若返るわけではないワカガエルステーション
さて、何の建物でしょう?
小津安二郎の『東京物語』で、老夫婦が寂しく並んで座っていたあの熱海の防波堤のあたりは今、ムーンテラスという親水公園になっている。

このムーンテラス近くにある謎の建物が「ワカガエル・ステーション」である。

肌の衰えが気になりはじめた私は一瞬「ハッ」とし、吸い込まれるように中に入ってみたが、何のことはない、観光案内所であった。

なぜまたこんなまぎらわしい名前を?と係りの人に尋ねてみると、
「2000年に実施された伊豆新世紀創造祭という観光キャンペーンのスローガンは”伊豆ワカガエル”。そこでイズノスケというカエルのキャラクターも作られ、カエルにちなんだ施設がいくつか作られました。この観光案内所もそのときに生まれたので、こういう名前になったんですよ」とのこと。
 が、このイズノスケ、キャラクター使用期間が一年という制限のために、今はもう使えないらしい。キャンペーンが終わってしまった今、「カエルにちなんで」とやぶから棒にいわれても何のこっちゃ?というかんじである。

 たった1年で終わるキャンペーンのスローガンを、長く使う観光案内所の名称に採用してしまった熱海の思い切りには脱帽。(みと)
編集部おすすめ