旅先の思い出が甦る?「ご当地フレグランス」
向かって左が「長野オードパルファム〜NYOZE」、右が「遠野オードパルファム〜遠野物語」。
旅先で見つけた「ご当地モノ」が大好きで、つい手にとってしまうのだが、最近は「ご当地の香水」も出ていることをご存知だろうか。

「ご当地モノ」というと、ムリムリに特産品を使ったアイスとか、ユニークな食品類が多いが、これは、まったく別路線だ。

株式会社資生堂が「ご当地フレグランス」を始めたのは、2004年3月発売の「広島県尾道市のさくらの香り」から。
「個々のまちの花や、歴史、文化を取り上げ、地域のイメージアップとファンづくりを目指して始めた」というが、なぜ「香り」でご当地を? 

商品開発担当者は言う。
「香りというものは見ること、触れることはできませんが、記憶に深く働き、人、もの、風景などを強く印象づけることができます。そこで、各地を訪れる観光客の皆様に、思い出とともに香りをお持ち帰りいただき、香りによってそのまちを思い起こしてもらえたらと。そして、一人でも多くのお客さまがもう一度そのまちにお越しいただくきっかけになればと考えたのです」
確かに、「嗅覚」は視覚、聴覚に比べ、より曖昧なだけに、記憶に結びつきやすい。
旅先で見た風景の記憶は、日々、薄まっていっても、緑や土、風など、そのまちのニオイ、漂ってきた美味しそうな香りなどは、ずっと記憶の深い部分に残る気がするのだ。

ところで、このご当地フレグランスは、現在、9種類。
前述の広島県尾道市のさくらの香りのほか、広島県竹原市の竹の香り、秋田県角館町のしだれざくらの香り、岐阜県飛騨高山のコバノミツバツツジの香り、福島県会津若松市のタチアオイの香り、高知市のよさこいの香り、岩手県遠野市のホップの香り、石川県金沢市の梅の香り、長野市の如是姫をイメージした香りがあるそうだ。

この9つのまちが選ばれた理由を聞いてみると……
「フレグランスにふさわしい花があり、歴史、文化、物語または国宝級の景観のあるまちを基準に、まちおこしのお手伝いができたらと考え、開発させていただきました」とのこと。
当然、香りのコンセプトも、そのまちの歴史や文化に沿うものになっている。たとえば、「長野オードパルファム〜NYOZE」の場合、善光寺の「如是姫」のイメージと、長野の爽やかな風をイメージしたそうで、可憐な清清しいしい香りである。淡いピンク色の華奢なボトルは、如是姫のエレガンスさをイメージしたかのよう。

また、「遠野オードパルファム〜遠野物語」では、生産量日本一の遠野産ホップの香りを配合。柳田国男『遠野物語』でおなじみの民話・伝説のふるさとらしく、神秘的な落ち着いた香りを漂わせている。

なお、これらの発売元は各観光協会で、各地域のお土産店、ホテル、旅館、デパート、美術館、物産館、一部の資生堂チェインストアなどの地域限定販売のほか、観光協会のウェブサイトからも購入できるとか(竹原市を除く)。
旅の思い出として、あるいは憧れの町の香りとして、「ご当地の香り」に包まれてみては?
(田幸和歌子)

社団法人尾道観光協会(0848-37-9736)
社団法人竹原市観光協会(0846-22-4331) ※ネット販売無し
角館町観光協会(0187-54-2700)
社団法人飛騨高山観光協会(0577-36-1011) ※紹介ページ
会津若松観光物産協会(0242-24-3000)
社団法人高知市観光協会(088-823-4016)
遠野市観光協会 ※販売元:株式会社遠野(0198-60-1700)。あえりあ遠野HPにてネット販売有(紹介ページ
金沢市観光協会(076-232-5555)
株式会社まちづくり長野(026-224-2226)
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