篠原涼子主演の月9ドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』。あおば市市議会を舞台にした政治ドラマだ。
先週放送の第4話の視聴率は0.1%アップの7.6%。相変わらず苦戦中だが、なんとか持ちこたえている気もする。高橋一生が脱がなくても大丈夫だ
「民衆の敵」篠原涼子イズム通用せず、もう千葉雄大が主役でいいんじゃない?4話
「民衆の敵 プリントクッキー 肖像ポストカード入り」
amazonより

千葉雄大フィーチャーのエピソード


第4話は主人公・智子(篠原)と同じ新人議員・岡本(千葉雄大)をフィーチャーしたエピソード。朝ドラ『わろてんか』では好演していたのにあっさり死んでしまい、『民衆の敵』でもここまでまったく活躍していなかった千葉だが、この第4話がなかなか良かった。

地元の商店街で生まれ育った岡本は、シャッター商店街の復活を公約に掲げていたが、現実は厳しい。なじみの洋食屋のおばちゃん(鷲尾真知子)たちは元気なのだが、開店するほど赤字になるという状態なのだ。


一方、新人議員の部屋では、園田(斎藤司)が母親たちから託児の要望を受けて困り果てていた。智子も女児誘拐事件の疑いをかけられた一馬(渋谷謙人)の社会復帰に頭を悩ませている最中。それなら全部一緒にしちゃえばいい。智子は商店街を使った「子ども食堂」のプランを思いつく。

ドラマでは新人議員たちがまとめて一つの部屋にいるが、実際の市議会では会派ごとに控室が割り当てられるのでこのようなことはない。最大会派の犬崎(古田新太)派を牽制する河原田市長(余貴美子)の一策である。


現実の前に篠原涼子イズム、撃沈!


智子発案の子ども食堂だが、託児所代わりに使う母親たちが殺到してすぐにパンクしてしまう。

ドラマでは子ども食堂をとりまく諸問題が象徴的に描かれている。運営はボランティア頼り、費用も寄付によって賄われているため、持続が困難なのが現状だ。そもそも子ども食堂が担っている貧困による孤食、欠食の問題の解決は行政の役割だという指摘もある。2016年、安倍晋三首相が子どもの貧困対策に寄付を募る政府の「子供未来応援基金」の一周年の集いで子ども食堂についてのメッセージを出したが「まるで他人事」と猛批判を浴びた。NPO「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」理事長の栗林知絵子氏は「市民と行政が協働という形で取り組まなければいけない問題だ」と指摘している(ハフィントンポスト 2016年11月21日)。

思い立ったらすぐ行動! 本音もズケズケ言っちゃうわよ~、という篠原涼子イズムがまったく通用しないところが良かった。
素人目線が売りの智子だが、いつまでも素人のままでは困る。子ども食堂には人手も予算も必要だ。それらを行政として解決するための「決議案」を出そうとしていた岡本は、拙速な智子の行動に激怒する。

「あなたのやってることは、子どもの文化祭と一緒なんですよ。祭りで終わらせちゃ意味ないだろ!」

「祭り」と「政(まつりごと)」は似ているようで大きく違う。政治は統治であり、持続しなければ意味がない。
先日放映された『シン・ゴジラ』でも官僚や政治家たちは常に立法に追われていた。ゴジラをやっつけて終わり! ではなく、持続的な法整備をするのが政治家たちの仕事なのだ。

それにしても千葉雄大が良い。理想に燃える青臭い新人議員のようでいて、現実もよく知っている感じ(岡本の一家は商店街から夜逃げした過去を持つ)を上手く出している。前田敦子との掛け合いもナチュラルで良かった。新人市議の千葉雄大が主人公のドラマでも良かったのでは……と一瞬思ってしまった。


政治家の“必殺技”とは……?


落ち込む智子に声をかける新人議員の藤堂(高橋一生)と市長秘書の望月(細田善彦)。藤堂は智子に“必殺技”を使うようアドバイスをする。千葉も含めて、このスマートなイケメン3人が手を組めば市政もうまく回りそう。

市長派の岡本が市議会で「決議案」を提出するが、対立する最大会派のドン、犬崎も拍手して岡本を支持する。すべては智子による“必殺技”「根回し」のおかげだった。その結果、行政の支援を受けて、子ども食堂は無事に再開する。


既存の政治の仕組みを嫌っていた智子だが、今回は政治の仕組みに乗っかって政治を動かしてみせた。ならば、問題はこれからだ。政治の仕組みを嫌いつつ、政治を動かした智子が、政治の仕組みそのものを変えることができるのか? 

今日放送の第5話から物語が大きく動き出す。なんと、智子が市長選に担ぎ出されそうな気配。そろそろ石田ゆり子も活躍してほしい。今夜9時から。

(大山くまお)