そもそも2月だけがなんで短いの?
遠い昔からいつも、みんなのしりぬぐいをするのは、この2月です。
「うちの母親は、2月が好きなんだって。配達の仕事してて、1カ月で靴を1足履きつぶしちゃうんだけど、2月は短いから、靴の傷みが少なくて得した気分になるからって」
以前、友人からそんな話を聞いた。


自分も子どもの頃は、「2月は学校行く日が少ないから楽チン!」なんて思っていたけど、そもそも1月や3月は31日まであるのに、なぜ2月だけが基本28日なんでしょう?
今年は、うるう年といっても、増えて29日! この差はいったい……?

調べてみると、国立天文台HPに、もともと古代ローマ時代には、3月が1年の始めとされ、その後、年の始めが1月に変わったものの、習慣が一部だけ残ったという説明があった。
さらに、1年の長さは365日でも366日でもない、その間の小数点を調整しなければいけないため、「うるう年」をつくったわけだが、ここで影響を受けたのが、2月だったらしい。
「2月は、かつては1年の終わりの月だったため、皇帝シーザーが新しい暦を制定したときに、平年とうるう年の日数の調整に使われることになりました」
さらに、こんな驚きの説明が続く。
「当時平年の2月は29日でしたが、閏年のための1日は、29日のあとに30日として加えられたのです。また、その後、皇帝アウグストゥスは自分の名前をつけた8月(August)を1日増やすために、2月の日数を1日削ってしまいました」
つまり、アウグストゥスが自分の名前にちなんで8月を増やそうと、2月から1日もってきてしまったということらしい。

でも、ちょっと待って。
本来は、平均的にならすほうが自然な気がするのに、なぜうるう年を考える以前の2月が、そもそも他より短い29日だったの? 暦に詳しい研究者に聞くと……。
「はっきりとはわかりませんが、大昔は、奇数の月を31日、偶数月を30日と交互にしていたこともあったようです。つまり、2月も30日ですね。でも、アウグストゥスが8月を自分の月にして31日にしちゃったことで、7、8、9と3カ月、31日が続くことになったんですよね。『それは良くない』ということで、9月を30日にしたとかいいますが、その理由はよくわかりません」
え!? じゃあ、8月は9月から1日もらってきたということ? じゃあ、なぜ2月が平年28日という短さに……?
「30日の月と31日の月を交互にしていったらおかしくなり、季節の循環が合わなくなったので、ハンパなのを補正するために、2月が最後の月だから、そこで一気に調整しようということになったんだと思いますよ」

アウグストゥスの都合と、「日数の年末調整役」としての都合で、極端に短くされちゃったらしい2月。
「2月は短いから得だ!」と思ってたけど、最後を締めくくるために、なんとなく尻拭いしてる感じです。

(田幸和歌子)