坂口健太郎が初主演を務めるドラマ、フジテレビ系「シグナル 長期未解決事件捜査班」(関西テレビ制作、毎週火曜21時〜)の第5話。

ずっと思ってたけど、大山(北村一輝)は不幸過ぎないだろうか。


あらすじ


過去に繋がる無線機の交信相手、大山の素性を調べていた三枝(坂口健太郎)。かつて大山と同僚だった岩田(甲本雅裕)に話を聞くと、2000年に収賄懲戒免職になり、失踪していたことを知らされる。簡単には事実を飲み込めない三枝だったが、調べれば調べるほど、大山がワイロを受けとっていた証拠が出てきてしまう。

1週間振りに繋がった無線の先の大山は、連続窃盗事件を追っていた。大山は過去に逮捕して更正した元窃盗犯の工藤(平田満)の疑いを晴らすためにも、三枝に事件の詳細を聞くが、三枝は「過去を変えるのは危険だ」と気が進まない。それでも食い下がる大山に、三枝が仕方なくヒントを与えると、それがきっかけで過去が悪変してしまう。
「シグナル」まだ5話なのに北村一輝の不幸の連鎖が凄い、あまりに可哀想なので総括してしまった
イラスト/Morimori no moRi

大山の不幸まとめ


それにしても大山はかわいそうだ。まだ第5話なのに、とんでもない数の不幸に巻き込まれている。
それをまとめてみた。

1話(2000年)
・遺体を発見し、三枝に無線で報告に、後ろから何者かに鈍器のようなもので殴られる。
2話(2000年)
・三枝と無線で交信、「これが最後の通信になるかもしれません」と死を覚悟したような口ぶりの大山。その直後、銃声のような音がして無線が途絶える。

3話(1997年)
・連続女性殺害事件捜査中に、女性が拘束されているのを発見。後ろから犯人に殴られる。


・親しい関係の北野みどり(佐久間由衣)が犯人に襲われる未来を無線で聞かされるも、刑事仲間に手錠でロッカーに括られていて動けない。

4話(1997年)
・ロッカーごとぶち壊して現場に向かうが間に合わず、北野みどりの遺体の第一発見者になってしまう。

・北野みどり殺しの犯人を見つけるも、証拠が無いために逮捕することが出来ない。

たったの4話で、2度も背後から殴られ銃で撃たれている。そして大事にしていた女性の遺体を目撃。三枝からの情報を得てその犯人を確信するも、当時は証拠がないため取り逃がし、自分の無力さを痛感する。


そして5話では、良かれと思って過去を変えたために、またしても親しい関係だった女性が焼死。信頼していたその父親に罵倒されてしまう。

このドラマの全ての悲しみを背負うかのような不幸展開の連続。今話で収賄の過去が明らかになったが、それも恐らくは濡れ衣だろう。ストーリーの構成上、今後も大山の不幸は続きそうでかわいそう。

だからこそ坂口健太郎の負担がデカイ気がする


上記の様に身を持って事件を経験する大山は、当然感情の振れ幅が大きい。
それをあれだけ濃い北村一輝が演じるのだから、インパクトも熱量もすごい。このドラマの見所の1つになっている。対する時空を越えてバディを組む三枝にとっては、事件はあくまで過去に起きた出来事だ。いくら事件が現代にリンクしているとはいえ、大山と同じ熱量で事件に挑むのは難しい。

そこで重要になってくるのが三枝のキャラ設定だ。アメリカでプロファイリングを学ぶほど頭脳明晰な三枝だが、記者会見に乱入したり、上司にバチバチに噛み付くなど、衝動的な一面も持っている。
クールで現代っ子っぽいイメージのある坂口健太郎が演じるだけに、このヒステリックなキャラ設定は少し違和感があった。

だが、1話からこの情緒不安定で感受性が豊かすぎるキャラクター性を見せていたからこそ、無線機の先の大山の心情を慮り、さらには同じ熱量で悔しがり、捜査に没頭する三枝を自然に見ることが出来る。

さらに坂口健太郎は、謎の無線機を不思議がりながらも受け入れ、また、無線機で得た情報を利用しつつ、あたかも自分で調べた結果のように上司や同僚に伝えなければいけないという複雑な演技も行っている。

北村一輝の感情爆発演技は超面白いけど、坂口健太郎がせっかくの主演なのに縁の下の力持ち的な役割をやっている図式も面白い。

(沢野奈津夫)

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