ペットを飼いたくても飼えない人は多いのではないか。皆、色々な事情があると思う。
賃貸マンションに住んでいるから。同居人が嫌がるから。仕事が不規則なため、ちゃんと餌を与えられないから。
そんな場合、たとえば猫好きな方は猫カフェに行けばいいと思う。猫と共にまったりと過ごす至福のひととき。

そして、爬虫類好きな方はここだ。
7月4日、横浜にオープンした「横浜亜熱帯茶館」は、エキゾチックな爬虫類とまったりできる“爬虫類カフェ”。店内には11種、約30匹の爬虫類が、“爬虫類愛好家”の来店を待ちわびている。

これは、インパクトがありそうだ。早速、お店に遊びに行ってきました! すると、店内の四方八方にはカメ、トカゲ、イモリ、ヤモリ等が所狭しと生活している。これは、爬虫類好きにはタマらないだろうな……。

ところで、このようなカフェを開店した理由は? 店長の長野さんに話を伺った。

「昔から動物が好きだったんですが、5年前にギリシャリクガメを飼ったのをきっかけに爬虫類に惹かれていったんです」
長野さん曰く、爬虫類の魅力は「見た目の綺麗さ、面白さ」。ヘビの模様は千差万別で綺麗なものが多いそう。また、カメの甲羅は同じように見えて色もそれぞれ微妙に違っており、知れば知るほど面白いという。

そこで、私も店内の爬虫類たちを観察させていただきました。
まず、パッと目に入ったのはヘビみたいに首の長いカメ。これは「ギザミネヘビクビガメ」というカメで、甲羅に入らないほどの長さの首を伸ばしたり折り畳んだりしながら、水槽の中をスイス~イと泳いでいる。
こんなカメは、初めて見た……。

その隣の水槽にいるのは、たくさんのイモリ。これは「シリケンイモリ」というそうで、水槽の中をユーモラスに動き回っている。時には息継ぎのように水上に頭をポッと出したり、バランスをとるように体を斜めにしながら海底に潜っていく様子とか、ずっと見ていても飽きないのだ。

ただ、一番のウリは店内の奥に展開されている“放し飼いエリア”。なかなかの広さの敷地内には、5頭のリクガメが放し飼いにされている。
サイズは特大サイズが1頭、中サイズが2頭、小サイズが1頭というところ。
このエリアには入ることも許可されており、リクガメに触ったり一緒に戯れてもいい(出入りの前後には、手の消毒が必須)。
「この子達は、性格的に自分のしたいことをするだけで、他のことには我関せずなんです。ですので抱えて持ち上げたりさえしなければ、触ってもほとんどストレスを感じることはありません」(長野さん)

性格は穏やかなようだが、パワーはある。餌の野菜を食べる姿などから、その迫力を窺い知ることができるのだ。
またその性格ゆえか、行きたい方向に進むリクガメ同士が交通事故を起こしてゴッツンコ! なんて光景も頻繁に見られる。
これが、何とも微笑ましい。人に対する警戒心も薄く、気が付いたら私の靴の上に乗りかけているなんて場面も。これは、好きな人にはタマらないだろう。

ところで、そんな“爬虫類好き”ってどんな人が多いのか?
「私も驚いたんですが、意外にも女性が多いです。それこそ10代から30、40代の方まで幅広く来店されます」
女性が多い理由にはいくつかあるが、その中に“餌やり”の問題があるという。爬虫類の餌としてあるのが、虫やネズミなど。
これらを食べている爬虫類の様子が、女性からするとグロテスクに映ってしまうのかもしれない。
そんな理由で飼うに飼えない人達が、このカフェで爬虫類と憩いの時を過ごしているのだ。

興味のある方は、一度試しに行ってみてほしい。自身の五感で体験してほしいのだ。
何しろ、お店に入ると「ノッシ、ノッシ」「ガサガサッ、ガサガサッ」という音がするから。これはリクガメが歩いたり、はたまた餌を食べたりしている音で、その生々しさは同店ならでは。普段の生活では味わえない、最高のBGMになっていると思う。
(寺西ジャジューカ)