受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。
受験生を応援するため全国各地を飛び回る『おうえんしナイト』。
今回、お伺いする大学は石川県金沢市の金沢大学です。金沢大学の創立の歴史から入試情報、学域・学類、教育方針などをランパンプスが取材してまいります!

――それでは副学長の尾島恭子さんと、学長補佐の谷内通さんにお話しを聞きに行きましょう。

※左から尾島さん、谷内さん。
小林:ランパンプスと申します。よろしくお願いします。
尾島・谷内:本日はよろしくお願いします。
小林:尾島さんが副学長さんで、谷内さんが学長補佐……学長補佐というのは学長の補佐ですよね?
寺内:つまり、二人はライバル関係!?

尾島:いえいえ、仲間です(笑)。
谷内:仲良くやっています(笑)。尾島先生も、もともと学長補佐をやっていたんですよ。

小林:さっそくですけども、金沢大学の創立の歴史を教えていただけますか?
尾島:金沢大学には160年を超える歴史があります。
寺内:160年!
尾島:江戸時代ですね。
小林:江戸時代!?
尾島:1862年に彦三種痘所という天然痘を予防・治療する医療機関を源流として始まっています。

寺内:ナンバースクールってなんですか?
尾島:明治期に創設された旧制高等学校の中で、数字を冠した学校群のことで、一高が東京大学、二高が東北大学、三高が京都大学で、四高が金沢大学の前身なんです。
小林:その四番目ってことですか?
寺内:すげー!
尾島:四高の伝統と歴史を汲み、その後、石川師範学校などと統合し、総合大学として金沢大学が生まれました。
寺内:まさに北陸の教育の要ですね!
小林:当時から石川県にあったんですか?
尾島:以前は街の一等地、金沢城の中にあったんですよ。
寺内:城の中にあったんですか!?
小林:今はスーパー山の中だから、不便になりましたね(笑)。

寺内:やめろ!
谷内:私は金沢大学出身なのですが、毎日金沢城の石川門から通学していましたよ。
小林:そこの方がいいじゃないですか!
谷内:場所は良かったのですが、狭かったので1989年に文系の建物が移転し、その後順番に移転してきました。
寺内:今は全てがこのキャンパスにあるんですか?
尾島:医学類、医薬科学類の一部と保健学類は、街中にある宝町・鶴間キャンパスにあります。こちらの角間キャンパスには、その他の学域・学類がまとまっていて、1年次は全20学類が角間キャンパスで学ぶので、他の学域・学類の人たちと関われるのも大きなメリットだと思っています。両キャンパスでは大学院の学生も学んでいて、全学生合わせると1万人以上いるんですよ。
小林:「学域、学類」という言葉に聞き馴染みがないんですけど、どういうものなんですか?
尾島:金沢大学では2008年に学部学科を廃止し、学域学類制度に移行しました。それまでは学部ごとに壁があり、なかなか交流ができなかったんです。

寺内:学部学科よりも、大きな分け方なんですね。
尾島:2021年4月に文系理系医学系が融合した「融合学域」ができて、今は4学域・20学類で運営しています。
小林:融合ってどういうことですか?
尾島:人文も理工も医学も全部学べるんです。
寺内:すごい!

谷内:学問も複雑化していて、専門だけでやっていける時代ではなくなっています。社会課題などを解決するにしても、人文社会系、理工系、医薬保健系といったさまざまな専門分野の力を合わせなければいけないので、すべてを融合した学域を創ったんです。融合学域では、文系が得意で入ってきた学生も、理系が得意で入ってきた学生も、一緒に学ぶんです。
小林:なるほど!
谷内:学類制になる前は、大学の学問をわかっていない高校生のうちに「文学科か、史学科か」などを決めなければいけなかったのですが、学類制になったことで入学して実際に大学の授業を受けながら「こっちがいいな」と、決められるようになりました。それが学域・学類にした一番の目的ですね。

寺内:僕は理工系だったんですけど、応用化学科と基礎科学科があって、高校生からしたらどっちが何かわからないんですけど「応用の方が偏差値高いし受けとくか」みたいな感じで選んだんですよ。それを学域・学類でまとめているから、入ってから選ぶこともできるんですね。
谷内:学類すらも、ある条件を満たせば入ってからも移れるんですよ。
小林:どこもそうすりゃいいのに!

寺内:めっちゃ合理的だよね。
小林:ちょっと待って! 校舎などの面積が全国2位だって!

尾島:校舎や講堂、体育施設の敷地面積は191万平方メートルで、国立大学の中で2位です。大学のすべての土地を合わせた面積は約241万平方メートルで、東京ディズニーランド約5個分あります。
小林:あまり東京ディズニーランドに例えることってないですよ(笑)。
尾島:東京ドームでしたら約52個分ですね。
寺内:約52個分!? 角間キャンパスの端から端までの移動はどれくらいかかるんですか?

尾島:20分くらいですかね。
小林:20分で行けます? セグウェイとか持ってるの(笑)?
尾島:それだったらいいんですけどね(笑)。
寺内:馬術部の馬場があるんだ!
尾島:他にも、金沢ならではの、能や箏、尺八の部活などがあります。
寺内:能の部活!?
尾島:大学案内2026の104ページを見ていただけますか?
小林:「104ページ開いて!」みたいな……なんか懐かしい(笑)。

寺内:よさこいに、ワンダーフォーゲル部だって!
谷内:ちょっと行けばスキー場もありますし、山も海も街中から30分で行けるんですよ。食べ物も美味しいですし、本当に良い所ですよ。都会で大学生活送りたい人もいると思いますが、こういう落ち着いた歴史や文化が豊かな街で、大学生活を過ごすのもいいんじゃないかなって思います。

尾島:近いところで、何でもそろうのも良い所ですね。
寺内:金沢自体がキュッとまとまっていて良い街ですよね。免許を持っていない先輩が、金沢は車がなくても隈なく楽しめる街だって言っていました。
尾島:金沢は古い街という印象かもしれないですけど、古い中に新しいものをどんどん求めていく、いわゆる「不易流行」の精神があるんです。古いもの、新しいもの、それを融合したものが学べるのは非常にいい所だと思います。

谷内:令和6年に能登半島で地震がありまして、能登がこれまで抱えていた社会課題がさらに浮き彫りになりました。その課題解決にも金沢大学として取り組んでいます。学生たちは、自分たちが学んでいることで社会のため何ができるか、を考えることができるんです。
尾島:地震発生から約1か月後に「能登里山里海未来創造センター」という、金沢大学として復興に寄与していくための組織を作りました。大学全体で全力を上げて復興に取り組み、今もずっとアプローチをしています。
谷内:総合大学なので、まちづくりならコミュニティデザインや観光学、経済学の、地質や地震の構造などには地質学や地震学といった専門家がいますし、もちろん医学系も含めて、さまざまな分野の専門家が集結して対応しているんです。

寺内:アベンジャーズだ!
小林:他に特色ある研究はありますか?
谷内:大学の教員の研究で、ナノの世界を可視化できる独自の顕微鏡を開発しました。
小林:ナノなのー?
尾島:ナノなの(笑)。
寺内:めちゃくちゃ儲けられそうですね!
谷内:自動運転の大学内ベンチャーの会社もありますし、人工衛星の研究もありますよ。
小林:もう地球にいねーじゃねーか(笑)。

寺内:融合とか、学域を越えて、みたいな話をしていたから、広く浅いようなイメージがあったんですけど、それぞれがしっかり深いんですね。
谷内:専門を極めたスペシャリストが集まっての融合なんです。
寺内:他の大学だったら「どこどこ大学のなんとかチームとコラボで研究しています」とかだけど、金沢大学さんはそれぞれのスペシャリストがいるから大学内でそれができるんですね。
谷内:それが大きな特徴かと思います。
小林:受験はどんな方法がありますか?
谷内:一般選抜はもちろんやっていますが、特徴としては、二次試験の後期日程をやっていないことですね。
寺内:それはプレッシャーかかりますね。
谷内:その代わりに金沢大学で学びたい人、理念に共感してくれる人のための特別選抜を増やしています。KUGS(Kanazawa University Global Standard)特別入試といいまして、誰でも出願できるわけではなく、事前に「高大接続プログラム」を受講し、修了した方が出願できるんです。
寺内:ある意味、専願ですね。
谷内:大学の教員がやっているミニ講義が100動画程度、24時間いつでもオンラインで視聴できるので、それを見て、「大学でこんなことやっているんだ。この先生の講義は面白そうだ」と感じたことについて、レポートを書くんです。他にも、高校生活で頑張ったことのレポートを書き、場合によっては書き直しをして、修了できます。そして、修了者は出願資格を得ることができます。金沢大学のやっていることを理解した上で受験する制度になっています。

寺内:熱意のある人が選りすぐられるんですね。
小林:年間何人くらいそこから入学するんですか?
谷内:募集人員は約260人で、志願者数は約400人ですね。もし合格できなくても、一般選抜でもう1回受けられます。
尾島:つまり、2回受けられるんですよ。
小林:セルフすべり止めができるわけですね(笑)。
谷内:特別選抜は配点も口述試験・面接の割合がとても大きいので、「筆記試験で1点でも高い人が良い学生」というわけではなく、その人が培ってきたもの、人間としての魅力を大いに評価します。金沢大学で学びたい意欲がある人に入ってほしいので、このような入試をしています。
寺内:この「超然特別入試」ってなんですか?
谷内:金沢大学が主催している、「日本数学A-lympiad」というコンテストと、「超然文学賞」というコンテストがありまして、その入賞者が出願できる入試です。超然文学賞では、プロの小説家や歌人の方にも審査に入っていただいているんですよ。
寺内:え? 聞いたことない!

小林:М-1甲子園を優勝したらNSCに入れますみたいなことだ(笑)。
尾島:他にも能登半島地震のあとに、防災・減災・復興に取り組む専門人材を育成するプログラムや入試を新設しました。このプログラムの単位修得によって防災士の受験資格を得られるというメリットがあります。
寺内:これからも絶対必要になる知識ですよね。
小林:卒業生の進路はどうなっていますか?
尾島:本当に様々ですね。
谷内:理工系は金沢大学の大学院に進学する人が8割近いです。先進国では大学院に進学する人が多く、世界的には「その分野の専門家なら博士号を持っていますよね」というのがスタンダードです。日本の発展のためにも、高度な人材を育成したいということで、大学全体として大学院進学を推奨しています。
小林:学生たちは、どんな人材に育ってほしいですか?
尾島:これからの社会は、何が起こるかわからないので、自分で「何が課題なのか」を見つけ、それを解決できる力を持った人材になってほしいですね。

谷内:卒業後に、専門家としてやっていく際は、その時々に自分で学び続けることが必要になります。なので、課題解決に取り組む意欲を持ち続ける姿勢を学んで卒業してほしいと思います。
小林:金沢大学の卒業生には日本を任せられますね。
寺内:安心感があるよね。
小林:……俺ら、人を笑わせることしかできないから。

寺内:格好つけんな(笑)。

小林:最後に、今、頑張っている受験生にメッセージをお願いします。
尾島:大学はゴールではないですが、受験勉強は、頑張ったら頑張っただけ見えてくるものがあると思います。金沢大学であれば皆さんのやりたいことができる未来が待っているので、ぜひ金沢大学で会えたらいいなと思います。

谷内:受験勉強は大変かもしれないですけど、上手くいったり、いかなかったりしたことも含めて、終わってみれば、人生に役に立つことばかりなので頑張ってほしいです。あと、私、心理学が専門なので勉強のコツを伝えられれば――。
小林:いや、待ってください! ここから有料配信にします!
谷内:(笑)。皆さん自室や図書館など、自分がやりやすい場所で勉強しますよね? だけど、その力はいつもと違う試験会場では100%は発揮できないんです。つまり、勉強したことは勉強した場所で一番発揮できるんです。
寺内:なるほど!
谷内:ただ、そうは言っても試験会場で勉強をすることはできないので、過去問や模擬試験などを受けるときは、いつもと違ういろいろな場所でやってみてください。そうすると新しい場所でも力が発揮できるようになります。

寺内:テストでプレッシャーを感じなくなるんですか?
谷内:いえ、記憶が引き出しやすくなるんです。ただ、よく、「本番のつもりでやらないと」と言いますが、気分も環境の一部です。場所といった外部の環境だけでなく、自分の気分も、試験本番に近づけるということが大切なんですよ。リラックスして効率よく勉強したことは、緊張すると出てこなくなるので、初めて行く場所など、いろんな場所で緊張してやってみるのをおすすめします。
小林:インプットはリラックスできる場所で、アウトプットはいろんな場所でやったほうがいいんですね。
寺内:あ! 僕、それ、大学受験の時にやっていました!
谷内:経験的に知っていたんですね。
寺内:……やっとそこまできました?

一同:(笑)。
小林:調子に乗るなよ!
寺内:実際にやっていたけど、心理学的なアプローチで聞くと説得力があるよね。皆、いろんな場所に行って過去問を解いてみよう!
小林:本日はありがとうございました。
尾島・谷内:こちらこそありがとうございました。

――それでは、学食に行きましょう。
小林:それでは僕はラーメンをいただきます! ていうか、これすごくない?

寺内:読みます! 「ラーメン一筋20年。東京半蔵門で繁栄店「IBUKI」を営んでいた吉田店長が、輪島の食材にほれ込んで能登へ移住したのが2019年冬のこと。“無添加のやさしい中華そば”は老若男女に愛されるようになりました。厳選食材の旨みを引き出した動物系、魚介系のダブルスープが決め手の本格中華そば」。なんとこちら650円!

小林:安い! いただきます!

小林:ちゃんとしたラーメン屋です。これは学食のラーメンではない!

寺内:スープが真っ黒だけど、塩っ気が強いの?
小林:いや、結構あっさりしている。ストレート系の麵だね。いや、美味いな。このチャーシュー見て! これが学食のチャーシューなわけがねえ!

寺内:美味しそう!
小林:何時間煮込んだんだこれ? ボロンボロンだよ。うまっ! ああ、今日、もうちょっと涼しかったらな!
寺内:真夏だからね(笑)。
小林:滝汗です。

寺内:私はこちら! 「1960年台湾生まれ。国境を越えて愛されるにはわけがある!」でお馴染み、鬍鬚張魯肉飯(ひげちょうるうろうはん)!

寺内:すごいよこれ! ご飯が見えないくらい具が入っている!
小林:マジで、ここフードコートじゃない?

寺内:他にも、うどん、ガパオ、卵かけご飯とかあるしね。
小林:え? 魯肉飯ってそうやってお椀を持って食うもんなの?

寺内:まあ、珍しいわな。
小林:持つには大きすぎない?
寺内:どんぶり持って食うにはちょっと大きいわな。

小林:「わな」ってはまってんの(笑)?
寺内:いただきます!

小林:スパイシー?
寺内:いや、食べやすい! 八角苦手な人も食べられるくらい食べやすい! うまっ!

寺内:でも、ちゃんと台湾の味もするし、まわりの小松菜のナムルもめっちゃいい! 角煮も美味いっすわ! いや、ひげちょううまい!

小林:しんどいな(笑)。
――時代の変化に合わせて学び方を変えていく金沢大学のお話を聞きましたが、いかがでしたか?
小林:お二人とも金沢大学が好きなんだっていうのが伝わりました。
寺内:学域・学類って初めて聞いたよね。その融合も含めてすごく興味深かったな。
小林:実際、大学に入ってから後のことを考えるほうが多いと思うから、これからは金沢大学のようなところが増えていきそうだよね。
寺内:学部学科制度をやめてまで、時代に合わせて取り組むというのが金沢大学ならではだよね。
小林:歴史のある国立大学なのに「新しくするぞ」っていう心意気がいいよね。
寺内:あと、学食も美味い!
小林:え? 学食行ったっけ?
寺内:あのフードコートのことだよ(笑)。
小林:あ、あのフードコートね。
寺内:フードコートとして認識している(笑)。クオリティーが高かったよね。
小林:マジでフードコートに行った感覚だった。
寺内:めっちゃ美味しかった。学生起業家の店舗もあるって話も聞いたよね。本当に良い大学でしたね。

※食堂内で学生が起業し運営している店舗「HaloHalo」。
小林:金沢っていう街も暮らしやすそうだし、興味持っていただければいいな!
寺内:金沢大学はめっちゃ行くべきだよ! 頑張れ受験生!
次回の『おうえんしナイト』は金沢大学の後編としてランパンプスが現役の在学生にインタビューしてまいります。

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