知らない小さな悲しみがあるということを、約30年ぶりに飼ったハムスターに教えられる日々だ。
人に慣れる個体もいれば、いつまでたっても噛みつく個体もいる。放任でも丈夫な個体もいれば、生まれながらにして病弱な個体もいることなど、個体差は予想外に大きいが、一様に悲しいのは、ケージを掃除された後に見せる絶望感だ。
ハムスターは本来、土にもぐって巣穴をつくって生活する生き物で、地中のトンネルに「食糧貯蔵庫」「トイレ」「寝室」などいろいろ分けて設けている(コネタ既出)。
そのケージの中やチューブを掃除された後には必ず、種などを貯めておいた場所の確認をしたり、所持品や環境のチェックを必死でしまくる。悲しい姿だ。
我が家のハムスターの場合、どういうわけか種の皮をご丁寧に剥いて巣の床にしまうことも多い。皮を剥いてしまったら、劣化してしまうだろうに、「甘栗むいちゃいました」「枝豆むいちゃいました」状態で保存している。
おまけに、掃除中にはケージのそばを離れず、「ちょっと待って!」と言うように、急に忙しそうに貯めておいた種などを片っ端から頬袋に詰め込んでいく。
しかも、かなりきれい好き&几帳面で、外に出たときも、トイレに行きたくなると、ダッシュでケージに戻ったりする(※ハムスターの事故は意外と多いので、外に出すときは十分注意が必要です)。
部屋の模様替えも好きらしく、貯蔵庫や寝室、トイレの場所などを頻繁にかえたりもする。
本来、夜行性の動物だが、人間の生活リズムに合ってくる個体もいるらしい。
だが、意外と「体内時計」がきっちりあるようで、我が家のハムスターの場合はなぜか毎日午後2時頃にケージを噛み、「外に出せ」と催促をする。
ところで、エサを貯め込む習性も、夜行性の生活パターンも、「疑似冬眠」してしまうことがあることも、もともと野生生活をしていた時代の名残と言われているが、不要になった今も律義に続けているところは、どこか悲しみを誘う。
また、よく知られている「輪回し」も、人間がいないときや、消灯を待って始めることが多く、人気のないときに活動するのは、昔飼っていた鈴虫にもよく似ている。
輪回しも、ただただ空っぽの心でやっていそうに見えるが、実は切迫した様子で必死に回すときもあれば、軽やかに「流す」程度に回すときもあるなど、そのときどきで変化する。
ちなみに、本来は水をあまり飲まない生きものと言われているのに、長く回した後には美味しそうに水をゴクゴク飲む様子も見られて、またあわれである。
犬や猫のように声色を変えて訴えることもなく、基本的に無表情で何も考えていないように見えつつも、実はその日の気分やコンディション、自分の中の決め事などもけっこうありそうなハムスター。
小さく可愛く、やっぱり切ない生き物です。
(田幸和歌子)
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